【写真・画像】「嫌味がないエリート」“最速立候補”した小林鷹之氏ってどんな人?  1枚目
【映像】ランニングをしながら取材を受ける小林氏

 9月12日告示、27日投開票される自民党総裁選に19日、小林鷹之前経済安全保障担当大臣が先を切って出馬表明をした。 

【映像】ランニングをしながら取材を受ける小林氏

 小林氏とは一体どんな人者でどんな政策を掲げているのか? テレビ朝日政治部 大石真依子記者に聞いた。

━━小林氏の経歴は?

「東京大学を卒業し、その後大蔵省(現財務省)に入省、ハーバード留学を経て政治家になった。東大ではボート部で主将を務めたこともあり、党内からも『正に文武両道のエリートだ』との声が上がっている。政治家への第一歩は、財務省からワシントンDCの日本大使館に赴任していた2009年、『国際社会の中で日本の存在感が低下している』と危機感を覚え、当時野党だった自民党の谷垣総裁に手紙を送ったことだという」

━━当選3回で経済安全保障担当大臣を経験しているが、これは他の議員と比べても早い方ではないか?

「確かに早い。通常、大臣を選ぶ際には各派閥からいわゆる“大臣適齢期”の方を何人かピックアップして『この中からお願いします』などと総理に伝える慣例があったが、小林氏は自民党内で経済安全保障政策の立案に関わっていたこともあって同じく経済安全保障の分野に明るい甘利氏の推薦もあり岸田総理の“一本釣り”のような形で大臣に就任した」

━━他の候補者も小林氏を評価しているのか?

「現経済安全保障大臣であり、総裁候補として名前が挙がる高市氏は小林氏から自分に変わる際に岸田総理に対して『小林さんを留任させてください』とお願いしたほどその能力を高く買っている。とはいえ、小林氏は前回の総裁選では高市氏の推薦人だったこともあり、高市氏サイドは小林氏の名前が取り沙汰された頃から、『小林陣営についているのはどんな人なんだ?』と探りを入れていた。保守票が小林氏に流れることにも警戒感を示しているようだ」

━━出馬会見では何を訴えたのか?

「『自民党は生まれ変わる。』『世界をリードする国へ。』という2つのスローガンを掲げた。政治と金の問題を受け、自民党への国民の信頼が失われている中で『新たな自民党に生まれ変わるんだ』と刷新感を強調し、身振り手振りも交え、熱く決意を語っていた」

━━総裁選出馬にあたっての主な政策は?

「4つの柱を掲げている。1つ目は『経済』であり、『経済が財政に優先する』と強調していたが、これは財務官僚出身であることから緊縮財政派ではないかと見られることへのフォローとも取れるだろう。2つ目は『外交・安全保障』であり、新たな外交戦略として『BRIDGE(橋)』を掲げグローバルサウスと欧米先進国の架け橋となって、世界から必要とされる日本を作ると強調していた。3つ目は『安心と希望に関わる政策』であり、将来に安心と活力をもたらす社会保障制度改革に加えて『若者の手取りを大幅に増やす』と宣言していた。最後は『憲法改正』であり、緊急事態条項の創設や自衛隊の明記は喫緊の課題だとして、早期の発議に向けて最大限の熱量で取り組むと強調しており、これは保守層へのアピールだと見て取れた」

━━最速立候補の背景には知名度不足への危機感があるのか?

「本人も会見で『知名度すべてが私にとって課題だ』と話すなど、知名度に関しては陣営も本人も気にしている。また、煌びやかな経歴に有権者が引いてしまう点も考慮して、今後はメディアの密着取材なども通して『親しみやすさ』をアピールしていくのではないか。ちなみに先日はランニングをしながら取材を受けるなど、陣営も広報戦略を練っているようだ。一方同じく40代で、党内から出馬を期待する声がある小泉進次郎氏は圧倒的な知名度があり、小林陣営のひとりは『小泉氏が出ると議員票というより地方票がとられてしまうから出てほしくないのが本音だ』とこぼしていた」

━━世襲ではなく、なおかつ若いこともあり、小林氏に十分な“後ろ盾”はいるのか?

「まず、自民党の2012年初当選組が支えている。政治の世界では妬み・やっかみが強いが、ある閣僚経験者は『同期から好かれてるのは政治家として非常にいいこと』と話していた。一方である中堅議員は『若手が小林氏を推すのは、未来がある彼にここで恩を売っておけば、仮にここで負けても小林氏は次の政権で要職で遇されるだろうから推しても損はないということだろう』などと解説していた。小林氏としては、政治と金の問題や派閥への国民感情などに配慮し、『脱派閥選挙』を目指しているようだが、党内からは『小林氏を中心で支えているのは安倍派と二階派の若手だ。刷新感をアピールしているが、支えられているのが政治とカネの問題の原因を作った人たちだ』との批判もある」

━━党内での評価は?

「能力を高く評価する声は若手からベテランまで幅広く聞こえ、『嫌味がないエリート』。ただ、重要閣僚や党幹部の経験はなく『この厳しい情勢を乗り切るのにはまだ早い』との指摘もある。今回の総裁選でここまでの注目候補になるとは予想されておらず、それほど自民党が刷新感を求める危機的な状況にあるということだろう」
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