石破新政権 裏金議員「相当程度を非公認」決断の舞台裏 所信表明に批判の声
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石破総理は次の衆院選に向けて、派閥の政治資金パーティーを巡り、収支報告書に不記載があり、『党員資格停止』の処分を受けた議員などを公認しない方針を示しました。石破総理は裏金議員について、「相当程度を非公認」にするとしています。

【画像】石破内閣の支持率 ANN世論調査

■“裏金議員” 一部非公認の舞台裏

非公認の条件1つ目です。

『選挙における非公認』より重い処分を受けた者です。
自民党の処分は8段階です。重い方から、『除名』『離党の勧告』『党員資格の停止』『選挙における非公認』です。
党員資格の停止を受けている3人が該当します。

非公認の条件(1)
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この1つ目の非公認の条件に当てはまるのが、下村博文元文科大臣、西村康稔元経産大臣、高木毅元国対委員長です。

当てはまるのは3人
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非公認の条件2つ目です。

軽い処分でも「処分が継続している」者です。
ただし、政倫審で説明責任を果たしている者を除くとして、これに該当する議員は3人です。

非公認の条件(2)
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この2つ目の非公認の条件に当てはまるのが、萩生田光一元政調会長、平沢勝栄元復興大臣、三ツ林裕巳衆院議員です。

当てはまる3人
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非公認となる議員の声です。
「まったくびっくりした。事前に相談も案内もなく、事後にも何もない。冗談じゃない、おかしいでしょう。処分はきちんと受けているのに蒸し返してこういうことをする。理解できないよ、党内から猛反発を食らうよ」

該当する議員からは(6日)
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非公認の条件3つ目です。

処分を受けた議員のうち、説明責任が十分に果たされず、地元での理解が十分に進んでいないと判断される者です。
該当する議員は、2桁にのぼる可能性があります。

非公認の条件(3)
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比例重複について、派閥の政治資金パーティーをめぐる不記載があったその他の議員についても、比例名簿への登載はしないとしています。 該当する議員は、約40人とみられます。

比例重複は
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石破総理自身は、党4役とともに比例重複立候補はしません。

石破総理は、
「所属議員にこうした対応をとる以上、ともに責任を果たしていく」としています。

比例重複について(6日)
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石破総理です。

今回の判断の理由は、「政治資金を巡る問題に対する国民の皆様方の不信、お怒りに対して、きちんと対応する事が必要」とし、退路を断って、有権者の審判に当落をゆだねるとしています。

また、「地元の有権者一人一人と真摯に向き合い、なんとしても小選挙区を勝ち抜くことを求めたい」ということです。

判断の理由(6日)
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政治ジャーナリストの田崎史郎氏です。

自民党内は、「党幹部によると、“非裏金議員”からの『もう我々は持ちません』『何とかしてくれ』というプレッシャーがすごかった。今回の決断に対して、『やってもらってよかった』という反応もある」ということです。

自民党内は
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野党の反応です。

立憲民主党 野田佳彦代表
「大甘な処分。4月の大甘な処分を基準にしているところから間違っている」

日本維新の会 馬場伸幸代表
「国民の目を欺くための弥縫(びほう)策であると断じざるを得ない」

共産党 小池晃書記局長
「世論の反発が大きかったので、今になって処分したとしか思えない。石破さんらしいぶれ方」

国民民主党 玉木雄一郎代表
「内部抗争で、安倍派の議員をできるだけ落選させようという内向きの処分にも見える」

れいわ新選組 山本太郎代表
「組織的な裏金作りの全容解明は行わず、選挙に負ければ死人に口なし。これが本質」

社民党 福島瑞穂党首
「そもそも裏金問題については、調査をきちんとすべきであり、公認することそのものが問題」

野党の反応
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■“ご祝儀相場”なし 支持率低下なぜ

石破内閣の支持率について見ていきます。5日、6日に行われたANNの世論調査です。

ANN世論調査
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石破内閣の支持率は、「支持する」という人は42.3%、「支持しない」という人は32.3%でした。

石破内閣の支持率
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自公政権の継続か政権交代かという質問には、「自公政権の継続を期待する」が38%、「政権交代を期待する」が38%と同数でした。

政権維持か交代かについて
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1日、2日に実施された朝日新聞の世論調査では、「支持する」が46%、「支持しない」が30%でした。 2001年以降の内閣発足直後では、過去2番目の低さです。

朝日新聞の世論調査
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自民党内の受け止めです。

閣僚経験者
「かなり厳しい水準だね。総裁選の後は普通もっと高く出る」

別の閣僚経験者
「みんな、『石破政権は参院選まで持たない』と思っているだろう。現有議席は間違いなく減らすだろう」

自民党内の受け止め
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■石破カラーどこへ?早くも“言行不一致”

石破総理自身の発言の変化です。

解散について、先月15日、
「自民党の都合だけで勝手に決めるなということ。今すぐやりますという話には、私はならないと思う」と発言していましたが、9日に衆議院解散すると表明しました。

解散について
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女性参画について、1日、
「あらゆる場面の意思決定において、女性が参画することが官民共通の目標」と発言していましたが、女性閣僚は副大臣、政務官合わせても4人です。

女性参画について
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マイナ保険証について、先月8日、
「(従来のものとの)併用も考えることは選択肢としては当然」と発言していましたが、現行の保険証の新規発行停止の日程も従来通りとなりました。

マイナ保険証について
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アジア版NATOについて、先月12日、
「アジア地域に集団安全保障の仕組みを作っていく」としていましたが、所信表明では触れられませんでした。

アジア版NATOについて
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日米地位協定の改定について、1日、
「日米同盟に懸念が生じるとかそういう話が出るが、そうは思わない。地位協定を改定することが日米同盟強化につながる」としていましたが、こちらも所信表明では触れられませんでした。

日米地位協定の改定について
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選択的夫婦別姓について、7月29日に、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとかよく分からない理屈があるが、やらない理屈がよく分からない」としていましたが、こちらも所信表明では触れられていません。

選択的夫婦別姓について
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石破総理と、教育無償化を実現する会の前原誠司代表との間で、こんなやり取りがありました。

前原代表
「石破カラーをちゃんと出して頑張ってください」

石破総理
「出したら、ぶったたかれる」

前原代表
「あんまり本音を言わないように」

石破総理
「(本音を)出すと国民は喜ぶ。党内は怒る」

本音を言うとたたかれる?
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総理周辺の声です。

総理周辺
「理想と現実のはざまにいる感じ。党内野党で言ってきたことが全部跳ね返ってくるから、それは大変だよ」

公明党 石井啓一代表
「実際に行政府の長となって政府を運営すると、現実的になってくるということの反映だと思う」

総理周辺の声
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■野党各党、候補者一本化のゆくえは?

衆院選での野党の候補者一本化についてです。

立憲民主党の野田代表です。
「特に裏金議員のいる選挙区の対応の仕方などについて議論したい」として、野党各党の候補者を一本化することを目指し、国民、維新、共産の党首と会談しています。

野党候補の一本化
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日本維新の会です。

馬場代表は、
「候補者を立てる可能性が出てきたときは、立憲民主党と協議する」として、候補者の一本化に協力的です。

日本維新の会は
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共産党です。

田村委員長は、
「総選挙の争点というのは裏金問題だけではない」と、候補者の一本化には消極的です。

共産党は
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国民民主党です。

玉木代表は、
「本格的な選挙区調整は無理だ」として、連合が推薦する国民民主党の候補者がいる選挙区には、立憲民主党に候補者を立てないよう要請しています。

国民民主党は
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次の総選挙はどうなるのでしょうか?

政治部・千々岩森生官邸キャップです。
「総裁選の勢いを駆って衆院選に勝つというシナリオは崩れつつある。自民党内には、単独過半数割れを懸念する声すら出ていた。今回の石破総理の判断がどう影響するのか注目」

総選挙はどうなる?
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(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月7日放送分より)

外部リンク
「アピール力が倍違う」『公認』『非公認』の違い…異例の解散前夜“裏金議員”処遇は
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