“統計史上3例目”太平洋側に上陸…東北に台風5号 関東には“新台風”週末に直撃か

12日朝、岩手県に上陸した台風5号は、記録的な大雨をもたらしながら東北を横断し、各地に被害を出しました。

一方で、13日にも新たな台風が発生しそうです。今週後半には関東を直撃する恐れがあり、気が抜けないお盆休みになっています。

■列島を横断 各地で記録的大雨

自転車くらいのゆっくりとしたスピードで列島を横断した台風5号。東北の太平洋側への上陸は統計を取り始めてから3例しかありません。

岩手県大船渡市に台風が上陸したちょうど、そのころ…。

所村武蔵アナウンサー
「突発的に強い風が吹いてきました。木から葉っぱや枝がどんどん飛んできています。この凄まじい風の影響で、木が道路に倒れこんでしまっています。片側が完全に通れなくなっています」

釜石市では建設業者の建物が圧し潰されました。

久慈市を流れる久慈川では、河川敷の遊具も畑も水浸しです。

住民
「あのスイカ、今浮いているのはちょうど食べごろ。もう…ダメ」

堤防をはさんだ、すぐそばには住宅が建ち並んでいます。

住民
「1階の物は全部上げてきた。あとは自然に任せるしかない。自然の力にはどうしても勝てない」

■記録的雨量でダム「緊急放流」

同じく久慈市内を流れる長内川では…。

緊急放流を告げるアナウンス
「これまでに経験のないような放水です。直ちに命を守る行動を」

そして、午前10時23分。長内川上流にある、滝ダムの水位が上がったため緊急放流を開始。その影響で氾濫の恐れがあるとして、久慈市は一時、流域の住人8300人を対象に警戒レベル5にあたる緊急安全確保を出しました。

避難した住民
「何時ごろに帰れるようになるか。落ち着いたよと言われても、夜になれば歩けないから。不安だね」

その久慈市では、滝ダムの上流にあたる下戸鎖で、10日の降り始めからの雨量が480ミリ以上と、平年8月の2.5倍を超える、これまでに経験したことのない大雨となっています。

宮古市では内水氾濫が起こり、ポンプ車によって排水作業が行われました。

住民
「(Q.なぜ避難しない)犬4匹飼っているから避難所に行けない」

自宅の中を見せてもらうと…。

住民
「こうやってバケツに。流しもね、できるだけ。家の中もバケツにくんで風呂場とかに置いてます。前も水道が止まっちゃったから」

■“8年前”甚大な被害の町は

岩泉町を流れる小本川は氾濫危険水位を超えました。

佐々木快アナウンサー
「建物が傾いています。川沿いにある重機も水没してしまっています。川沿い一帯が水の中にあるという状況です」

流域の住人に否が応でも苦い記憶が蘇ります。8年前の夏、小本川の氾濫により、すぐ側にあった高齢者施設で9人の入居者が亡くなりました。

岩泉町には小本川だけではなく清水川も流れています。8年前は清水川もあふれ、町内では高齢者施設での被災者と合わせ19人が亡くなりました。

12日の清水川。激しい濁流によって護岸が崩れ落ちていました。ガードレールごとアスファルトの道路がえぐりとられたところも。災害に強い街づくりを進めていたところでした。

岩泉町にある日本3大鍾乳洞に数えられる『龍泉洞』。国の天然記念物に指定されています。中には水深100メートルに迫る地底湖も。本来なら8月は一番のかきいれ時ですが、12日朝から閉鎖となりました。

龍泉洞事務所 菊地隆二所長
「(Q.再開の見通しは)何とも言えない。どれくらいの被害状況か、水が引いてから洞内を確認して。どれくらい復旧にかかるのか、まだ全然分からない」

福岡から来た人
「(Q.お目当ては)もう…龍泉洞。いや本当このタイミングだけは。しょうがないです。また次、計画を立ててぜひ来たい」

岩泉町によると、安家地区の3世帯9人が孤立していて、12日夜中に解消する見込みはないといいます。

■“連休直撃”爪痕残る秋田は

台風5号が秋田県に入ったのは午後3時ごろ。仙北市でした。

下村彩里アナウンサー
「観光名所、田沢湖です。台風の影響で遊覧船は欠航となり、陸に引き上げられています。お盆シーズンであれば予約がいっぱいになる、カヤックなどの湖のアクティビティーもすべて中止となりました」

カヤックは60人ほどの予約が入っていましたが安全を考慮して中止となりました。

キャンプ場の従業員
「山間部なので土砂崩れ怖いですし、上にもダムがいくつかあるので、降りすぎると怖いなと。楽しい時期でもあるので、残念ではありますね」

近くの飲食店や土産店でも…。

田沢湖レストハウス 佐藤和人さん
「我々もそろそろあがろうかなと。東北に来る台風はほとんどない。慣れてないというか。備えは余計に神経を使って備えたい」

秋田では、先月下旬に見舞われた記録的大雨の爪痕も癒えていません。自宅や倉庫の下の斜面が崩れて宙に浮いたまま。市営住宅で避難生活を続けています。

住民
「何とか土のうを積んで水の流れをこっちの方へ。(Q.ブルーシートだけ敷いている)緊急に。あれ以上崩れないように。(Q.早く工事をしてほしい)早く一日でも早くしてほしいけど、お盆にちょうどかかったみたいで。役所もみんな休みで」

台風5号の中心は午後8時ごろ、日本海側に抜けました。まだ、被害の全容も見えていないなか、気がかりなことがあります。日本の南にある熱帯低気圧が13日にかけて台風にまで発達する予想を気象庁が発表しました。発生したら台風7号。発達しながら北上して、週末ごろには関東に直撃する恐れもあります。

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