2024年冬アニメでは、「葬送のフリーレン」のフリーレンと「ダンジョン飯」のマルシル、2人のエルフが人気を博している。どちらも有能な魔法使いでありながら、意外な弱点があったり、リアクションが芸人並みだったり……。ギャップ萌えの塊と呼んでも過言ではないフリーレンとマルシル、あなたはどっち派?
■ミミックに食べられるほう、「葬送のフリーレン」フリーレン
2023年秋にスタートしたアニメ「葬送のフリーレン」は、「週刊少年サンデー」で連載中の同名漫画(原作:山田鐘人氏/作画:アベツカサ氏)が原作。原作漫画は2024年1月に「第69回小学館漫画賞」を受賞したことでも話題を呼んだ。かつて勇者ヒンメル(CV:岡本信彦)と魔王を倒したフリーレン(CV:種崎敦美)が、時を経て仲間との別れを経験し、“人を知るため”の旅に出るストーリーだ。
物語の主人公・フリーレンは、1000年以上生きているエルフの魔法使い。長年生きているだけあって、作中でもトップクラスの実力を誇っている。たとえばアニメ第10話で魔王直属の“七崩賢”のひとりである魔族のアウラ(CV:竹達彩奈)と対峙した際は、普段抑えている魔力を放出し、アウラを魔力の量で圧倒した。ほかにも第21話では、“天地がひっくり返っても壊せない”と言われた結界をあっさり破壊するなど、見ていて気持ちがいいほどの強さの持ち主だ。
長命種のエルフであるフリーレンは、人間たちと時間感覚が大きく異なる。彼女にとって、勇者ヒンメルと旅した10年間はあくまで「たった10年」なのだ。そのため他人への興味が薄くドライに感じられるところがあるが、物語を通して、少しずつ心境に変化が起きているようだ。
そんな一見クールなフリーレンだが、私生活ではズボラな一面もある。朝に弱く、寝ぼけ眼で弟子のフェルン(CV:市ノ瀬加那)に支度を手伝ってもらう姿には、どこか放っておけない小動物的な愛らしさがある。
また、フリーレンの意外な天敵として挙げられるのが、宝箱に擬態した魔物のミミックだ。というのも魔法オタクのフリーレンは、魔導書が入っていそうな宝箱を見つけると開けずにはいられない性分なのだ。ミミックの罠に引っかかっては頭からかじられて、「暗いよー!!怖いよー!!」と悲鳴を上げている。作品においてすっかりおなじみのネタと化しており、フリーレンがミミックに噛まれているぬいぐるみやステッカーなどのグッズ展開までおこなわれている。
■ミミックを食べるほう、「ダンジョン飯」マルシル
続いて紹介するアニメ「ダンジョン飯」のマルシル(CV:千本木彩花)もまたエルフの血を引く魔術師だ。「ダンジョン飯」は、シリーズ累計発行部数1000万部(デジタル版含む)を突破している九井諒子氏による人気漫画が原作。剣士のライオス(CV:熊谷健太郎)と仲間たちが、襲い来る魔物たちを食糧にしながらダンジョン踏破を目指すファンタジー作品だ。
マルシルは、魔術学校の生徒だった頃から“学校始まって以来の才女”と評判になるほどの才能を発揮していた。水上歩行や回復といったサポート系の魔法からド派手な爆破魔法まで多彩な魔法を扱い、パーティーになくてはならない存在だ。
「葬送のフリーレン」のフリーレンはクールでドライな性格をしているが、同じ長命種といえど、マルシルは素直でお人好しな常識人。隙あらば魔物を料理しようとするライオスやセンシ(CV:中博史)に待ったをかける、パーティーのツッコミ役だ。
そのオーバーリアクションは視聴者から“リアクション芸人”とも呼ばれ、第1話でライオスが倒した魔物を食糧にすることを提案したとき、マルシルは「ヤダーッ」と迫真の表情で拒絶。さらに「ヤダヤダヤダ!」と逆立ちして足をバタつかせ、まるでブレイクダンスのような体勢で暴れていた。
ほかにマルシルの名リアクションとして、アニメ第8話での変顔が思い浮かぶファンも多いことだろう。戦いで深手を負ったマルシルは、ライオスたちが焼き肉をするなか、鉄分補給のためにレバーばかり与えられるはめに……。不満を募らせた末に鬼気迫る表情で「ほかのところも食わせろ!」と叫んだ。大ダメージを負っていてもツッコミを欠かさない点は、リアクション芸人の鑑と言えるかも?
アニメ「ダンジョン飯」では、第6話にミミックが登場する。マルシルの場合は、ミミックに頭から食べられることはなく、逆にミミックをおいしく食べていた。塩茹でしたミミックに黙々とかぶりつく姿は、まるでハムスターのようだ。
それぞれ異なる魅力を持った「葬送のフリーレン」のフリーレンと「ダンジョン飯」のマルシル。……やはり「どっちも好き!」が結論かもしれない。
※種崎敦美の「崎」は、正式にはたつさきの字
(C) 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
(C)九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会