師匠の名を冠したチーム名を掲げ、いざ本戦へ!将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Dリーグ第2試合、チーム稲葉 対 エントリーチームの模様が6月29日に放送された。優勝経験を持つ稲葉陽八段(35)率いるチーム稲葉『井上一門』はチームワークを武器に、自力出場を勝ち取り勢いに乗るエントリーチームを5勝3敗で振り切って勝利。2度目の大会制覇に向けて、堂々の予選首位突破を決めた。
【映像】現役最年少棋士・藤本渚五段、チーム稲葉で圧巻の個人3連勝!
同じ井上慶太九段(60)門下の兄弟弟子でタッグを組んだ今期のチーム稲葉。リーダーの稲葉八段は、それぞれ新人棋戦での優勝経験を持つ現役最年少棋士の藤本渚五段(18)、新鋭・上野裕寿四段(21)を指名し、2年ぶり2度目の優勝を目指している。強敵揃いの予選Dリーグ第2試合では、激戦のエントリートーナメントを勝ち抜け自力で大会出場権をもぎ取ったメンバーで構成されたエントリーチームとの対戦に。“下剋上”を狙い、怖いもの無しで挑んでくる難敵と予選突破をかけて争った。
経験豊富な稲葉リーダーは、初戦から第4局までを上野四段・藤本五段に任せる大胆な采配を振るい、3勝1敗とリードを奪うことに成功。自身は5戦目で初登場となった。稲葉八段が勝負所と見た第5局は、エントリーチームでリーダーを務める大橋貴洸七段(31)との対戦に。ここでしっかり叩いておきたいところ、と意表の振り飛車を採用した稲葉八段だったが、居飛車急戦から大橋七段が積極的に指し進め、力を封じられる展開に。竜切りから鮮やかな一刀両断を見せた大橋七段に、快勝を許す結果となった。
スタートダッシュに成功しながらも3勝2敗と迫られることとなったチーム稲葉は、第6局で藤本五段を投入。これまでに2勝を挙げている藤本五段は、この日2度目の激突となった井出隼平五段(33)との角交換振り飛車に臨んだ。出だしから井出五段にリードを許す展開となったものの、駒得から勝負所を読み切った藤本五段が勝利し、この日個人3連勝を飾るとともにチーム勝利に王手をかけた。
ここで勝負を決めると第7戦に挑んだのは上野四段。ABEMAトーナメントでも常連メンバーの冨田誠也五段(28)とのマッチアップは、先手の冨田五段が中飛車を志向。上野四段は穴熊で対抗したが、冨田五段の“穴熊噛みつき大作戦”が成功。終始振り飛車にリードを保たれ、星を譲る結果となった。
ここまでで後輩両名のカードを使い切ったチーム稲葉は、兄弟子の稲葉八段が本領を発揮。粘り腰で食らいつくエントリーチームとの一戦に決着を付けるべく、稲葉八段が第8局へと向かった。連投してきた冨田五段との一戦では、振り飛車を封印して居飛車で対抗。稲葉八段が堅陣を活かして後手陣を薄め、圧巻の勝負術を駆使して冨田五段を下した。
同門のチームワークを武器に全員で勝ち星を上げ、チーム稲葉が5勝3敗でエントリーチームを撃破。稲葉八段は「2人で5勝してくれるんじゃないかという勢いで勝ってくれたので、本当に頼もしい後輩2人」と弟弟子たちを賞賛。「またこのチームで本戦を戦えることを嬉しく思っています」と表情を緩めていた。優勝奪還へ向けて、いざ本戦へ。「強敵が来ると思いますが、自分たちらしい戦いが出来れば」。チーム稲葉が見据える先は、頂点のみに絞られている。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)