東京都知事選挙で圧勝した現職の小池百合子氏について、国際政治学者で元東京都知事の舛添要一氏が言及した。
過去最多となる56人が立候補した東京都知事選で、小池氏が291万票で3選を果たした。前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏は165万票で2位、蓮舫氏は128万票で3位となった。
小池都知事に投票した人などに、政策について聞くと「わからない」「出てこない」といった意見が多く見受けられた。
小池都政の8年の実績は、東京都独自の受動喫煙防止条例の制定、新型コロナ対策休業要請に応じた飲食店などに協力金支給。また、東京iDCD(東京感染症対策センター)設置、18歳以下の都民一人に月5000円を支給する「018サポート」の開始、高校授業料の実質無償化、卵子凍結に対する助成事業などが挙げられる。
舛添氏は都知事選前に小池氏について「出るも地獄、出ないも地獄」「ものすごくウソをつくのが上手な女性」と辛辣に評していた。
今回の都知事選での小池氏の圧勝を受けて「石丸氏と蓮舫氏の票数を合わせると小池氏より上。石丸氏が出馬せず、それが全部、蓮舫氏にいっていたらどうなったかはわからない。数が問題なのではなく、どういう候補が何人出たかが問題」「蓮舫氏には絶対入れないという自民党支持者がいる。石丸氏が伸びたのは若い人が票を入れた。だから消去法で勝っている」と分析。
さらに圧勝したにもかかわらず政策の認知度が高くないことについては「小池氏はステルス戦法をやった。石丸氏は229回街頭で演説をやっている。加えてSNSを使って盛り上がった。一方で小池氏は12回しかやっていない。現職でやらないというのはあり得ない。だから政策の説明を聞いていないから、誰も答えられない」「『もっとやったらどうですか?』と言われたら『公務で忙しいから』と、そんなのエクスキューズなので。そして今もステルスが続いている。石丸氏の話ばかりで小池氏の話は何も出てこないじゃないか。そういうところが問題」とコメント。
また8年間の実績に触れて「1期目の時に、最悪だったのは豊洲移転問題を大騒ぎして、今頃になって、温泉などの観光施設が出来上がったが、相当遅れた。どれだけお金を無駄にしたかわからない。一言で言うと“ばら撒き”。これは、ここにいる誰が都知事になってもできる」とした上で、「東京都は金が腐るほどある。天から降ってくるくらいあって、他の東京都以外の自治体は国からもらわないとやっていけない。地方交付税交付金がないとやっていけない。ひどいところは半分がそれ。東京は1円もいらないというのは、大企業の本社が東京に集まっているから。法人事業税、法人住民税などの法人税がわんさか入ってくる。彼女がやれたのは東京都が金持ちだったからで、大不況になったら、大企業が赤字になったら1円も入ってこない。そうすると、一気に減る。ジェットコースターのように、景気がいいときはいいが、落ちるとひどい。景気がいいときに貯金しておかないといけない」と糾弾した。
「私の時代には1兆7千億円を貯めていたが、彼女は全部使ってしまう。コロナでばら撒いた。ちゃんと審査をしないでばら撒いているから、小さい店は店を開けておくより儲かっているといったひどい状況もあった」(舛添要一氏)
また、今後の課題として「新宿・池袋の再開発」「江東5区の洪水対策」「国際金融都市への飛躍」の3つを挙げる。
「小池氏の最大の問題点は首都の知事なのに、都市計画の発想が全くない。今、渋谷が相当変わっているが、あれは彼女がやったわけではない。我々がやった成果が今出ている。次は新宿と池袋をやらないといけないが全く聞かない。都市計画をちゃんとやらないと東京都知事資格はない。2つ目は、地震対策と言っているけど、江東5区の洪水対策はどうするのか。江戸川、荒川が氾濫したら250万人が水没してしまう。それを何にも言っていない。3つ目は、日本全体が地盤沈下しているが、東京都は国際金融都市に戻らないといけない。もう誰も東京都を相手にしない。ニューヨーク、ロンドンはすごい。今、上海もすごくなってきている。これは相当考えないといけない。『日本がダメだから、東京から日本全体に』という思いはいいが、東京からダメになっている。こういう問題点は“ばら撒き”でできる話ではない。頭がないとできない。バカでもばら撒きはできるけど、こういうことはバカじゃできない。要するに、小池氏をバカだと言っていることになるが」(舛添要一氏)
さらに任期については、「4年間もたないのではないかと。こんな調子でいって、トランプ氏が仮に大統領になったとして、“日本たたき”をやったときに、東京都までダメになったときに、彼女でもつのだろうかと、4年間もつのかなと。今のような政策ではもたないのではないかと。それは有権者が決めることだが。だから、国政に戻るなんてとんでもない、論外だ」と総括した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側