インターネット上の仮想空間で亡くなった人を供養する「メタバース霊園」が11日、オープンした。令和の新たな弔い方を取材した。
【画像】メタバース霊園での空間づくり 菅原知弘アナが体験「何か涙が出てきそうに」
■“終活”としての利用も想定
これまでとは全く違った形で、亡くなった人の供養ができるサービスが始まったということだ。
11日、菅原知弘アナウンサーが訪れたのは、埼玉県を中心に冠婚葬祭事業を展開するアルファクラブ武蔵野。家族葬や生前葬など時代に合わせたサービスを行ってきたこの企業が、新たな供養の形として提案するのが…。
アルファクラブ武蔵野 IT事業部
森田将碁さん
「メタバース空間上といって、パソコンの中から仮想空間に入っていただいて、大切な人との思い出をしのぶことができます」
メタバースというインターネット上に作られた仮想空間の中で、故人をしのぶことができる場所の提供を始めた。その名もメタバース霊園「風の霊」。一体、どんなものなのか。
アバターと呼ばれる分身を操作し、インターネット上のプライベート空間で故人をしのぶという。
スマートフォンなどがあれば、24時間、どこにいても、この空間に家族などで集まり、写真などを見ながら亡くなった人の思い出に浸ることができるという。
この霊園は、亡くなった人をしのぶだけでなく、死後に家族が集まり、自分を思い出してもらう場所をつくる終活の一つとして利用してもらうことも想定しているという。
■故人を思い出すツールとして採用
そこで、菅原アナが自分をしのんでもらう空間づくりを体験した。
自分の笑顔の写真や家族写真、小学生の時に使っていた大切なグローブの写真を飾ると…。
菅原アナ
「何か涙が出てきそうになるんだろう。あたたかい思い出に包まれるっていいですね。感傷的になる感じがしますね」
さらに、メッセージ動画などの映像も残すことができるのだ。
菅原アナ
「メッセージを残しておけば、亡くなった後も、亡くなった大切な人と会話ができる。コミュニケーションをしたような気持ちになれるのがいいところですね」
そして弔問客同士が、この空間でチャットや音声会話で故人について語り合うこともできる。
アルファクラブ武蔵野 小川誠取締役
「人は2回亡くなると言われておりまして、1度目は物理的な死で、2度目は記憶の中の死というところがある。昨今、墓じまいや仏壇じまいというような話があるように、状況が変わってきている中で、いわゆるお亡くなりになった故人を思い出すツールとしてメタバースを採用させていただきました」
■メタバース霊園 将来的には…
お墓を取り巻く状況は、大きく変化しているようだ。
全国石製品協同組合が行った調査によると、「1年以内に、お墓参り行きましたか」という質問に、「行っていない」と答えた人の割合は、2016年は10.7%だったが、2022年は35.5%だった。
理由を聞いたところ、最も多かったのは「コロナ禍だから(48%)」。これは特殊な事情ではある。ということで、実質的に一番多かった理由は「お墓が遠いから(20.8%)」だった。
また、厚生労働省の調査ではお墓を撤去する「墓じまい」などが2022年度過去最多となった。
お墓がないと故人をしのぶところがなくなってしまうと思う人も多いと思うが、「特定の空間があればしのべる」という考えのもと生まれたのが仮想空間での霊園だ。今後、こんなことも計画しているそうだ。
アルファクラブ武蔵野の小川誠さんによると、亡くなった著名人のファンが集える場としての活用や、ペットが亡くなった場合の利用もできるようにする予定だそうだ。
また、AI=人工知能を活用し、亡くなった人と会話できるシステムを開発中だという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年9月12日放送分より)