「不思議ちゃんみたいな感じで捉えられてしまう。こっそりと信頼できる友達には言ったことがあるけど、公にしちゃマズいものなのかなと思ってあんまり言わなかった」。こんな悩みを抱えている山口葵さんが持つのは「共感覚」と呼ばれるものだ。共感覚とは、文字に色を感じたり、音を聞くと匂いを感じたりと、1つの情報から複数の感覚が呼び起こされるというもの。あるデータでは23人に1人が、何かしらの共感覚を持つとされている。『ABEMA Prime』では山口さん、モデルの長谷川ミラ氏という2人の共感覚保持者とともに、この現象を深堀りした。
【映像】共感覚を持つ山口さんの「文字に色」「数字に性格」がついた見え方
■数字に性別・性格も「3はやんちゃな男の子、8は大人の女性」
山口さんは文字に色を感じるだけでなく、数字に性別・性格を感じ取るという。「文字を一旦、脳に入れて浮かび上げた時に、赤い色がぼやっとついている。数字に関しては性別とか性格とかも、小さい時からずっとあった。文字を見ている状態は普通の文字。頭で思い出した時に周りに色がある」と、その感覚を説明した。見た時によって感じる色が変わることはなく、ずっと同じだという。さらに数字に関しては、数字が大きくなるほど性格がはっきりと感じられる。たとえば「3」はやんちゃな男の子、「8」は大人の女性といった具合だ。
長谷川ミラ氏は「(共感覚を)みんな持っていると思った」と、番組のテーマとして取り上げたことに、逆に驚いたという。「数字、文字、アルファベットに色がある。数字の1なら濃い青で、子どものころから変わらない。洋服をデザインする時にも影響があったかもしれない」と、山口さんと似た感覚だとした。人によって異なるとされる共感覚の組み合わせは、150種類以上に及ぶとも言われている。
■理解されにくい悩み「不思議ちゃんと言われる」長谷川ミラ「情報が多くて電車がつらい」
本来1つの情報に1つの感覚であるところが、複数感じることは生きづらさにもつながっている。23人に1人という少数派である以上、他の誰かに伝えても理解は得にくい。山口さんは「色が見えるとか言うと、不思議ちゃんとか言われる。なにか気持ち悪いもの扱いをされることがあるので、あんまり言わないようにしていた。外に出ても、いろいろな人がいたり景色を見たりすると、いろいろな情報が入ってきてその都度色も一緒に入ってくるのですごく疲れやすい」と、苦労を述べた。長谷川ミラ氏も「すごくわかる。もう情報過多になって、電車が辛かった。広告とかを見ていると『あー、ヤバい』と。だから、メンタルを楽にするためにオフにする方法を考えた。『無の感情』というか」と、経験と対処法を語ると、山口さんも「私も一緒で、真っ白な空間に行って、音も全くつけずに」情報を遮断するという。
■子どもの行動に出ることも「数字の2が出たら『嫌だ!』とパニックに」
保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、保育の現場で共感覚に触れる経験があったという。「去年担当していた保育園の年長クラスで、共感覚じゃないかと言われているお子さんがいた。例えば塗り絵をしている中で数字の『2』が出てくると『嫌だ!』と言って、ちょっとパニック気味に壁の方に行っていた。最初、誰も意味がわからなくて、お母さんとも話し合ったらそうかもしれない」と、子どもが取った行動の理由として共感覚にたどり着いた。
3歳のころからうっすら自覚があったという山口さんは、共感覚を活かしてアーティストとして活動を行っている。「数字以外でも自分の感情や人に対する印象に色を感じるので、それを水彩画にして、『共感覚アート』という名前にしてネット上に出したり、人に渡したりしている」。この他にも、音を聞いて色を感じるなどの体験イベントで共感覚の認知を広め、1つのゴールとしては義務教育として教科書に掲載されることを目指しているという。
(『ABEMA Prime』より)
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