【写真・画像】【独自】工藤会総裁を検挙した指揮官が明かす捜査の舞台裏「万が一の時は爪の中にDNAを残す かたきを討ってくれ」1枚目
【映像】工藤会トップ 野村被告の自宅前

 福岡・小倉の「負の遺産」となっていた特定危険指定暴力団「工藤会」。大規模な組織を壊滅状態に追い込むために、福岡県警による命懸けの「頂上作戦」があった。
 
【映像】工藤会トップ 野村被告の自宅前
 
 トップである総裁・野村悟被告(77)の検挙に向けて、指揮を執ったのは、元福岡県警刑事部長の尾上芳信氏(現・福岡県暴力追放運動推進センター専務理事)。野村被告の控訴審での無期懲役判決を受けて、当時を振り返った。野村被告らが容疑を問われているのは、1998年に路上で起きた「漁協組合長射殺事件」など4つの市民襲撃事件だ。長年暴力団を担当した元警察官が足などを撃たれた、2012年の「元福岡県警警部銃撃事件」について近隣住民が証言する。
 
「バンバンという音がして、何の音かと思った。乾いた音だった」
「暴走族が爆竹を鳴らしているかと思ったが、後でラジオ聴いたら、銃撃があったと言っていた」
「(元警部が)壁に寄りかかっていた」
 
 2013年の「看護師刺傷事件」では野村被告が通っていた美容外科の看護師が、福岡市博多区の路上で刺されて大けが。2014年には歯科医師の男性が、駐車場で足や腹などを刺される「歯科医師刺傷事件」が起きた。この歯科医師は「漁協組合長射殺事件」で殺害された元組合長の孫だった。近くに住む人物は「ベランダから見て、警察が調べていた。あそこで刺された」と振り返る。
     
 2014年9月の野村総裁の逮捕まで、警察は命懸けだった。尾上氏は「工藤会は捜査員を尾行し、自宅を特定していた。公園で子供と遊ぶ姿を見たと脅しにも近い言葉を言ってきた」と語る。
 
「放火されたり、車に時限爆弾を仕掛けられたり、拳銃で撃たれたり……。そういうのが今まで何件もある。この頂上作戦が失敗に終われば、私も狙われるかもしれない。しかし、その時、私はタダでは死にませんよと。爪の中にも相手のDNAを残しますから、『本部長、かたきを討ってくださいね』と話した」(元福岡県警刑事部長・尾上芳信氏)
 
 尾上氏は、過去100以上ある工藤会がらみの未解決事件を洗い直した。また事件後に“呪われたように”死んでいく実行役の調書も洗い直した。その結果、2014年から2023年まで、のべ506人の組員逮捕につながった。
 
「北九州地区暴力団犯罪捜査課長の着任時に、当時の暴力団対策部長から『トップ(総裁)を取ってもらいたい』との厳命を受けたが、誰もトップが取れるとは思っていなかった。事件を抽出しながら、一つ一つ解決していった。捜査員も命懸けの戦いを強いられたが、多くの捜査員は『恐怖のどん底の北九州を救わなければ』と士気高く付いてきてくれて、摘発につながった」(尾上芳信氏)
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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