上地容疑者は2005年、東京三鷹市のアパートで居酒屋チェーンの副店長を殺害し逃走。重要指名手配に指定されたが、足どりが全くつかめていなかった。しかし2006年3月に石川県加賀市の山中で遺体で見つかった男性とDNAや指紋などが一致。自殺と見られるが、事件から4か月後には死亡していたことになる。石川県警は当時、この遺体には身元を特定できるものがなかったことから身元不明遺体として取り扱ってきた。
実は全国の警察のホームページにはいまも数多くの身元不明の遺体に関する情報が公開されている。石川県警のホームページには2006年3月に「発見から2週間~3か月経過」「発見場所:加賀市山中温泉東町地内」「推定年齢:40歳~60歳」「身長:168cm位」「血液型O型」、ほかにも身体特徴や着衣、履物、所持品といった詳細な情報が記載されている。
これについて元徳島県警捜査1課警部の秋山博康氏は「通常、身元不明の変死体を発見した県警は指紋と血液を採取して警察庁のデータベースに登録する。たとえば今回、石川県警が自殺者(上地容疑者)の指紋と血液を採取登録。その後、石川県警は指紋自動識別システムに照会しなければならない。それができていなかったか」と説明。
「指紋捜査というのは、そもそもは犯人捜し」と続けた秋山氏は「過去に前歴、前科、逮捕された被疑者は指紋を(警察の)データベースに残す。だから身元不明の死体も当然指紋は取る。だがその指紋を登録されたデータベースに照会していなかった結果だと思う。DNAについては警察の規則によって、逮捕された被疑者だけではなくて変死者、不明者から血液を取ってDNAをデータベースに登録する。だから本件については20年前なので、上地容疑者のDNA試料が現場で乏しかったんじゃないか」と推測した。
上地容疑者が元暴力団員であることから「入れ墨はデータとして記載されないのか?」という質問に対して秋山氏は「入れ墨なんかも特徴点で入れる」と回答。「身元を特定する照会ができていなかったと思う。もしこれが、入れ墨なんかで機転をきかせて指紋を照会してヒットすれば、そのときの段階で上地というのが特定できていたと思う」とコメントした。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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