キャリア官僚離れが深刻化している。その理由として過酷すぎる労働環境などが問題となっている。元官僚芸人がそのブラックぶりを明かした。
国家公務員の人事制度の在り方をめぐる「人事行政諮問会議」の中間報告によると、採用後10年未満で退職するキャリア官僚は近年では毎年100人超え。6月上旬に発表された国家公務員の合格者数は1953人、申込者数は1万3599人とピーク時の6割弱にまで減少。かつては合格者の4人に1人が東大出身だったが、今年度は189人と過去最少だ。
芸歴2年の若手芸人で、実は元官僚の「元官僚芸人まつもと」は「2005年に総務省に入省して、岩手県庁や財務省、内閣官房にも出向した。8年9ヵ月(総務省に)いて辞めた」と自身の異色の経歴を明かした。
まつもとは霞が関について「いろいろなしがらみがいっぱいある世界」として「法律があったり、業界団体がいたり、政治家の人がいたり、省内の偉い人がいたり。その人たちが『あーしろ、こーしろ』と言ってくる。それを聞いて『落としどころはここ』というのを決めて、みなさんに『こうしてください、ああしてください』とやるのが霞が関の官僚がやっている仕事」と説明した。
官僚という職務を途中でリタイアする者も近年では珍しくないそうで、その理由として「官僚になりたい人は『日本を動かすんだ!』と思ってくる。そこのギャップに気付いて『ああ違った』と思って辞めていく」とコメント。
答弁する大臣にメモを渡す光景をテレビなどで目にするが、この準備がとにかく大変だという。まつもとは「法律を作る際、国会で大臣が答弁をするが、あれは後ろで僕らが『こういう風にしゃべってください』と書いている」と説明した。
厚生労働省は特に大変だそうで「四六時中忙しい。月200時間以上は普通に残業していて、たとえば毎日(深夜)3時4時くらいまで働いてタクシーで帰って、ちょっとシャワーを浴びて仮眠して、また朝9時半には出勤。本当に悪いときは普通に帰ってないことも。局長室にソファーがあり、そこで1時間ごろ寝してみたいな」と過酷な労働環境を明かした。
なかでも厄介な仕事が「国会答弁」であるとして「霞ヶ関あるあるの代表的な嫌な仕事」とコメント。本来は答弁の2日前までに質問を出すルールで、これを「問とり」というそうだ。ほぼそれが守られることはなく、場合によっては前日の夜中になることも。そうなると徹夜で答弁を作成しなければなくなるという。
「(政治家に対して)早く質問出してこいよとなる。その政治家のTwitter(現X)を見たら『めっちゃつぶやいてるじゃん』みたいな。Twitterつぶやいてる時間あったら早く質問出せよ」とぼやいた。
さらに、まつもとが直面したのは理想とかけ離れた“真っ黒”な現実で「たとえば情報公開請求。(資料の)出しちゃいけないところを黒塗りとかをする。必要なことだが、めっちゃ悪いことをしてる気持ちになる」と告白した。
人事院は2023年国家公務員の週休3日を拡大するよう内閣と国会に勧告。法改正など行い2025年4月から実施することを提案した。これに対して元大臣で国際政治学者の舛添要一氏は「この提案は評価してよいと思うが、国会も週休3日制にならないかぎり、実現はほぼ不可能。官僚の週休3日制よりも、質の悪い国会議員を追放するほうが先である」と提言。
また、舛添氏は官僚の実情について「(退職者が)どんどん増えている」として「大体2日前に質問出さないといけないが、前の晩どころか午後のやつを昼ご飯のときに持ってくるやつがいる」と実態を暴露。「このままじゃ国がダメになる」「日本が落ちぶれた原因かもしれない」と警鐘を鳴らし、改善策について問われると「それなりに処遇と時間を与えること」と答えた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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