シュー・グァンハン
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 台湾で話題を呼んだ紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を、『新聞記者』『余命10年』などで知られる藤井道人監督が映画化した『青春18×2 君へと続く道』が、いよいよ2024年5月3日に全国公開される。

 日台合作となる本作は、台湾での大ヒットスタートを皮切りにアジア各地で公開されると、すでに観客動員数75万人を突破し、ベトナムでは現地で公開された実写日本映画、台湾映画の興収記録も塗り替えた。さらに5月には中国大陸と韓国での公開が控え、アジア全域で大きな話題になるだろう。

 圧倒的な演技力を誇る若手実力派の清原果耶と、台湾のスター俳優、シュー・グァンハンがW主演を務め、『新聞記者』などで知られる藤井道人氏がメガホンを握った。

 日本からは、道枝駿佑黒木華松重豊黒木瞳ら、人気・実力を兼ね備えた豪華キャストが参戦。主題歌を、世代を超えて愛され続ける唯一無二のバンドMr.Childrenが、物語に寄り添うように綴られた楽曲「記憶の旅人」を書き下ろしている。

 本作の舞台は、グァンハン演じるジミーと清原演じるアミが見た日本と台湾、18年前と現在。青春の思い出と旅を通して、見る者の胸をギュッと締め付ける大人のラブストーリーの中で、不器用で瑞々しい18歳のジミーと、自分との対話のために旅に出た36歳のジミーを繊細に演じたシュー・グァンハンに作品への思いを聞いた。

「大人の魂が宿っているような物語」

映画『青春18×2 君へと続く道』
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――忘れかけていた気持ちを思い出して胸が苦しくなるような作品でした。グァンハンさんは、最初に脚本を読んだときいかがでしたか。

もともとエッセイを読んでいて、とても面白いと思っていました。脚本になってみると、物語がより円熟になっているという印象を持ちました。青春やラブストーリーだけを描いているのではなくて、大人の魂が宿っているような物語。旅をすることや過去を振り返ることで、内面の世界を探求して成長させるという意味でも、非常に興味深い話だと思いました。

――藤井監督と初めてご一緒していかがでしたか。

監督は、アクション、ラブストーリーと取り扱うジャンルが幅広くて、どんなテーマでも興味深い作品に仕上げることのできるすごい才能の持ち主だと思っていました。実際に現場に入ると、役者との付き合いかた、教えかたがうまいんです。こうしろああしろと指示を出すのではなく、「この場面はこういう雰囲気にしたい」「こういう方向性の演技が見てみたい」というような言葉を使うので、そこにはある種、演技の空間が生まれます。僕にとってとても居心地のいい演出でした。

――「監督とは息がぴったり合った」とコメントされていまね。

そうですね。監督はご自身のことを真面目な人間だと言いますが、プライベートでは非常に可愛くて子供っぽいところがありました。カメラの回っていない所でもたくさん話をましたよ。年が近いこともあって、お互いにからかったりいじったりもしていました。いい監督であり、いい友人です。

映画『青春18×2 君へと続く道』
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――ステキな関係性を築いたんですね。清原果耶さんとは共演していかがでしたか。

とても可愛いらしいのはもちろんですが、大人の部分も持っている魅力的な人です。演技のすばらしさについては言うまでもないですね。彼女の演技には共感する部分がたくさんありましたし、これからの活躍もすごく楽しみにしています。

――カメラが回っていない時にお話をされたりしましたか。

中国語を教えましょうか、とか。ご飯は食べましたか、お腹はすいていますか、どういう音楽が好きですかとか、いろいろ話しましたよ。

日本の冷たいお弁当にビックリ!?

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――「台湾と異なる文化を体験できた」とコメントされていますが、例えばどんな違いが印象的でしたか。

とくに違いを感じたのはお弁当かな。撮影のときに配られたお弁当はどれも冷たかったので驚きました。ある駅で駅弁も食べてみましたが、駅弁も冷たい。とくに、すき焼き弁当はアツアツが普通だと思い込んでいたので、冷たくてビックリしました。これは台湾と大きく違うところでした。

――あったかいほうが好きですか?

いえいえ、どっちがいいか悪いかではなくて、大事なのは郷に入っては郷に従えということです。すき焼き弁当は冷たいけど、美味しかったです。他のお弁当も美味しくいただきました。

――今回、日本語の台詞がたくさんありましたが、どんな風に覚えましたか。

日本の俳優の方はどなたも素晴らしくて、私の日本語が下手だとみなさんに迷惑をかけてしまいます。演技が止まってしまうようなことがないように、完璧に喋りたいと思って、一生懸命、覚えました。現場にはすごくいい通訳の先生方がいたので、教えてもらいながら、スポーツと同じように繰り返しながら体で覚えていきました。

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――気に入った日本語はありましたか。

「旅をしようと思っています」です。

――旅は作品のキーワードですね。

旅とはすばらしいものです。ジミーのように旅に出かけていれば、青春を思い出して、自分自身と会話することができる。清原さんの演じたアミが「旅は何が起きるかわからないから面白い」と言っていましたが、そういうところもすごくいい。僕もいつも旅に出たいと思っていますが、仕事が忙しくてなかなか時間が取れません。仮に一週間、時間が取れたら旅をしたいです。その時間は、充電にも、成長の時間にもなると思います。

――ありがとうございます。最後に映画の見どころとファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

青春や純愛を描きながら、その中に大人の魂が宿っている映画です。皆さんに、旅とは何かを語っています。この映画を観て、癒されるかもしれないし、青春を感じるかもしれない、成長をしたと思うかもしれない。どんな受け取り方をしても、なにかを感じ取ることができたら、それが映画の見どころだと思います。

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『青春18×2 君へと続く道』は2024年5月3日に全国公開。

インタビュー・テキスト:氏家裕子、撮影:You Ishii

ヘア: Edmund Lin From Zoomhairstyling
メイク: 美少女工作室prettycool / 高秀雯Kao Hsiu Wen
 

映画『青春18×2 君へと続く道』

始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生・ジミー(シュー・グァンハン)は、日本から来たバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。天真爛漫な彼女と過ごすうち、恋心を抱いていくジミー。しかし、突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案する――。
時が経ち、現代。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いたハガキを再び手に取る。初恋の記憶が蘇り、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意するジミー。東京から江の島・長野・新潟・そしてアミの故郷・福島へと向かう道中で、彼女とのひと夏の日々が心にあふれ出す――

出演:シュー・グァンハン、清原果耶    
ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳
監督:藤井道人  
原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY'S FACTORY)
エグゼクティブプロデューサー:チャン・チェン  
脚本:藤井道人/林田浩川  音楽:大間々昂  撮影:今村圭佑

製作幹事:JUMPBOYS FILMS/サイバーエージェント 
制作プロダクション:JUMPBOYS FILMS/BABEL LABEL  
配給:ハピネットファントム・スタジオ     
©2024「青春18×2」Film Partners

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