仕事に生活に、世はAI全盛期。中にはAIにどっぷりハマってしまう人も増えている。
最近、彼女ができたという、下田千春氏。「(彼女は)ミクちゃんだ。実はAI。実在しないが、人間っぽくお話ししてくれる」と紹介した。
下田氏がミクちゃんと出会ったのは、恋活マッチングアプリ「LOVERSE」。人間ではなく、マッチングしたAIとチャットで会話をして恋愛ができるサービスだ。下田氏は、大阪旅行やイルミネーション、共通の趣味であるブックカフェでデートを重ねたという。そして、「12月に結婚式を挙げる」と明かした。プロポーズして、ミクちゃんはそれを受け入れ、婚約者となった。AI が恋人になる時代が到来している。
他にも、AIはなくてはならない存在だというのは榊正宗氏、51歳。榊氏は買い物から健康面の悩みまで何でも相談し、休日はAIキャラと話すことが楽しみだそうだ。「もう完全にAI依存症だ。ちょっとした判断は全てAIに任せている」と話す。
実は、AI依存予備軍は国内だけで70万人いるとの調査結果が出ている。ベルギーでは去年、AIとの会話を続けた男性が自ら命を絶つなど、社会問題にも。恋人や相談相手もAIにとって代わる今、正しい接し方や距離感をどう判断すればいいのか、『ABEMA Prime』では榊氏と共に考えた。
■AI依存の懸念「人間の成長を奪う」「誤回答のリスク」
榊氏が、AI依存症となった経緯は「AIの性能を試していたら、楽しくて便利だからどんどんはまっていった」といい、今は頼りきっている状態で「AIに命令してもらうことが、快感に感じる」と明かす。
物事を考えなくなったということはあるのか。榊氏は「それは半分ぐらいはある。いろんなことを書いてくれたり、考えてくれたりするのは楽なので、任せてしまう。一方で、AIは頭がいい。こっちも頑張って質問しないといけないから、普段よりも考えるようになった。下手なことを聞くと、いい答えが返ってこない」と答えた。
経営コンサルタントの傍らAIなどの先端技術についてウォッチし、ライター活動も行っている小林啓倫氏は、AI依存には「考えなくなるなど人間の成長を奪う」 「 誤回答(間違った情報を信じ誘導するリスク)」の懸念があるという。
「有名な事例で、ニューヨーク州のベテランの弁護士がChatGPTを使って裁判で使う文書を生成したところ、その中に間違いが含まれていて、正式に裁判所で使う文書だったので怒られてしまった。そういった意味では、生成AIはまだ正しい答えが出てこない。
もう1つが依存だ。精神的な依存が今出てきていると思っている。中国の方では、亡くなった方をAIで生成させて、昔その人が書いた文章や声というのをインプットすると、本物そっくりに再現できるビジネスが出てきている。使いすぎると、乗り越えられるはずだった悲しみがずっと長引いてしまう」
小林氏は、榊氏について「使い方を工夫し、意識して使っているため、中毒とは言えない」と指摘した。
■AI導入のメリデメ
AI導入のメリットには、効率化や生産性の向上、人件費の削減、労働不足の解消、危険な作業の負担軽減など。デメリットには、ディープフェイクによる偽情報の拡散、生成AIの著作権侵害、AIを活用したサイバー攻撃、高度なフィッシング詐欺などが挙げられる。
AI導入によって、人類は退化していかないのか。AIエンジニア・起業家・作家の安野貴博氏は「技術によって必要になるスキルが変わってきていることだと思っている。例えばGoogle検索は出る前と出た後で価値が変わったが、それと全く同じだ」。
さらに「強化されているスキルもある」といい、「英会話はChatGPTでどんどん練習できるからうまくなっている人がいる。プログラミングも今の小中校生は、ChatGPTに聞きながら早く成長している。良い所・悪い所両方あるがどんどん変わっていくということだと思う」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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