大岩ジャパン発足からおよそ2年半。集大成となる戦いがいよいよ始まります。初戦のキーマンはキャプテンの藤田譲瑠(じょえる)チマ選手(22)です。内田篤人さんはアンダー20代表のコーチをしていた時に一緒だったので、藤田選手の良さを非常によく知っています。どんなプレーに注目して初戦を見ていけばいいのか、大会前に内田さんが取材しました。

【画像】日本代表の期待のキャプテン MVPも獲得…藤田譲瑠チマ

■チャンスは「相手の目線」 日本代表の武器

藤田選手はオリンピックアジア予選では中盤で相手の攻撃を摘み取り、得意のパスでゴールを演出。キャプテンとしてチームを優勝に導き、MVPを獲得しました。

内田さん
「まずは二人の出会いから。恋人みたいだけど。覚えていますか?最初はU-20の合宿かなんかだと思いますけど」

藤田選手
「覚えています。覚えています」

内田さん
「僕はすごいチマのことは覚えていてまず、あの声ね。チマの甲高い声。すごい元気な選手がいるなと思って」

 甲高い声でチームをまとめる藤田選手。コーチだった内田さんはプレーの面でも“ある武器”を見出していました。

内田さん
「チマの僕が見ててすごいなって思うのが“縦パス”。縦パスってどんなイメージですか?」

藤田選手
「させる時にさしたいし、一番効果的な時に縦パス入れたいなっていう考えでやっています」

 縦パスとは、ピッチを縦に割るパスを出すこと。狭い隙間にパスを通し、日本のゴールを演出していました。藤田のパスには優れたものがあると内田さんはいいます。

内田さん
「画面越しで見ているじゃない。チマのパススピードだけ速いよ」

藤田選手
「本当ですか」

内田さん
「いいよ。あのくらいでぶつけていいと思う」

藤田選手
「ありがとうございます。うれしいです」

 滑るような速いパスで、タイミングよく隙間に通す縦パスでチャンスを生み出しでいました。ではなぜチャンスが生まれるのか?

藤田選手
「目線ですかね、相手の」

内田さん
「相手の目線?」

藤田選手
「相手が1回こうなる(目線を変える)と違うところが空いてきて、自分たちのリズム上げると空いたところから侵入できるのが縦パスの有効的なところだと思います」

 目線を変える縦パスとは、ディフェンスの目線がパスを受けた選手に。ボールを持った相手を警戒するので、スペースが生まれ、そこからチャンスが生まれました。いつでもパスができるように顔を上げ続けているのが藤田選手の良さでもあります。

■「嘉人さんに育てられた」 パリでさらなる飛躍を

内田さん
「縦パスを意識するようになったきっかけはあるんですか?」

藤田選手
「プロ入ってから一年目で大久保嘉人さんと出会って、そこがやっぱきっかけになったなって思います」

Jリーグで最多得点をあげた、元日本代表フォワード・大久保嘉人さん(42)。藤田選手がプロ1年目のヴェルディ時代に手ほどきを受けました。当時の話を聞きました。

大久保さん
「シーズン始まって初めてチマのプレーも見て、本当に縦パスが入れられない選手だったんですよ。もうボランチでサイドしか絶対見ない。もう縦は絶対に見ない選手で。でも、伸びしろはあったんで、これは言っていったほうがいいなと思って『お前この時何を考えてた?』『縦見て、空いてるよ。ここ入れれたんじゃないの?』『ミスしてもいいから出せ』ってずっと言って、入れられるようになってきましたね。でも本当に成長した」

内田さん
「一番変わったのは何ですか?意識ですか?」

藤田選手
「意識だと思います。それのおかげで前を見られるポジションニングだったり、首を振ることが、どんどん意識づいて」

内田さん
「嘉人さんに育てられたといっても過言ではない?」

藤田選手
「過言ではないですね」

日本一のストライカーに育てられ、日本の武器になった藤田選手の縦パス。さらに元コーチの内田さんは、パリでのレベルアップを求めました。

内田さん
「点取ってほしいな、チマに」

藤田選手
「取りたいですけどね。そういう能力を…」

内田さん
「点を取れたら、次のレベルだと思うよ」

藤田選手
「取りたいけど、簡単じゃない」

内田さん
「本番ではゴールした姿を見たいので」

藤田選手
「頑張ります!」

内田さん
「ぜひ頑張ってください。けがのないように」

(「報道ステーション」2024年7月24日放送分より)

外部リンク
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