【写真・画像】あきらめていた命を救う 国内初のブタからヒトへの臓器の“異種移植”の意義を医師が説明「すごくいい治療」「ドナーはこれ以上増えない」 1枚目
【映像】ヒトへの臓器移植を想定した特殊なブタ

 東京慈恵会医科大学などのグループが、胎児にブタの腎臓を移植する臨床研究を計画していることを発表。実現すれば「異種移植」国内初の例となり話題になっている。
 
【映像】ヒトへの臓器移植を想定した特殊なブタ
 
 この研究は胎児のときに腎臓が正常に作られず老廃物などが尿として十分に排出できない病気「ポッター症候群」の胎児にブタの胎児の腎臓を一時的に移植。誕生後、人工透析が可能になったらブタ腎臓を取り出すというもの。ポッター症候群は生存率が低いことから中絶せざるを得なかったが、ブタの腎臓を用いた異種移植をすれば、いままであきらめていた命をあきらめずに済むという。一方で、「わらにもすがる思いで、この治療を希望する」「赤ちゃんの命を救える可能性が。成功を祈ります」といった意見から、「胎児を救うためとはいえ、ブタを殺していいのか?」という反応など、倫理面などを理由に賛否の声が上がっている。
 
 計画を推進する、東京慈恵会医科大学の横尾隆主任教授は異種移植について「世界的にやられているのは成熟している腎臓の移植」だとして、今回の研究は「お母さんブタが妊娠して30日ぐらい。腎臓ができ始めたところの腎臓の芽を胎児から取り出す」と解説。さらに「非常に大きな手術ではなくて10分ぐらいで終わるような措置と考えていただければ」と補足した。手術をする理由については「生まれた途端に毒素を自分で排出しなくちゃいけなくなるので結局生きられなくなる。そのときに背中に植えたブタの腎臓が尿を出し始めて底上げをしてくれるので体が成長できる」と説明した。
 
 ブタの移植自体に賛否の声がある中で、今後普及すると思うかという問いに「正直すると思う」と答えて「ドナーはこれ以上なかなか増えない」と現状の問題点を指摘すると「できる臓器があるんだったらやりましょうよという流れになることは間違いない」と明言。特に透析などは金銭面など患者の負担も大きいとして「こういう治療法があれば、医療経済的にも患者さんの負担のなかでも非常に恩恵を得られる人が多くなるのではないか」と期待を寄せた。
 
 最後に横尾氏は「これはすごくいい治療で、我々現場にいる人間としてはなんとか患者さんを救ってあげたいという気持ちでやっている」と思いを吐露。「胎児に治療をするので、胎児は自分の意見が言えない。言えないのでお母さんお父さんに委ねないといけない。しかもお腹の中の赤ちゃんが病気だとわかってから、この決断までに1か月ぐらいしか時間がない。そんなこと(重要な選択)を押し付けてしまうので、やはり社会的に『これはいい治療法だからやっていい』という流れがないとどうしても困る」と訴えた。
 
 さらに「日本が初ということにこだわっていきたいので、ぜひともいろんなご意見をいただいて、我々は丁寧に説明していくというステップを踏みたいと考えている」と今後について語った。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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