スマホの普及で気軽にできるようになった「自撮り」。そこでついやってしまいがちな行為に負の側面があるという。ドイツのある研究によると、自撮り写真を「加工」する人ほど、自分をモノとして認識。他者との比較を気にしすぎたり、自尊心が低下する可能性があると発表した。
さらに、行き過ぎると自分の身体や美しさに極度にこだわる危険性も。「加工なしの自分の顔が嫌すぎて、かわいくないなと。自分でも見たくないし、人にも見せられなかった」と話すねむさんは、“醜形恐怖症”に陥りかけた1人。
「なりたい理想のイメージは全くなくて、ただかわいいと思われたい、誰かに認めてもらいたいという気持ちだけで加工していた。承認欲求がどんどん満たされないまま(基準が)上がっていった」
長い時には1時間かけて加工を行い、撮る写真もかわいさよりいかに加工がしやすいかを優先するほどに。「最終的にプリクラを加工するまでになっていた。それを見た時に“誰?”となり、これはダメだと思った」と明かした。
そんな中、Z世代の間では無加工・ノンフィルターが流行しているという。リスクもある自撮りについて、『ABEMA Prime』で考えた。
■「画像の中では思ったどおりになれる」
渋谷トレンドリサーチによると、高校生がよく使うアプリは1位がノーマルカメラ(49%)、2位がInstagram(40%)、3位がBeautyCamとSNOW(3%)。さらに、盛れないSNS「BeReal.」がZ世代のトレンドになっている。
醜形恐怖症当事者のあみさんは、「無加工が流行っているけど、本当に無理だ」とコメント。加工をするようになっていった経緯について、「スマホアプリがない時代から、パソコンでPhotoshopを使って加工していた。現実の顔が好きではなく、画像の中では思ったどおりになれるので、のめり込んでいった」と明かす。
米ボストン大学の研究者が発表した論文では、日常的に加工するのはモデルや俳優だけだったのが、アプリなどにより誰でも同じようにできるようになったと指摘。摂食障害や感情面に問題を持つ人が増える可能性や、美容整形手術を受けたい人の増加につながることを弊害としてあげている。
加工の境界線について、あみさんは「めちゃめちゃ別人にはならないように気を付けている。でも、私がちょっときれいにしたと思っていても、周りからは全然顔違うと思われるかもしれない。程度は難しい」と語った。
■醜形恐怖症になりやすい人の傾向は
自撮り講座を行うWSC世界自撮り協会創始者で国際和装モデルのさなんさ 笑顔の神様さんは、無加工トレンドについて「アップしたものと鏡で見た自分が違うということで、落ち込んでうちに来る方もいる。心理カウンセラー、メンタルトレーナーとして軽くカウンセリングすると抜け出す方も多い」と述べる。
自撮りの上では、まずライティングと加工しないアプリを勧めているという。「リーダーシップのある肉付き、人のことをしっかり聞く顔付きなど、環境や状況、内面によって顔は変わっていく」。
醜形恐怖症になりやすい人の傾向として、精神科医・形成外科医の中嶋英雄医師は「不適切な親子関係で育ち、正常な成長過程を過ごせない」「他人に対する信頼感、安心感が持てず、レジリエンス(ストレスに対する逆境力)が弱い性格」「成績の良さよりかわいさなどが評価された経験」「形、容姿のわずかな変形や非対称性に気づきやすい。美に対して強いこだわりがあったり、見た目に関して敏感」といったことをあげている。
さなんささんは「“見せているものと自分が違う”と悩み出したところがポイントだ」とした上で、「ナルシストはネガティブに思われるが、私は“自分はかわいい、かっこいい”という声がけを自分にし続けてほしいと言っている。脳は自分のピックアップしたものを広げてフォーカスして拾ってくる性質がある。鏡を見て“かわいくない”と言うとそっちを探してしまうので、良いほうにピントを合わせてほしい」と促した。(『ABEMA Prime』より)
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