自民党総裁選への出馬を表明した河野太郎デジタル担当大臣は、会見で「改革」を強調した。
「傷だらけになりながらも、改革をとことん進めていく」と意気込む河野氏は、規制改革担当大臣として、ハンコやフロッピーディスクの廃止、ライドシェア導入を進めた。新型コロナ対策ではワクチン接種担当大臣として、G7で最も高い接種率を実現。現在はデジタル大臣として、マイナンバーカードの普及に尽力している。
改革を旗印とするが、派閥をめぐる対応は、そのイメージと異なる。総裁選への初出馬は2009年、自民党が総選挙に大敗して、野党転落した際に「派閥解消」を訴えた。2度目の2021年は、所属する麻生派の麻生太郎会長の制止を振り切って立候補したが、岸田文雄氏に敗れた。そして、裏金問題をめぐり、岸田氏が派閥解消を進めるなか、麻生派は唯一存続を決めた。河野氏は今回、派閥に残り、麻生氏の支持を得ての出馬となる。
祖父は元副総理の河野一郎氏で、父は自民党総裁を務めながら総理大臣になれなかった河野洋平氏。河野家3代越しの悲願達成となるか、ABEMA的ニュースショーでは、河野氏本人の本音に迫った。
8月のANN世論調査では、「次の自民党総裁」トップは石破茂氏(27%)、次いで小泉進次郎氏(23%)、高市早苗氏(9%)、上川陽子氏・河野氏・小林鷹之氏(6%)、林芳正氏・茂木敏充氏・その他の議員(1%)、加藤勝信氏・斎藤健氏(0%)の順で、「わからない、答えない」が19%だった。
今回の総裁選には、12人程度出るのではないかと、名前が挙がっている。河野氏は「自民党総裁選で、一番多かったのは5人。その倍くらいになると、テレビ局は困るだろう」と語り、「同じ質問の○×で、不完全燃焼になるのは避けたい」と、放送局ごとに外交や社会保障など、テーマを分けての討論を提案した。
河野氏が掲げる政策は、「日本を前に進めるための5本柱」だ。憲法改正(国会の議論を加速し、速やかな発議を目指す)、外交・安保(有事に備える防衛力整備、能動的サイバー防御法制化、食料安全保障確立)、経済・地域活性化(民間主導の経済成長、地域の再生)、デジタル(人に優しいデジタル化、デジタルを成長産業に)、防災・危機管理(風水害への対処能力を向上)が、その内容だ。
「これまでの総裁選は、“日本の形”を議論すれば良かったが、中国・ロシアの独裁国家が力で現状を変更しようとするなか、自由主義・民主主義を守ろうとする国が、『これからの世界をどう作っていくのか』と、アメリカが担っていた責任の一部を負担しあいながら前に進めなくてはならない。そういう中での日本のリーダーを決める選挙で、海外に向けた姿勢を議論する。“世界の形”を議論する総裁選にならないといけない。マスコミも、その問題をすくい上げて、議論できるようにしてほしい」
注目されているのは、経済政策だ。会見でも「財政規律を取り戻す」と発言していたが、デフレ基調からインフレ基調へ移行し、アベノミクスからの転換を余儀なくされつつある現状を説明しつつ、「予算を組んでいる事業でも、効果が薄いものは積極的にやめていかなければならない」とした。
公約では労働市場改革も掲げている。企業が不採算部門を閉じる際に、働いている人に「積極的に新しいスキルを身につけてもらい、付加価値の高いところへ移動してもらう」ような仕組みづくりを提案する。「焦点を人に当てる政策が大事だ。効率が上がらない企業は終わらせつつ、そこで働いている人の生活を保障しながら、新しい技術を身につけてもらう」と強調した。
河野氏が目指している改革は、議員からの反発も想定される。「議員からのハレーションはあるが、まずは世の中に意図を理解してもらわなければならない。企業が正規雇用を増やしたくないのは、業績不振になっても、その人たちを抱え込んだままになるから。正規・非正規で待遇や賃金に格差があり、社会の分断を生みかねない。正規・不正規の区別なく働ける、流動性のある労働市場を作りたい」と提言した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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