2歳の長男が自閉スペクトラム症であることを明かしたグラビアアイドルの倉持由香(32)が、これまで明かすことのなかった子育ての日々を初告白。診断前、倉持が息子に抱いた違和感や予兆…息子の特性と向き合いながら育児に奮闘する倉持に迫る。
最初の違和感は「母乳の拒否」 保育園の友達と比べて焦る日々
2019年、倉持はプロゲーマーのふ〜ど(38)と結婚。その後の不妊治療が実り、2021年に第1子となる湊くんが誕生した。
倉持「出産も2日ぐらいかかったのでやっと出てきたみたいな。お腹にいた時に胎動がすごくあったので、お腹の中で蹴っていたのは君だったのかみたいな感じの不思議な気持ちでしたね。新生児を抱っこしたのって生まれて初めてだったので、これはもう一生かけて守っていかないとと思いました」
何ものにも代えがたい幸せを感じたという倉持。しかし、子育てをしていく中で、違和感を持つようになったという。
倉持「一番最初に気になったのは、生まれてすぐ母乳を拒否したこと。母乳っていうよりは私のおっぱいを嫌がっちゃって、乳首をすごく拒否するんです。それで哺乳瓶であげていたんですけど、ミルクも、哺乳瓶の乳首もこだわりがすごくて。あれ?ちょっと(発育が)遅いなと思い始めたのは1歳ぐらいです。1歳検診でちょっとずつ…。他の子はもっとちゃんとおとなしくしていたりとかしているのに、湊は名前を呼んでもあんまり振り向かなかったり。喋ったりできてないぞっていうのがひっかかって。(1歳から)保育園に通うようになって、保育園のお友達とうまく遊べなかったりとか、言葉がやっぱり他の子よりずっと遅れている。保育園に私が迎えに行ったりすると、『あ、湊くんのママ』みたいな感じで、他の子はもう私のことを認識して喋ってくれたりするのに、湊は迎えに行っても抱っこするだけで特に何もなくて、あれ?やっぱり他の子より結構遅れてるな、ちょっと違うのかな?っていう風に思いました」
2歳6ヵ月で「自閉スペクトラム症」と診断「いざ言われるとショックが大きくて涙が出てきて」
そして去年12月、奏くんが2歳6ヵ月の時に「自閉スペクトラム症」と診断された。
倉持「湊が1日5~6回くらい吐くようになってしまって、それで吐き戻しが多いので心配ですねってなって、小児科を何個か転々としました。『体の問題じゃなくて、精神的なものとかかもしれません』って言われて、また別の先生に診てもらって。病室に入った時に、湊はその先生の方も全く見ないで、その病室にあったおもちゃとかでバーッて一気に遊び始めて。(先生が言うには)普通の発達の子はまず知らない先生のところに来たら、『えっ、なんだこの人は』みたいな感じになったり、挨拶したりとか、まず先生の方を見たりするんですって。『湊くんは僕の方を一切見ないで、あとは目が合わない。名前を呼んでも反応しない』と言われました。病室に入って1分経たないぐらいで、先生に『この子は自閉スペクトラム症でしょう』っていうふうに言われたんです。なんとなくそうかなとは思っていたんですけど、いざ言われるとショックが大きくて、病室で涙が出てきてしまって」
自閉スペクトラム症とは、対人関係が苦手といった特性をもつ“発達障害”の1つ。特徴として視線が合わないことや表情が乏しいこと、また名前を呼んでも反応しないなどがあげられる。最近の調査では、100人に1人が診断されるといわれている。
倉持「だいたい話しかけられてもあまり反応ができないんですよね。完全に自分の世界に入っているので。あとは感覚過敏があって、頬への保湿とかをすごく嫌がるんです。体結構赤ちゃんとか子どもは乾燥しちゃうので、保湿してあげたいんですけど、ベトってするものが体につくのがすごく嫌で、ワーってなっちゃうんです。あとはアルファベットが好きで、今日も朝、保育園行く前に自分でこの本を開いて、A、Bっていう風に、こうやって自分でペン持ってきて…。平仮名とかよりも自閉スペクトラムの子はアルファベットの方がわかりやすいらしいんです。平仮名ってちょっとなんかこう、法則性が難しいっていうか、アルファベットの方がシンプルだからなのか、好きな子が多いらしいんです」
さらに、食べ物の好き嫌いが強いという特徴も。
倉持「偏食はかなり激しいですね。素うどんとか素パスタとか麺だけ。具材いっぱい入れてももう全部落とすとか。湊が具材入れても食べないので。最近買ったのが緑黄色野菜入りのうどん。麺に練り込まれているやつを買ってみたので、これを今日ちょっと使ってみようかなと思って、ダメだったら普通の白いのを食べさせようかなとは思うんですけど」
現在2歳10か月の湊くんはほとんど話すことができない。一般的に幼児が何らかの言葉を発しはじめるのは生後9カ月〜1歳半と言われている。
「毎日泣いているような状況」追いつめられ自分のことを責める日々
倉持は、診断された当時を振り返り、未来に希望を見出せなくなっていたと話す。
倉持「今後、湊は喋れるようになりますか?っていうのがやっぱり心配でした。『ママ』『パパ』ってちゃんと言えてもらってないんですけど、今後どうなっていくんですか?うちの子というか、我が家はどうなっていくんだろうっていうような。未来が結構不安になってしまって。あとは受け入れなきゃいけないっていう気持ちもあるんですけど、信じたくないっていう気持ちもあるし、どうしようってなってしまって。そこから1カ月近く私が何もできないような状況になってしまって、毎日泣いているような状況というか…、それでしばらく私も病院に通ったりして…」
この自閉スペクトラム症は遺伝的な要因が複雑に関与して起こると言われており、倉持は自分を責めたこともあったという。
倉持「私が悪い、私もだいぶできること、できないことの凸凹がすごく激しくて、できることはすごく得意なんですけど、できないことはすごくできなかったので、そういった私の特性がだいぶ受け継がれたのかなとか、私がいけないんだと自分を責めました。公表した時にも(ネット上では)お前のせいだろとか。私だけじゃなくて夫のせいにもされたり。『グラビアアイドルとプロゲーマーなんて、まともじゃない職業についてるやつの子どもなんか自閉症で当然だ』みたいな感じのご意見とかもあったり」
追い詰められた倉持は、次第に奏くんの存在を隠すことも考えるようになったという。
倉持「仕事場とかでメイクさんとかに『お子さん今何歳ですか?』『2歳何カ月ですか!うちの子もそのくらいなんですよ。今いっぱい喋って楽しい時期ですよね!』みたいな感じで、全然悪気なく話しかけられた時に、なんかすごく辛くなってしまって。そこでうちの子まだちょっと喋れなくてっていう風に言って、『ああ…そうですか、男の子って遅いですもんね』っていう風にずっとフォローしてもらっていたんですけど、いつまでこの『男の子って遅いですもんね』のフォローをずっとみんなにしてもらうんだろうと。自閉スペクトラム症って診断されてから息子のことを隠せるのかなってすごく悩みました」
「湊のことを理解して攻略していくしかない」向き合うきっかけをくれた夫の言葉
そうした中で湊くんと向き合えるきっかけをくれたのは、プロゲーマーらしい夫・ふ〜どの言葉だった。
倉持「夫から『自閉スペクトラム症って診断されたんだから、もうずっといつまでも後ろ向きにいてもしょうがないから、湊のことを理解して攻略していくしかないでしょ』って。『時間を進めていこうよ』って言われて。そこから前向きになれるようになりました」
ふ〜ど「そのまま停滞してもねっていう。だって成長するじゃないですか、子どもは。普通の子でも別に一緒だと思うんで、多分支えるっていうのは、変わらないかなっていう。その割合とかそういうのは増えるとかはあるのかもしれないですけど、周りも助けてくれる」
さらに同じ境遇の親とかかわりを持つことで自分を保つことができたという。
倉持「私も診断された時に、SNSとか小説とか漫画とかで自閉スペクトラムの当事者の方だったり、親御さんのエピソードをすごく調べたんです。子どもが自閉症ですっていう方の漫画やSNSをすごく見て、あ!うちの子もこういうことをするとか、おむつを投げるのうちの子だけじゃないんだとか、みんな大変なんだとか、苦しみとか大変さを分かち合うというか。大変なのはうちだけじゃないんだっていうのは結構励みになりました。それでだいぶ救われました。最初の孤独感がすごかったんです。他のママ友とか定型発達のお子さんなので、何できるようになってとか、ダンスできるようになってとか、ランドセルはこんなの選んだよとか、あとは私と同じぐらいに産んだ方のタレントさんとかのSNSもフォローしていたんですけど、子どもと一緒にアフタヌーンティーに行ってきましたみたいな感じで、すごくおしゃれな格好をして、おしゃれなお店で、おとなしく座っている子がいて。湊はとてもとてもそんなことはできないので、どうしても普通の子と比べてしまったりしていたんですけど、それでどうしようとか、うちは今後どうなっていくんだろうみたいなのがあったんですけど。でもそんな時に、うちの子もそうなんですよっていうような方や漫画にだいぶ救われたので、うちも発表することで、同じように苦しんでいる人とかと分かち合えたらいいなと。苦しみも、あとは喜びも分かち合えたらいいなって思いました」
現在では、夫婦で湊くんの将来について話すことも多くなったという。
倉持「よく家族3人でお風呂に入るんですけど、湊は小学校どうなるかなとか(話す)。家の学区で通う予定の小学校にも特別支援クラスがあるんですけど、そういうところに行くか、もしくは養護学校に行くかとか、そういう話をします。でも、今この先のことを考えてすごく不安になるよりは、とりあえず目の前の湊の成長を促して、その時に湊が一番行きやすい選択肢を選べたらいいよねっていう話はしてます」
今年4月からは、保育園の他に障害のある子の発達を促し、日常生活を自立して送れるよう支援する “療育”にも通っている。
倉持「おととい、初めて初回の療育に行ってきて、そこは夫が連れて行ったんですけど、初回はすごく楽しく、いっぱい体を使って遊ばせてもらったみたいで。足の裏の感覚が鈍いから、刺激を求めてつま先立ちになったり、あと結構飛び跳ねたりとかするんですよね。寝ない間ベッドの上で2時間ぐらいずっと飛び跳ねてたりするんですけど、そういった感覚の普通の子とは違う感覚の過敏さだったりとか鈍さだったりとかを、なるべく普通の感覚に近づけたりとか。そういう訓練とかも多分療育でやっていくんだと思うので、なるべく療育に通った方が生きやすくはなるかもしれないです」
「普通の子と比べるのはやめて、湊のことをちゃんと見ていこう」育児の向き合い方に変化
倉持は今年4月4日、NHKの番組内で湊くんの特性について公表。
倉持「公表した方が湊も私も夫もみんなスムーズに生きれるんじゃないかなって思ったんです。もちろんそういうことのデメリットもあるんですけど、その天秤にかけたときに、公表して『大変だ』って思ってほしいとかじゃなくて、『湊くんはそういう特性、個性があるんだね』っていう風に、あらかじめ知っておいてもらった方が生きやすいかなって思って、今回の公表は私も湊も夫も家族が前を向いていくための公表だと思ってます」
周りの子の成長速度を基準にしていたがために、遅れを取るわが子を気にしていた倉持。しかし、育児が徒競走ではなく単独走だと気づけたことで、湊くんのゆっくりとした歩幅に寄り添うようになった。
倉持「むしろ診断されてよかったです。診断されてなかった状態の方が他の普通の子と比べてしまって、なんで湊はできないんだろう。あの子はできているのに。同じくらいに生まれた子はもうペラペラと喋れているのに、なんでだろう。私の育て方がいけないのかな。なんでだろう?ってなっていたんですけど、やっぱり診断されたことで、普通の子と比べるのはやめて、湊の個性を見ていって、湊のことをちゃんと見ていこうっていうふうに思うようになりました。湊がすごく好きなものを今探している途中だと思うんです。生まれてから2歳10カ月で色々なものを見て、なかなか大人と目を合わすことはできないけど、アリだとかキノコだとか、色々なものを見て、キラキラした目でこの世の中のものを発見していっているので。湊のこの世の中のキラキラ探しをずっと手伝っていける親でありたいです」
(『ABEMA NEWS』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・『今日好き』小國舞羽さんのリアルな買い物事情