【写真・画像】「障がい者が子どもを産むっていけないの?」先天性四肢欠損症で1児の母・佐野有美、心無い声に葛藤も娘との日々を発信する理由を告白 1枚目
【映像】佐野有美の夫と娘(佐野が家事をする様子も)
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 先天性四肢欠損症という障がいを持つタレントの佐野有美(34)。2歳上の夫との間に出来た4歳の娘を育てる母だ。障がいを抱えながら子育てに励む様子をSNSに公開すると、心無い声が寄せられることも…それでも家族への愛に満ちた佐野にABEMAエンタメが密着取材。「五体満足じゃないと子どもを産むのは許されないこと?」障がいとともに前に進み続ける佐野の生き方に迫る。

【映像】佐野有美の夫と娘(佐野が家事をする様子も)

 1990年、愛知県豊川市で生まれた佐野。生まれつき短い左脚と3本の指以外を欠損している。それでも、小学校から中学校は両親の希望で通常学級に通い、進学先の私立高校ではチアリーディング部に所属。周囲の助けもあり、学校生活を謳歌した。

 卒業後は、“声を使った仕事をしたい”と思い、ラジオ番組に出演。2011年には、歌手デビューを果たした。現在は、タレントとしてのメディア出演や講演会など、マルチに活動している。順調にキャリアを重ねていく一方で、私生活は…

佐野「将来私は結婚して家庭を持ちたいという夢はあったんですけど、障がいというのが自分の中であったし、恋愛にトラウマになっていたので『私は無理だろうな』と諦めていました。学生時代にメールで紹介で出会って最初は『気にしないよ』って言ってたのに、いざ会った時に『無理』と言われて逃げられたことがあって、それからちょっと恋愛に対してトラウマになってしまっていて…。なので、本当は家庭を持ちたかったけど、無理だろうなってずっと恋愛に対して臆病になっていましたね」

 それでも“家庭を持ちたい”という夢を諦められず友人に相談すると…

佐野「たまたま友人の友人がなんか連絡来て、豊川で誰か女の子いない?みたいなこと言われて。その子は彼がいたので、(友人が)『有美がおる』ってなって私を紹介してくれたそうです。初めはLINEのやり取りだったんですよ。友人が私の障がいを伝えてくれているものだと思ってたんですね。そしたら友人は『伝えてないよ』って。『えー!』と思ったんですよ。だけど友人は『これは私が言うことじゃないよ』って。でもすごい怖くて。正直、『だから気にしないよ』って言われても、もしまた逃げられたらっていう怖さがあったんですよ。だけど、夫は本当に気にしないし『てか知ってたよ』って言われて。『どういうこと?』と思ったら、私がネットで出てきたみたいで、『俺は全然本当に気にしないから会おうよ』って言ってくれて。じゃあっていうことで会ったらすごく自然体で、何て言うのかな、障がいを持つ女性ではなく、1人の女性として見てくれているのがすごく伝わって、そこで私は夫に対して今までと違うなって、すごいなこの人って思いました」

 2017年、3年の交際を経て結婚した。

佐野「私が24歳で夫が2つ上なので26になる歳で、3年付き合って私の27歳の誕生日の時に27本のバラの花束を仕事帰りに買ってサプライズで渡してくれて『結婚してください』って言ってくれて、『えー!』みたいな。すごくうれしくて、多分泣いたと思いますね」

 そして2020年5月には、1年間の不妊治療の末、第1子となる長女めいちゃんを出産した。念願叶い、3人での暮らしをスタートさせた佐野。

佐野「すごくうれしかったですね。全然できなかったので一番うれしかったのは母子手帳をもらえた時ですね。本当に子どもがいるんだって」

SNSでは心無い声も…佐野が娘との日々を発信する理由

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 幸せな家庭を手に入れたと思ったのもつかの間、“心無い声”に水を差される。

佐野「(SNSの)DMで直接 私に『腹が立つ』って言われて。『障がい者が子どもを産むな』とか『自分のことが何もできないくせに子どもを産む資格はない』とか『子供がかわいそう』とか、『将来子供は不幸決定だね』とか、色々なマイナスな言葉を浴びせられて。せっかく私は子どもを産めて感動して、看護師さんや周りの方に喜んでもらえて笑顔に包まれたのに、いざSNSを開くとそういった言葉…強い誹謗中傷を見た時は本当にショックでしたね。もう本当に『何で?』と思いました。『障がい者が子どもを産むっていけないの?』と思いました」

 「障がい者が子どもを産むな」。それは誰よりも佐野自身が葛藤していたことだったという。

佐野「やはり友達の姿とか、姉も子どもがいたので、子育てをしている姿を見て、ほとんどが両手を使ってするものじゃないですか。けど、自分にはない…できないかなと思っていて。本当に命だから、『産んでやっぱり育てられない』って、そういうわけにはいかない。やはり大事な命を産むことってものすごく大きいことだし、真剣に考えていかなければいけないことだなって」

 めいちゃんが生まれる前から佐野は、ママになるための準備を人一倍行ってきた。

佐野「せっかく自分が産んだ子どもを全て他人に任せるのは嫌だなと思って、自分が育てたいっていう気持ちがすごく強かった。産んだ以上は自分が育てたい。そこで『子育て支援センター』に行ったんですよね。『自分でもおむつ替えしたいし子育てしていきたいので、何かアドバイスいただけませんか?』と相談したら、『赤ちゃんの人形を産まれるまで貸してあげるから一緒にやってみようか』と言ってくださって。なので、妊娠してから本当に産まれる直前までおむつ替えの練習を何度も毎日のようにして、どうやったらできるかというのを自分で考えて、そしたら最終的には自分でできるようになって。色々な想定を考えて、産むまでに対策を考えて努力しましたね」

 さらに、育児ができることを証明するため、めいちゃんとの日々を世の中に発信することを決めた。

佐野「障がいを持っているけど、障がいを持っていても子育てが出来るっていうところを見せていこうと思って、そこからYouTubeを始めました。それを発信することによって、他の障がいを持った人が自分も子どもを授かってみようかなとか、家庭を持ちたいなとか。諦めかけていた人が、逆に勇気になるような動画をアップしていこうっていうふうに思って、そこで私は発信していこうって思いました」

佐野「他の親御さんってお子さんと手を繋ぐんですよね、危ないから。自分は車椅子だし両手がないからめいちゃんと手を繋いであげることが出来ない。それがやはり申し訳ない気持ちでいっぱいだった。ある時めいちゃんが歩いていて『ママ』って言って、私の袖を持って『手を繋ごう』って言ってくれたんですよ。『見て、ママと手を繋いでる』って言って歩いてくれて、『え?これでいいの?』みたいな。すごくそれは感動しました。『私のママはママ』みたいな感じで4歳なのに自然とママのことを理解してくれているのかなと思ったらすごく感動して」

 佐野が育児をする上で心がけていることは…

佐野「正直『あみさんは100%この体を受け入れてるんですか?』って言われたら正直『いいえ』って答えるんですよ。なんで私だけこんな体なの?ってすごい嫌だったんですけど、声があるんだって思えたときに、形では愛情表現ができなくても、言葉では愛情表現はできると思ってるので、他のお母さん方より出来るだけ多く愛情表現を言葉によって、声によって、私は伝えていこうというのを日々心がけています」

 愛情を持って子育てに励む佐野。そんな彼女を支えるパートナーに“佐野の好きなところ”を聞くと…

「何事もチャレンジすること、笑顔。明るくて。めいのことは見てくれてるというか、言い方がわからないですけど、守ってくれているからありがたいなと思うんですけど、家事とかやってあってもやってなくてもどっちでもいいという感じなんで。(手足がないことを)あんまり気にしてないですね。普通に手足ある人と同じようなことぐらいしか思っていない、最初から」

佐野「中身を見てくれたってこと?」

「うん」

佐野「お互いで補い合ってやっていこうね、みたいな」

 憧れだった“家庭”を掴んだいま佐野の胸に芽生えた思いは…

佐野「子どもを授かれるかどうかも産めるかどうかも育てられるかどうかも、正直本当にわからなかったというのが本音なので、私と結婚したことで子どもを諦めさせるっていうのがすごく辛いことだから、子どもを産めて無事に元気に育ってくれて家族うまくやれてるかな?笑い合って生活できているので幸せです。夫にも聞いてください」

「幸せです。多分どんな形でも幸せって言っていると思うし、幸せかどうかなんて言ったもん勝ちだから」

佐野「かっこいい」

(『ABEMA NEWS』より)

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