救急車や救急隊員に対して暴力を振るうなどの妨害行為が相次いでいます。東京消防庁が異例の訴えを行い大きな反響を呼んでいます。
【画像】救急隊員への暴行など5年で111件 東京消防庁「毅然とした対応をとらざるをえなくなる」
■異例の訴えへ
徐行で運転中に壊され、フロントガラスがクモの巣状に割れた救急車。こちらの隊員服は、暴れた患者に引き裂かれました。
東京消防庁 公式Xより
「妨害行為には警察への通報など毅然とした対応をとらざるをえなくなりますが、それは私たちの望む活動ではありません」
東京消防庁が行っている異例の呼び掛け。隊員への暴力や救急車を破損させるなどの妨害行為は、2019年から今年9月までで111件に上ります。
現役の救急隊員
「妨害行為自体は割と多い話。お酒が入っている席は、そういうことが起こりがち」
こう話すのは、現役の救急隊員です。「隊員への暴力」の実態について話してくれました。
現役の救急隊員
「私が体験した事案だと、酒の席で転んで鼻血を出した方が『歩ける』という話でしたので（救急車まで）歩いていただいた際に、後輩の男性が『なんで歩かせるんだ』と興奮して、隊員の胸を押し階段を落ちかけた」
酒の席の場に出動した救急隊。けが人の出血は止まり、急な階段もあったことから、救急車までは歩いた方が安全と判断しました。
しかし酔った後輩が怒って暴れたため、警察に通報する事態に。救急隊は、しばらく現場にとどまらざるを得ませんでした。
現役の救急隊員
「慢性的に救急隊が足りないという状況が今も続いている。1隊が出動できない状況になると別の応援の隊が来たり、市民サービスの低下になるので。そういったことがないといい」
現場の逼迫（ひっぱく）に拍車をかけるのは、これだけではありません。
■「タクシーつかまらない」「通帳をなくした」
119番通報全体の2割に及んでいるという「不要不急の通報」。（東京消防庁去年10月時点）
通報者
「タクシーが止まらないので、今お願いしたところなんです。タクシーがつかまらないの」
職員
「タクシー代わりには救急車は使えないので。タクシーの会社に電話していただいて」
他にも、こんな通報が…。
通報者
「家で通帳をなくしたんですけど」
職員
「何を？」
通報者
「家で銀行の通帳をなくしたんですけど」
通報者
「トイレの水が止まらないんだけど、どうしたらいいんでしょう？」
職員
「トイレの水が止まらないということであれば、水道業者とかに連絡してみてさい」
こうしたなか、救急搬送を巡って新たな取り組みを始める自治体も。
茨城県では、大きな病院に救急車で搬送されても、緊急性が認められなかった場合には、病院側は患者から「選定医療費」を最大でおよそ1万3000円徴収する仕組みを12月から始めます。
茨城県
「緊急性が低いと搬送しないということではない。命に関わるような緊急時は迷わず救急車を呼んで下さい」
（「グッド！モーニング」2024年10月27日放送分より）
