【写真・画像】区長選落選の元区議、就職先を探し40社以上応募「8年間のキャリアは透明な感じが」 政界挑戦の“落選リスク”を考える 1枚目
【映像】政治家経験で培われる能力“7つ”
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 与党・自民党の総裁選、野党第一党・立憲民主党の代表選が進んでいるが、注目の1つが決着後、早期の解散総選挙はあるのかどうか。選挙となれば、さまざまな立候補者が議席を争うことになる。

【映像】政治家経験で培われる能力“7つ”

 そこでスポットを当てたいのが、落選してしまった人。日本国民で年齢などの条件を満たせば誰もが立候補でき、いくつもの政党が立候補者を公募するなど、大きな門戸が開かれている政治家への道。しかし、選挙や政治活動のために多くの資金・時間をつぎ込んだ末に落選してしまったら、その後のキャリアや生活はどうなるのか。

 『ABEMA Prime』で、落選者と支援者を交え考えた。

■「議員8年間のキャリアはカウントされていないような、透明になった感じがあった」

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 「落選後、転職活動をスタートした。40社以上受けてやっと内定した。政治家は入口はあっても出口がない世界」とXに投稿したのは、南雲由子氏。東京・板橋区議を2期務め、去年区長選に立候補して落選し、再就職に奔走した。

「去年4月に落選し、11月に今の会社に入社した。実験としてあえて普通の転職サイトで活動してみた中で、議員の8年間は民間のキャリアとしてはカウントされていないような、透明になった感じがあった。官民共創の仕事をずっと探していたのだが、競争相手になるのはほぼ公務員の方。元公務員ならスッと通れるところが、元議員だと政治色がつくのでは、個性的なのではと、“使いづらい”印象があるのではないか」

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 40社以上を受け、行政と民間をつなぐ人材会社に内定し、今は議員経験を生かした働き方ができているという。「うまくいかない時、転職エージェントに言われてブレイクスルーしたのが、何を実現したかではなくどう実現したかに言い換えること。例えば、『医療的ケア児の保育園を実現した』はニッチな話だが、その過程でいろんな方の相談を聞いて課題を見つける力だったり、根回ししていく交渉能力などは、他の仕事でも活かせると思う」と述べた。

 一方、フリーアナウンサーの笠井信輔は「議員が落選した後の“仕事探しが大変だ”というのは、甘えなのではないか。落選したのは、区民の付託を受けられなかったということで、そのリスクは当然みんなある。仕事がないのは織り込み済みで、結局、そこを自身で切り開くということだと思う」と疑問を呈する。

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 ただ、南雲氏も落選後に声はかかったそうだ。「それはあったが、もう少しチャレンジしたかった。やはり落選後は政治家の秘書になるとか、他の選挙に出ないかという話をいただいたりする。それよりも、ロールモデルを作っておきたいという思いがある」と明かした。

 では、政治家と他業種を行き来しやすい“リボルビング(回転)ドア”は必要だと思うか。「官民共創をする時、民間だけやってきた人は、例えば区役所の中の誰に話しかければいいのか、どこを押したら動くのかはわからないと思うが、私は“ここの係長さんを押せば事業が動く”とわかる。官民共創の枠組みが広がっている中で、活躍の場はあるのではないか」との見方を示した。

■「無投票だと何もできない。むしろ落ちる人が多いほうがいい」

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 政治家と立候補者のキャリア支援・人材紹介を行う会社「PublicBeyond」。共同代表の遠藤結万氏は、政治経験が「キャリア」としてカウントされず十分に評価されない、政治に挑戦しやすく辞めやすい社会が必要との思いから、9月に立ち上げた。

「政治に近いところにいて、落選して苦労する方をたくさん見てきた。東大や早慶を出て、会社でもある程度年収があるような経歴の方でも、立候補した瞬間に仕事が見つからず困っているケースは多い。『新陳代謝』とみんな言うが、代謝“される側”にも人生があるわけだ。良いキャリアを全部投げ捨てるのに、4年に1回給料がゼロになって借金を背負う可能性もある。それで政治家になってくれというのは、一市民として言いづらい」

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 一方、笠井アナは「政治参画のハードルは必要だと思う」と自身の考えを述べる。「極端な話、この前の都知事選でポスター集金システムを作ったNHK党の立候補者の顔ぶれを見ると、入り口のハードルはあったほうがいいと思う。政治はもう少し覚悟が必要で、“俺ちょっと選挙行ってくる”“ごめん、落ちちゃって戻ってきた”みたいな話ではダメではないか」。

 これに遠藤氏は「一般的な感性を持っている会社員などの方が立候補しようとした時に、ものすごくハードルが高くなってしまう状況は違うのではないか。ただ、それ以外の方法でお金を稼ごうとしている人にとってはハードルが低くなっている、これは歪みだと思う」と、制度の問題を指摘した。

 そんな中、地方議員のなり手不足は深刻だ。2023年の統一地方選では、無投票当選者は道府県議選で25.0%、町村議選で30.3%(過去最高)。北海道や長野など20町村が定員割れ議会となっている。

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 こうした状況も踏まえ遠藤氏は「“こいつだけは通したくない”という場合でも、無投票だと何もできない。有権者が選ぶ機会があるほうが望ましく、むしろ落ちる人が多いほうがいいわけだ。ただ、落ちた人たちは仕事がなくなってしまうので、そこに対するケアは必要だと思う」との考えを示す。

 その上で、「落選はとても大変な経験。オーストラリアの州議会のリサーチで、3割ぐらいは深刻なメンタルの問題を抱えるケースがあるらしい。日本でも、落選翌日には事務所を引きあげて、頭を下げなければならないという時に、選択肢を持てるようにできれば」と目指す社会を訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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