※本記事は公演の内容に触れていますので、観劇前の方はご注意ください。
新たに動き出した舞台「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -New Encounter-」。東京公演を駆け抜け4月4日からは大阪公演を控える本作だが、キャストたちを支えたことの1つに、『ヒプマイ』声優陣との交流があったそう。そんな稽古の裏側や本編の気になる内容について、シリーズ1作目から演出を務める植木豪に聞いた。
【配信】<大千秋楽>ヒプステ -New Encounter-
――まずは、今作のタイトルにもなっています「-New Encounter-」に込められた意味について教えてください。
植木豪(以下、植木):今まで舞台では描かれていなかった、各ディビジョン3人のメンバーが出会うところを大事に描きたいという思いがあり、みんなで話し合って決めたタイトルです。キャストたちもここからそれぞれ3人で作品に向き合って、チームの絆を深めていく。そんな“1から作り上げていく”という意味も込めて「-New Encounter-」というタイトルにしました。
――3人のディビジョンメンバーが出会う場面を描くということは、原作となるドラマトラックの内容を追うという形になるのでしょうか?
植木:そうですね。原作を見直し、さらにキャラクターも今一度しっかり見直して、もう一度みんなで最初に作られた原作CDのドラマトラックの内容を舞台で描こうと。声優さんとキャストの対談が公演前に行われたこともあり、キャストはそこで伺ったお話を芝居に反映させることもできたみたいです。
――ディビジョン別に行われたクロストークイベント「DIVISION CROSS TALK」ですね。キャストの皆さんの反応はいかがでしたか?
植木:稽古が始まる前からみんなの『ヒプノシスマイク』に対するリスペクトがすごかったんです。本読みの段階からすごく勉強をしてきていて、すっかり『ヒプノシスマイク』のファンになっていました。
ですので、実際に声優さんにお会いして、よりキャラクターへの理解を深めることができたということは言っていましたね。いろいろ聞きたいこともあったみたいで、音で聞いているだけではわからない、(演技の上での)いい意味での“縛り”なんかも聞くことができたりとか。
声優の皆さんも東京公演をたくさん観に来てくださったので、そこでまたお互いに話していました。稽古場だけじゃなく、そういったところで得たものも含めて作り上げていっている感じはします。
――そんな中において、前作から変わらず大事にしている部分、引き継いでいる部分というのはどんなところになるのでしょう。反対に、新たに挑戦した演出などはありますか?
植木:原作の世界観を大事にしよう、ということはずっと思っています。あとはもちろんラップバトルも大事に表現したいなと思っていて。前作まではオープニングで立ち絵のイラストからキャストが出てくるという演出にしていましたが、今回はモーションキャプチャでキャラクターを動かしてそこから出るという演出をやってみました。
――『ヒプステ』と言えば……のオープニング演出が、今回モーションキャプチャで進化しているんですね。
植木:TVアニメのラップバトルなどのモーションキャプチャは、ダンスで舞台を盛り上げてくれている“D.D.B”(ディビジョン・ダンス・バトル)のメンバーが担当しているのですが、今回の舞台でもアニメで担当していたキャラクターを引き続きそれぞれのアクターが担当しています。
僕らが舞台を始めた時はまだアニメが始まっていなくて、1作目の「-track.1-」を作るのと同時期にアニメのキャラクターのモーションを作っていました。だから今回モーションキャプチャを演出に取り入れることができたのも、アクターたちが全キャラクター分それぞれの動きを自分の中に入れたあとだったからで。そのおかげで、動きをスムーズに表現することができました。
全キャラクター分のモーションキャプチャを作り上げるのはかなり大変でしたが、間に合わせることができてよかったです。
――キャラクターが多いというところで言いますと、本公演では初めて6ディビジョンが揃いますね。そういった大人数のストーリーという部分で苦労されたところはありますか?
植木:6ディビジョンが入れ替わり立ち替わり出てきますし、シーンがめくるめく進んでいくので、観ている方が追いつかなくならないようにすることは気をつけていました。ストーリーはディビジョンごとに分かれて進んで行くのですが、前のシーンと次のシーンが言葉で繋がっているとか、そういったことで繋がりはきっちりしようと。
あとは、1人1人のキャラクターをしっかり表現するということですね。リーダーだけじゃなく、全てのキャラクターの良さをしっかり出せるように意識していました。『ヒプノシスマイク』のキャラクターはわかりやすいモチーフがそれぞれのキャラクターにあるので、それを映像で見せたりすることで、「次この人が出るんだな」というのが視覚的に理解しやすくできるんです。そういったところをうまく活かしつつ、全キャラクターに焦点が当たるようにしています。
キャスト陣の熱量の高さが窺えたほか、植木の演出にかける細やかな気遣いが垣間見えたインタビューとなった。発言にあった部分を頭に置いて公演に臨むと、より楽しめる部分が増えるのではないだろうか。
取材・テキスト/ichico
(C)『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会