真面目な彼は、なぜ渋谷スクランブル交差点無差別殺傷事件を起こしたのか?松本優作×藤井道人によるオリジナル連続ドラマ『透明なわたしたち』最終話で、透明だった青年の壮絶な半生がつまびらかにされる。
【映像】学生時代はヤングケアラー…無差別通り魔事件の犯人の壮絶な半生
本ドラマは、過去と現在のそれぞれの事件が繋がり、衝撃的“真実”が明らかになっていく群像サスペンス。2024年の渋谷で起きた凶悪事件を引き金に、週刊誌ライターの主人公・中川碧(福原遥)は、事件の犯人が高校の同級生ではないかと疑う。疎遠になっていたかつての仲間たちと再会し、高校時代のある事件を回想しながら真相に近づいていく。
最終話で碧は逮捕された犯人との面会に臨む。彼は高校の同級生・尾関健(林裕太)。高校時代はダンス部に所属しながら、放課後にシングルマザーの母親が切り盛りする喫茶店を手伝っていた。
同じダンス部のクラスメート・喜多野雄太(伊藤健太郎)と仲が良く、行動を共にすることも多かったが、喜多野はキラキラの一軍。尾関はその陰に埋もれるモブのような存在だった。碧たち女子グループと合流しても尾関には誰も興味を示さず、まるで透明人間だ。
ある日、ダンス部放火事件が起こる。嫌疑をかけられたのは喜多野。新聞部の碧が書いた疑惑記事が追い打ちをかける様に、喜多野は校内中から後ろ指をさされ、ダンス部グループや恋人・桜井梨沙(武田玲奈)とも距離ができてしまう。だが尾関は喜多野が放火犯ではないことを知っていた。しかし何も言えず、親友であるはずの喜多野を裏切った。その罪の意識は長らく心に沈殿する。
時を同じくして尾関の母が倒れ、入院生活に。しかし尾関の苦悩に目を向ける者などいない。ヤングケアラーとなった尾関は卒業式で浮かれる上京組を横目に、進学を断念して運送会社で働くことにする。ところがそこでも透明な存在。誰からも注意を引かれることなく孤独な毎日。そして突然の母の死。
上京組の碧たちを追うように尾関は一念発起して東京へと向かうが、日々が好転することなく、浮き彫りになるのは疎外感ばかり。将来への展望も見えない尾関は偶然出会ったトー横キッズのサクラ(菊池姫奈)と心を通わせていくが、引かれたトリガーを元に戻すことは不可能だった…。透明な存在・尾関の心を覆いつくす底なしの闇。パンドラの箱を開けてしまった碧は何を感じ、面会室で彼に何を語り掛けるのだろうか?