見どころは、キラキラした青春時代と問題山積の現在パートのギャップ。あまりの落差さに戦々恐々とする一方で絵空事ではないシビアな現実の提示に、言葉に詰まる視聴者が続出している。
【映像】仮装メイクをした男が次々と…クランブル交差点で勃発した通り魔事件
本ドラマは、過去と現在のそれぞれの事件が繋がり、衝撃的“真実”が明らかになっていく群像サスペンス。2024年の渋谷で起きた凶悪事件を引き金に、週刊誌記者の主人公・中川碧(福原遥)は、事件の犯人が高校の同級生ではないかと疑う。疎遠になっていたかつての仲間たちと再会し、高校時代のある事件を回想しながら真相に近づいていく。
凶悪事件の犯人が自分の知り合いだったら?…いつ誰の身に起きてもおかしくない、そんな“IF”から始まる物語を彩るのは、週刊誌記者の碧とその高校時代の親友たち。海と緑に囲まれたのどかな田舎町で不自由なく青春を謳歌していた彼らのほとんどが上京し、現在ではそれぞれの人生を歩んでいる。だがその人生の道しるべは、高校時代に思い描いた夢の方向とは程遠い位置を指していた。
新聞記者を目指していた碧は、今ではゴシップ記者として働き、日々葛藤の中にいる。齋藤風花(小野花梨)は東京で夢破れ地元に戻り結婚して一児の母になるも、不満と退屈を持て余してネットの書き込みでストレス発散。高校時代はリア充一軍だったはずの喜多野雄太(伊藤健太郎)は、渋谷の片隅で闇バイトに手を染める男になり下がった。女優志望だった桜井梨沙(武田玲奈)はまったく芽が出ず、周囲に内緒で恵比寿のクラブでホステスとして働いている。渋谷のスタートアップ企業のCEOになった高木洋介(倉悠貴)は同級生の中では唯一順調そうだが、その心は果たして満たされているのだろうか?
未来に対する希望しかなかった青春時代と、厳しい現実との戦いを強いられているヘヴィな現在。とてつもない温度差の中でもがく様に生きる彼らだが、その落差にデフォルメは皆無。社会に出れば誰だって一度は寒風に曝される経験はあるはずだ。それぞれの登場人物が抱く葛藤と失望の一つ一つは現実世界と地続きのものなのだ。
渋谷のスクランブル交差点で勃発した通り魔事件。犯人として逮捕されたのはバットマンのライバル、ジョーカーのようなド派手メイクを施した身元不明の青年だった。碧は様々なヒントから犯人の青年は高校時代の知り合いなのではないかと疑い、独自に取材を進める。碧が呟く「もしあの時、あなたに気づけていたら」という意味深な言葉の矛先は、誰に向けられているのだろうか。そして犯人は一体。ドロドロ必至の今後の展開を追わずにはいられないドラマだ。