天皇皇后両陛下、晩餐会に出席…日英友好への思い チャールズ国王は「お帰りなさい」
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 チャールズ国王が晩餐(ばんさん)会冒頭で「お帰りなさい」と日本語で語り掛ける場面や、さらにジブリ映画やハローキティなど、日本の文化に触れるスピーチをされました。

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■26年ぶりの国賓訪問

チャールズ国王
「今宵(こよい)、両陛下をバッキンガム宮殿にお迎えできることを、私と妻は大変嬉しく思っております。英国に『お帰りなさい』」

 日本時間26日午前5時ごろから始まった晩餐会は、チャールズ国王による「お帰りなさい」という日本語で始まりました。

 天皇陛下の胸元には、国王から贈られたイギリス最高位の勲章「ガーター勲章」が着けられています。雅子さまはカミラ王妃と同様、真っ白なドレスにティアラを着けています。

 およそ170人が出席した晩餐会には、ガンで闘病中のキャサリン妃の姿はありませんでした。

天皇陛下
「日英関係はかつてなく強固に発展しています。裾野が広がる雄大な山を、先人が踏み固めた道を頼りに、感謝と尊敬の念と誇りを胸に、更に高みに登る機会を得ている我々は幸運と言えるでしょう」

 天皇皇后両陛下が国賓としてイギリスへ訪問するのは26年ぶりです。皇室と王室の絆を深める晩餐会、これに先立ち行われたのは…。

 公式行事を前に、天皇皇后両陛下をお迎えに来たのはウィリアム皇太子です。

ウィリアム皇太子と天皇陛下、皇后・雅子さま
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ウィリアム皇太子
「陛下、お会いできてうれしいです」

天皇陛下
「またお会いできてうれしいです」

ウィリアム皇太子
「よく戻ってきてくださいました。お二人とも我が国のことは良くご存じですよね」

皇后・雅子さま
「お会いできて光栄です」

ウィリアム皇太子
「私もうれしいです」

■雅子さまもお姿を…

2015年
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 2015年、ウィリアム王子が来日し、東宮御所に招かれた際には、当時皇太子だった天皇陛下が玄関でお出迎えをされたこともあります。

ウィリアム皇太子
「オックスフォードでお二人は同じ時期に学ばれたんですか?」

天皇陛下
「いえいえ、違う時期にです」

皇后
「私より5年前です」

チャールズ国王とカミラ王妃
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 ウィリアム皇太子が天皇皇后両陛下を出迎え、歓迎式典が行われる広場に、チャールズ国王とカミラ王妃が姿を見せました。チャールズ国王らが到着したおよそ15分後です。

チャールズ国王と握手を交わす天皇陛下
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 天皇陛下は、和やかな表情で壇上のチャールズ国王と握手を交わします。近くには、その様子を見つめるウィリアム皇太子の姿もあります。

 体調を考慮し休養していた雅子さまがお姿を見せるのは、到着された日以来です。カミラ王妃と同様に、白を基調とした衣装と帽子です。

スナク首相
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 両陛下は、来週、総選挙を控えるスナク首相と握手を交わす場面もありました。

■終始、歓迎ムードのパレード

笑みがこぼれる様子も
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 市内2カ所で、それぞれ41発の礼砲が放たれました。歓迎式典が終わるとチャールズ国王と天皇陛下が一緒の馬車に乗り込みました。2人で言葉を交わして時折、笑みがこぼれる様子が見えます。

 その後には、雅子さまとカミラ王妃を乗せた馬車が続きます。

雅子さまとカミラ王妃
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 雅子さまがマスクを付けているのは「馬アレルギーのため」だといいます。

2020年に予定されていた公式訪問
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 当初、2020年に予定されていた公式訪問でしたが、コロナの影響で延期。招待したエリザベス女王も亡くなったため、天皇陛下は出発前の会見で、「御存命中に伺えなかったことが心残り」と語られています。

 この日、ロンドンの最高気温は28℃。炎天下の中、集まった人たちに笑顔で手をふって応えた天皇皇后両陛下。バッキンガム宮殿前の「ザ・マル」と呼ばれるおよそ1キロの並木道。日の丸とイギリス国旗が掲げられるなか、馬車は進んでいきます。

信号機を撤去
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 パレードが行われる「ザ・マル」では、馬車の通る道を作るために信号機を撤去。こうしたパレードのために、信号機は取り外しできるようになっているそうです。

 パレードの5時間前から待っているという日本人の親子は、このように話しました。

パレードを見に来た親子
「会えたら会えたで天にも昇る気持ちですけど、話せたら話したいという感じかな」

パレードを見に来た女性
「(Q.馬車のスピードはあっという間だった?)あっという間でしたね。構えていたんですけど、実際に生でお顔をみたいというのと、写真を撮ろうかと迷いましたけど、感動しました」

パレードを見に来たイギリス人
「私も両陛下のファンなので良かったです。皇后さまがマスクをされていたのは残念でしたね。目だけ見えました」
「2020年に訪れる予定がコロナで中止になって、ようやく公式訪問が実現して良かったわ」

■「無名戦士の墓」にも花を…

 終始、歓迎ムードで行われた今回のパレード。

1971年、昭和天皇と香淳皇后
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 過去には、1971年に昭和天皇と香淳皇后が出席されたパレードでは、エリザベス女王と昭和天皇の馬車をめがけて男がコートを投げつける事件も。

1998年
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 1998年、上皇ご夫妻が天皇、皇后としてイギリスを訪問された際にも、先の戦争で旧日本軍の捕虜となった元軍人などが、沿道で背を向けるなど歓迎ムード一色ではありませんでした。

 パレードはおよそ10分間行われ、終着点となるバッキンガム宮殿前へ到着しました。

イギリス王室に贈られたコレクション
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 チャールズ国王主催の昼食会「午餐(ごさん)会」にご出席された天皇皇后両陛下。その後は、チャールズ国王とカミラ王妃の案内で、日本の皇室からイギリス王室に贈られたコレクションなどをご覧になられました。

 イギリスへのご出発を前に、天皇陛下は両国の戦争の歴史について思いを話されていました。

天皇陛下
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天皇陛下
「私と雅子は戦後生まれであり、戦争を体験していませんが、亡くなられた方々や苦しく悲しい思いをされた方々のことを忘れずに、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います」

お召し物も着替えられた
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 第1次世界大戦で亡くなった、身元不明の兵士たちが埋葬されるウェストミンスター寺院。天皇陛下はモーニングからスーツに。雅子さまは真っ白なレースのお召し物から白を基調とした中に、黒のラインの入ったセットアップに着替えられ、無名戦士の墓を訪れました。

牧師
「ここは無名戦士をたたえています。ここには戦争の記憶がとどめてあります」

花を手向けられた天皇陛下
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 牧師から説明を受けた後、陛下は「無名戦士の墓」に花を手向けられ、お二人そろって、およそ10秒間にわたり深々と一礼されました。

 オーケストラの生演奏とともに、天皇陛下はチャールズ国王と、雅子さまはカミラ王妃と並び入場されて始まった晩餐会。

 陛下は、燕尾(えんび)服にホワイトタイ。胸には、昼食会の後に、チャールズ国王から贈られた、イギリス最高位の「ガーター勲章」が着けられています。

 雅子さまは、白のドレス姿に頭に着けたティアラが輝きます。メインテーブルにはチャールズ国王を中心に、左に天皇陛下、右にカミラ王妃、その隣に雅子さまが着席されました。

■笑顔に包まれた国王あいさつ

晩餐会はチャールズ国王のあいさつから始まりました。

チャールズ国王
「今宵、両陛下をバッキンガム宮殿にお迎えできることを、私と妻は大変うれしく思っております。英国に『お帰りなさい』」

 両陛下のイギリス訪問を「お帰りなさい」と表現したチャールズ国王。このお言葉に両陛下も笑顔で応えました。日本文化ゆかりのキャラクターやアニメを交え、スピーチするチャールズ国王。

チャールズ国王
「スタジオジブリのアニメは世界中の観客を楽しませ続け、今年初めには宮崎駿監督の素晴らしい『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞しました。今晩、ロンドンの劇場、ロンドン・コロセウムでは、「千と千尋の神隠し」の舞台が満席の観客を前に上映されます。ハローキティのお誕生日をぜひお祝いしたいと思います!」

 会場は、笑いに包まれました。

 国王のスピーチの最後には「カンパイ!」と、天皇陛下とチャールズ国王がグラスを合わせられました。

 国王からのスピーチを受け、陛下のおことばは。

天皇陛下
「この度は、私と皇后を国賓としてお招きくださり、訪問の実現に向けて国王王妃両陛下を始め、貴国の皆様から多大なるご配慮とご尽力を頂いたことに、心から御礼申し上げます」

 チャールズ国王やカミラ王妃への感謝の気持ちを述べられた後…。

天皇陛下
「私の祖父は1971年の晩餐会で、日英両国の各界の人々がますます頻繁に親しく接触し、心を開いて話し合うことを切に希望し、また、私の父は、1998年に同じ晩餐会で、日英両国民が、真にお互いを理解し合う努力を続け、今後の世界の平和と繁栄のために、手を携えて貢献していくことを切に念願しておりました」

 さらに、天皇皇后両陛下がオックスフォードに留学された際のことについてふれました。

天皇陛下
「皇后と私が留学し、たしか陛下のご出身大学は違いましたよね」

 ケンブリッジ大学を卒業されたチャールズ国王に対し話を振り、笑顔を交わされていました。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月26日放送分より)

外部リンク
雅子さまの学友が明かす“オックスフォード秘話” 両陛下イギリスへ
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