【写真・画像】岡田武史氏「仲が良いことが一番ではない」、橋下徹氏「時には世論を押し返す力が必要」 2人が語る組織マネジメント&リーダーシップ 98年フランスW杯の真相も 1枚目
【映像】FC今治高校 里山校
この記事の写真をみる(3枚)

 今年4月、愛媛県今治市に開校予定の私立高校、FC今治高校 里山校。その学園長を務めることになっているのが、サッカー元日本代表監督の岡田武史氏だ。「歴史を動かす人財(キャプテン)を今治から」というキャッチコピーを掲げるこの学校で追求する教育とはどのようなものなのか。17日のABEMANewsBAR橋下』で話を聞いた。

【映像】FC今治高校 里山校

 学園長就任の経緯について岡田氏は、「学校法人今治名徳学園から“少子化で成り行かないから助けてほしい”と言われたが、客寄せパンダをやる気はなかった。ただ、社会が大きく変わり始めているのに教育が変わらないのはおかしいという思いがあり、“新しい教育をやる覚悟があるなら”と言ったら、“やる”と。さらに元文部副大臣の鈴木(寛)さん含めて“絶対やるべきです”とまつり上げられて、引くに引けなくなった」と説明。

 その上で、「これからロールモデルがない、過去のデータが役に立たない時代が来る時に、“お上が~”“誰かが~”では生きていけない。知識なんてAIやICTのほうが絶対に上だ。じゃあ何が必要なのかと思った時、やはり主体性や可能性がある限り戦い続けるようなタフさ、想定外のことに対するアダプテーション・適応力。そして、最後はコミュニティを作ること。リーダーシップで引っ張っていくのではなく、多様な人を巻き込んでいく力だ。同質の人のコミュニティだと共倒れになる」との思いを語る。

 FC今治高校 里山校で重視しているのが、実学と実践。「高校は大体106単位で、文科省の最低が74単位。うちはそれを午前中に終わらせて、午後は街に出て、農業や家の改修などの実学をやらせる。それからゼミと探求。筆記テストはなしで、グループでミッションをどう解決するかを討論してプレゼンする。探求の発表を英語でさせて、それを英語の単位に付加したりもする」とした。

 講師には、野球解説者の古田敦也氏や劇作家の野田秀樹氏、独立研究者で著作家の山口周氏、オリンピック金メダリストで柔道男子日本代表前監督の井上康生氏など錚々たる顔ぶれだ。

【写真・画像】岡田武史氏「仲が良いことが一番ではない」、橋下徹氏「時には世論を押し返す力が必要」 2人が語る組織マネジメント&リーダーシップ 98年フランスW杯の真相も 2枚目
拡大する

 岡田氏が「キャプテンシップ講座では、1週目はその講師に関して3時間みんなで勉強して、2週目に来てもらって3時間講義。3週目、生徒たちがプレゼンしてディスカッションする」と説明すると、橋下徹氏は「やはりプレゼンがメイン。日本の教育はこれがなくて、大学で急に“発表しろ”“自分の意見言え”と言われてもなかなかできない。ただ、親御さんの理解もいるのではないか」と投げかける。

 これに岡田氏は「大学に行けないんじゃないか?と言う方はいる。しかし、今私立大学入試の50%以上がAOと推薦で、国立も30%を目指している。そこでうちは強いのと、米スタンフォード大と提携して「SPICE」という日本人向けの授業もやるので、それを書類に書いたら合格だろう(笑)。この1年を見ていただいたら、理解してもらえるかなと思っている」と意気込みを語った。

■「日本捨てたもんじゃないなと」

 2023年、対話型AIのGPT-4などは、日本の医師国家試験や司法試験の会社法関連の問題で、合格水準の正答率を達成した。橋下氏は「スポーツはリアルな人間のやり取りなので、AIはゲーム世界以外あまり考えようがない。その中で、人間のこれからの役割をどう考えるか?」と質問。

【写真・画像】岡田武史氏「仲が良いことが一番ではない」、橋下徹氏「時には世論を押し返す力が必要」 2人が語る組織マネジメント&リーダーシップ 98年フランスW杯の真相も 3枚目
拡大する

 岡田氏は「地球は有限で、人口が増えてみんなが成長したら、パンクするか取り合いになる。その時に必要なのは、物質的な豊かさではなく、文化的な豊かさ。それがスポーツやアートだと思っていて、ここで成長していく。日本は世界で最先端の、文化的な成長でウェルビーイングな暮らしをしていく国にならなきゃいけない」と述べる。

 橋下氏は「熱量を出せるのは人間だけ。役所と政治家の説明の決定的な違いは、役所はきちんとペーパーを読むが、政治家は熱量でメッセージを出さなければいけないこと。熱量は伝播していくもので、やはりそこに人間の役割があると思う」との見方を示した。

 FC今治高校 里山校は学生寮を備えているが、3年生になると「寮を出て地域の中で生活」してもらう予定だという。岡田氏は「街で知り合ったおじいちゃんおばあちゃんの所に居候させてもらうとか、自分たちで改修した家でシェアハウスするかとか。その約束で入学してもらう」と説明。

 その上で、「親も子どもも覚悟して来るので、中3でこんなにしっかりしているのかとびっくりする。みんなが多様性と思いを持っていて、日本捨てたもんじゃないなと。卒業する時に、“これやってみたい”と情熱を傾けられるもの。変わってもいいから、その時点でのものを見つけるために、いろいろ実学などをやってもらうつもりだ。人ってだいたい、自分が面白い・やりたいと思ったことだったら、与えられなくても勉強する。それを見つけてあげたい」と述べた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)

橋下徹×青学・原晋監督 箱根駅伝で優勝 逆転劇の裏側/箱根改革を提言
橋下徹×青学・原晋監督 箱根駅伝で優勝 逆転劇の裏側/箱根改革を提言
橋下徹×鈴木宗男 プーチン氏はどんな人?/受刑者「さん付け」へ
橋下徹×鈴木宗男 プーチン氏はどんな人?/受刑者「さん付け」へ
【映像】「教育困難校」の実情とは? 現役教師と考える
この記事の写真をみる(3枚)