石川県能登町にあるアート作品「イカキング」。当時、2700万円という総工費に住民から批判が殺到したが、奇跡の集客に成功。6億円もの経済効果があり注目を集めている。
近年、街づくりにアート性を導入する試みは全国でも数多くみられる。しかしこれまで各地で集客を見込み巨大アート作品に億単位の税金を投じ作られ、そのたびに「税金の無駄使い」と批判されてきた。すべてが当初の期待通りになったとは言い難いのも事実だ。
一方で、震災で甚大な被害にあった石川県能登町が誇るアート作品「イカキング」は、批判を乗り越え、地方創生に成功した。イカキングは全長13メートル。幅9メートル、高さ4メートル、重さ5トンの巨大なイカのモニュメント。2021年に名産のスルメイカをPRするため、道の駅の敷地内に総工費2700万円をかけ設置された。
その大半が新型コロナ対策で国から給付された臨時交付金から使われたことから「今イカに金かけてる場合じゃない」「2500万円をイカに充てるくらいなら医療に使ってほしい」「交付金のこんな使い方、日本の恥だ」などと批判が噴出。さらにこの問題は国内にとどまらず海外メディアにも取り上げられた。
しかし批判から一転、奇跡の集客に成功。イカの駅つくモールの林生一郎駅長は「あのころはグッドニュースではなかったが、(イカキングを)まず見てみたいと奥能登半島の先端に11万人のお客様が来られたので、相乗効果があった」と振り返った。
設置から1年で小さな町に11万人の観光客が訪れ、経済効果は総工費の22倍におよぶ6億円。広告宣伝効果は18億円に達した。さらに道の駅では能登のイカをメインにしたお土産や名物などを次々と展開し、売上も急増したという。
「地域を元気にするためには、足を運んで地域のものを召し上がっていただく、地域はそれで潤うというのがこの道の駅の存在理由」(林生一郎駅長)
しかし、2024年1月1日に能登半島地震が発生。敷地内には地割れが発生するなど爪痕が残っていたが、林駅長は「モニュメントが大丈夫かなと思ったが1ミリも動いていなかった。イカキングが(津波で)流されなかった、傷つかなかったということは、ある意味私たちにとって勇気になったと思う」とコメントした。
建築家の小林純子氏は「一点豪華主義のアートではなく、今回の(イカキング)はみんなで使いあう造形になっている」と解説して「いい公園ができてこの場所の価値が上がるのではないかと思うので、住民に納得のいくような形でやって成功するといいなと思う」と語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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