“長老政治”はイメージダウン?小泉進次郎氏や小林鷹之氏…主要候補7人の顔ぶれ 自民党総裁選の行方
【映像】総理に近いのは?総裁選をめぐる相関図

 自民党総裁選が来月に予定されている。現職の岸田文雄総理(67)は、「先送りできない課題に結果を出すことに全力をあげている。それ以外のことは今考えていない」と、再選に向けて意気込むが、「ポスト岸田」には複数の名前があがっている。

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 自民党幹事長の茂木敏充氏(68)は、「三頭政治」の一角を占め、岸田総理最大のライバルだ。政倫審出席や派閥解消など、岸田氏は茂木氏に相談すらなく、もはや2人の関係は修復不可能な状態とも言われる。

 「コバホーク」の異名を持つ元経済安保大臣の小林鷹之氏(49)は、エリートコースから政治家に転身し、副大臣を飛び越えて大臣に抜擢された。そんな小林氏をライバル視するのが、元環境大臣の小泉進次郎氏(43)。小泉純一郎元総理を父に持ち、知名度は抜群だ。同じく神奈川選出で無派閥の菅義偉前総理によるバックアップも得ている。

 「女性初の総理」と期待されている、経済安保大臣の高市早苗氏(63)は、安倍晋三元総理の寵愛を受け、党内保守派を代表する論客となった。前回総裁選では、国会議員票で岸田氏に次ぐ2位を集めたが、安倍氏の後ろ盾なき今、党内基盤は未知数だ。

 デジタル大臣の河野太郎氏(61)は、副総理を務めた祖父・河野一郎氏、自民党総裁や衆議院議長を務めた父・河野洋平氏と、3代続く世襲議員。前回総裁選では、進次郎氏や石破茂氏との「小石河連合」で、岸田氏との決選投票に進出したが、デジタル大臣就任後は、マイナンバーカードのトラブルが続出している。派閥の領袖・麻生太郎氏の支持が得られるかも注目されている。

 自民党元幹事長の石破氏(67)は、キャリアも国民的人気もあるが、裏切り者の汚名を着せられ冷や飯を食らい続けて十数年。安倍氏や麻生氏に嫌われ続け、4度の総裁選で4連敗してきた。しかし裏金問題で自民党のイメージが地に落ちたことが、追い風となっている。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏は、「麻生氏は意外と総理を立てるが、岸田氏では自民党はダメだとわかっている」と語る。茂木氏はやる気満々だが、「世論調査の数字が低く、自民党の信頼が地に落ちた局面ではネックとなる」。河野氏も「麻生氏から見ると欠点が目立っており経験不足。マイナンバー問題で国民の支持も減っている」という状況だ。

 そんな中で「ぶっちぎりで人気」なのが石破氏で、小泉純一郎元総理や山崎拓元副総裁、亀井静香元政調会長ら「長老」の支持も得ている。ただ派閥がなく、推薦人を集めなければならず、菅氏や二階俊博元幹事長らを頼りにするも、青山氏の取材では「どうも飲み会の雰囲気がよくない」そうだ。「『大学時代に一番前の席に座った』といった話を延々としていたそう。議員の人気が厳しいのは変わっていない」という。

 菅氏や二階氏は、非主流派の代表として、進次郎氏にも期待を込めている。「菅氏は進次郎氏に軸足が移ってきている。森喜朗元総理も『進次郎で行け』と、天の声を発しているらしい。進次郎氏自身も、小林氏が出ると『若手のホープ』の座が奪われるとあって、出馬調整は最終段階になっている。有力候補になる可能性がある」と予想。

 小林氏をめぐっては、立候補を潰そうとする動きもあるそうだ。「屈しないかどうかが、今後の焦点になる。出身派閥である二階派の一部から、コントロールが効かない点や、当選4回の小林氏では『時計の針』が回りすぎて、中堅議員がお払い箱になる点で恐れている」。

 高市氏は前回総裁選で2位だったが、「安倍氏の後ろ盾がなく、派閥もない中で、保守派の結集を模索しているが、党内的には厳しい状況になってきている。勉強会や飲み会を開いても、(推薦人として必要な)20人も参加していない」とした。

 元自民党衆議院議員の宮沢博行氏は、「総選挙で野党から『長老政治』を指摘されるとイメージダウンにつながる」と分析する。「前回総裁選は高市氏を推したが、全国の議員に電話すると、『岸田氏への投票を頼まれている』と言われることが多かった。党本部からのリーフレットを支援者に配る“陸上戦力”が重要で、茂木氏や、もしかすると石破氏も強いと思われる」。自分なら誰を支持するか問われると、「私は高市氏を推す。政策理念も一緒だ」と断言する。

 同じく元自民党衆議院議員の宮崎謙介氏は、「刷新感」が重要だと語る。「『政治とカネ』や旧統一教会の問題を刷新できる顔は誰なのか。石破氏も『政権の中枢にいたのに、政治を変えられなかった』と切り捨てられる可能性がある」。そうした背景から、若手に絞られると予想する。宮崎氏は、当選同期の小林氏を推す。「もし小林氏を自民党が一丸になって推すなら、次は安泰だろう。刷新に尽きる」と意見を述べた。

 青山氏は「可能性が高まっているのは進次郎氏だが、森氏らに推されると『長老政治』と言われてしまう」と解説する。「総裁選は、お金も人材もいるため、かつての派閥のような戦力が必要となる。どういう構造で総裁選を行うかでも、今後の自民党の評価が分かれる。総裁選は公職選挙法に関係なく、とにかく権力闘争。お金をばらまいても犯罪にはならないが、裏金問題があるなか、どう変えていくかがポイントになる」と今後の焦点を解説した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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