俳優・東出昌大が25日、『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(3月15日より公開)の完成披露舞台挨拶に同作の脚本・監督を務めた井上淳一らと共に登場。井上監督が、東出から鼓舞された一通のメールの存在を明かした。
1980 年代、映画監督・若松孝⼆が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に、映画と映画館に吸い寄せられた若者たちの⻘春群像を描く同作。舞台挨拶には東出と井上監督のほか、俳優・井浦新、芋生悠、杉田雷麟、そして前作『止められるか、俺たちを』の監督の白石和彌が司会として登壇した。
「シネマスコーレ」の支配人・木全純治を演じた東出。同作のオファーを受けた際の心境を聞かれると、「僕は『止め俺1』のファンだったので、2やるの!?と思いました。1は関係者全員の情熱を感じて、その迫力がすごかったので。台本をいただいて初めて拝読したときも葛藤がありました」と正直に告白。「白石監督から井上監督になるので、これが2番煎じと言われたら絶対嫌だった。でも1の魅力を踏襲した同じ魅力のものではないと直感的にわかったので、新しい魅力のものになれるのでしょうかと直接お伺いを立てて、『止められるか、俺たちを2』という名前ではない方がいいんじゃないかとか、色々なことを言いました」と、井上監督とのやりとりがあったことを明かした。
「第一稿のときに、本当にそういうメールをいただいた」と、井上監督も回顧。「『前作が好きなので、あの熱量に抗するためにはどうすればいいか。想像の羽を大きく広げて、これからこの台本を向き合いたいと思います』と。そのメールをいただいたときに、これ面白くないって言われたんだと思った(笑)。それから目の色が変わって、この映画を面白くするためにはどうすればいいんだと(向き合った)。なので東出さんには本当に感謝しています」と、東出に感謝した。
前作に引き続き若松孝二役を演じた井浦は、現場について「白石組とは全然空気が違う。よかったのは、撮っている井上さんが本当に楽しそうにしていたこと。声だして本番中に笑っちゃったり」と証言。「芝居で若松監督役として『おい!井上!』って言ったら井上さんが「はい!」って返事したり。これが井上組なんだなと。とても空気の良い和やかな現場。でもやってることはみんなビリビリしているので、とてもバランスのいい現場でした」と、井上監督のお茶目なエピソードを披露した。
東出も「井上監督はめちゃくちゃ映画少年」と語り、「映画の最後の方のシーンで、『よーい!シュート!』って叫んだんです。それは生前の若松さんの掛け声だったんです。それを聞いて背筋にビビビと走って芝居しました」と、井上監督の映画への情熱を感じた瞬間を明かした。
東出は本作について「『止め俺1』は白石監督の情熱、オールスタッフの情熱が詰まった作品になったと思うのですが、『止め俺2』は2で、別の映画人たちの愛情が詰まった作品になったと思います」とコメント。舞台挨拶の最後には、「映画に取り憑かれた人たちが僕は『映画人』だと思います。井上監督も若い頃から若松さんのところに出入りしながら、脚本を書いて、いい映画とは何かと求め続けて、その結果、(自らの青春も描かれた)今回の作品を作ったのは、映画人としての信念、愛だと思います。その映画が僕は爽快な娯楽映画になったと思ってます。1を知らなくても若松孝二やその時代の人たちを知らなくても、楽しめる映画になった。皆さんの帰りの足取りが軽やかだといいなと思います」と、その魅力を語った。
写真:You Ishii