気象庁も雨量予測は“非常に困難”氾濫・土砂崩れ…記録的大雨で被害拡大 山形・秋田

降り続いた大雨で甚大な被害を受けた山形県。新庄市では警察官1人の死亡が確認されました。ANNのまとめでは、これまでに行方不明は2人、安否不明は1人となっています。

■救助要請受け…警察官が死亡 1人不明

荒瀬川が氾濫した酒田市。流木やがれきが田んぼや住宅に押し寄せ、至る所で道路が陥没しています。流域に豊かな恵みをもたらしてきた川は、一変して脅威となりました。

阿部彩人さん
「流木はだいぶありますが、歩きでは渡れる状況です。ここは全部田んぼですが、泥が埋まっています」

新庄市では、住民からの救助要請を受けて現場に向かっていた、20代の警察官2人がパトカーごと増水した川に流されました。“住民の救助に行けなくなった”という通信が最後の連絡だったといいます。現場の田んぼの水中などを捜索し、警察官の1人を発見。死亡が確認されました。

■線状降水帯 気象庁“予測は困難”

山形県舟形町では裏山が崩れ、住宅が土砂に巻き込まれました。駐車場などがあった建物の1階部分は完全に潰れ、2階部分も大きく傾いています。80歳の女性が一時、身動きできなくなりました。当時、消防団の活動のため、家を空けていた息子は…。

救出された女性の息子 佐藤寿英さん(56)
「うちがまるっきり崩れてるので青くなって。『お母さーん!』と呼んだら『はーい』と言ったので、本当に良かったです。本当に」

48時間に降った雨量は、秋田と山形の各地で観測史上1位に。線状降水帯が発生するなど、これまでに経験したことのない記録的な大雨になりました。

気象庁
「線状降水帯が発生するような集中の仕方がするというところまでは予想ができていなかった」

■最上川が氾濫 2階まで水が…

最上川の氾濫により一帯が冠水した戸沢村蔵岡集落。集落ごと水没し、朝からヘリなどによる住民の救助が続きました。

救助された住民
「こんな経験ないな」

ここまで被害が拡大した背景には地理的な要因もあります。最上川は日本三大急流の一つとして知られ、狭さく部と盆地を交互に繰り返す地形が特徴です。集落はちょうど川が蛇行し、川幅が狭くなる場所に位置しています。増水した川の流れがせき止められるような形になって、氾濫が発生しやすい地域とされています。

のどかな風景は一夜にして変わり果てました。救助された住民は…。

救助された住民
「(救助を求めて)バスタオルで合図をした。なかなか上からは見えない。もう住めない」

2度の大雨特別警報が出された酒田市。濁流が住宅に押し寄せました。

浸水被害を受けた住民
「まさかあふれると思っていなかった」

■堤防の修復も 土砂崩れで一部孤立も

秋田県の各地でも被害が相次いでいます。子吉川や石沢川などが氾濫した由利本荘市では、決壊した堤防の復旧に追われていました。土砂やコンクリートで表面を覆う作業を進め、復旧には1週間程度かかる見通しです。

土砂崩れも相次ぎました。北秋田市では斜面が崩れ、建物の一部が宙に浮いた状態に…。

男性
「たぶん、これ今崩れるよ。(Q.時間経つと崩れる)崩れるよ。あんなに見えなかった」

上阿仁村では一時、孤立状態に。湯沢市では、国道で発生した土砂崩れに男性作業員が巻き込まれ、行方不明となっています。二次災害の危険があるとして捜索できない状況が続いています。

雄物川の近くでは、佐藤義雄さん(86)が自転車で出かけた後、行方不明に。26日午前9時ごろに川の中で遺体が見つかりました。

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