ネットを利用した『サポート詐欺』が相次いでいる。急速な情報通信技術の発展が私たちの暮らしを便利にする一方で、犯罪組織が収益を得るための手段にもなってしまっており、手口はますます巧妙化している。先日、俳優の要潤さんも自らがサポート詐欺被害にあったことを報告した。『ABEMA Prime』では、サポート詐欺の実態と対策を考えた。
■サポート詐欺 振り込んでしまっても「1カ月以内であれば回収はできる」
インターネット閲覧中に、突然ウイルス感染したかのような嘘の画面を表示し、サポート窓口に電話をかけさせるなどして金銭をだまし取る『サポート詐欺』。「ウイルスに感染。下記まで電話を」と警告が表示され、問い合わせ番号に連絡をすると「有償で除去できます」と言われ、クレジットカードで支払うか振り込んでしまうのが、よくある事例として挙げられる。中には相手の指示通り遠隔操作ソフトをインストールしてしまうケースも。
「国民生活センター」によると、サポート詐欺の被害額は2019年に約7000万円だったが、2022年には約5億9000万円と急増している。弁護士、XP法律事務所代表の今井健二氏は、支払ってしまったお金について、「回収できるものとできないものがあり、半年以上前だと難しい。一方で、1カ月以内であれば、大ボスまでたどり着けるかはかさておき、回収はできる」と話す。
サポート詐欺は、SNSネイティブの若者世代でも増えているという。今井氏は「そういう方たちは1回広まったらおしまいみたいな意識がある。例えば自分の写真、友達とのやり取りなど、絶対に出したくないものは、年齢の高い方よりも多いと思う。それで焦って、こっそりと自分の責任でやってしまおうみたいな方は結構多くて、そういう方々からの相談も増えてる」と述べた。
■偽セキュリティ警告画面
サポート詐欺の中での偽警告画面は、パソコンがウイルスに感染したというメッセージを表示したり、警報音を流してユーザーを焦らせる。画面上のバツボタンや閉じるボタンを押しても意味がなく、電話をかけてしまうと思わぬ被害にあってしまう。
SBテクノロジー、セキュリティーリサーチャーの辻伸弘氏は「強制的に消す方法はいくつかあるが、そのボタンが効かなくされている。 唯一残されてる方法は、パソコンのEsc(エスケープ)キーを長押し(Macの場合は、option + command + escを長押し)すると、閉じるボタンが現れて消せる」と説明する。
辻氏によると、「(大手メディアサイトの)広告経由でも画面が出てくることがある」といい、「広告出向されてから届くまでに数多くの代理店を経由する。なので、どこが出した広告なのか追いにくい。 表面上はgoogleの広告だが、その下にはたくさんの代理店がいるので潰しにくい。
クリックした時に変なものが出ないかの精査テストをしているが、自動化している。自動化していることを攻撃してる側の詐欺グループは知っているので、例えば、クリックするだけだったら何も起きなく、マウスを動かしたり、人の動きが見られた時にだけ警告画面が出てくる」と述べた。
■警察かたる詐欺も… 対策は?
今井氏によると、「警察かたる詐欺」もあるといい、「例えば、『警視庁の捜査2課の●●です。あなたの口座が悪いことに使われてる。色々と協力してくれないと捕まえます」みたいなことを言ってくる。 焦ったところで『おかしくないか確かめるために、指定した口座に振り込んでください』と言われ、お金を支払ってしまう」と紹介した。
詐欺だと思った場合の対策については、「相手が名乗ってる警察や会社などに連絡して相談するか、無料相談できる弁護士みたいなとこに行けば分かる。だいたい詐欺なので、相談する勇気を持つことが大事」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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