大興奮の頂上決戦!ワールドシリーズはドジャースが2連勝。デトロイト・タイガース前田健太投手が第1戦、第2戦の振り返りと日本時間29日の第3戦の展望を解説します。

【画像】マエケン画伯が“重要人物”を直筆イラストで解説

■チームドクターの診断結果が鍵に

ヒロド歩美キャスター
「大谷選手のけがの状況が一番気になると思います。そんな大谷選手の最新情報からお伝えします」

 大谷選手にアクシデントが起こったのは日本時間27日の第2戦でした。7回裏、フォアボールで出塁すると2塁へ盗塁を試みます。起き上がれない大谷選手。スライディングの際に左肩を痛めました。試合後、ロバーツ監督は亜脱臼(関節の位置にズレが生じ脱臼しかかった状態)と説明。大谷選手は精密検査を受けることになりました。

ロバーツ監督
「(Q.大谷はチームと別の便でニューヨークに?)検査を受けていた。まもなく到着するよ」
「(Q.検査の結果は?)医師が持っているが私の手元にはなく分からない。トレーナーによると、けさは気分もよく左肩の可動域も強度も良好だったそう。30分後に球場に着きトレーニングをする予定だ」
「(Q.あすの第3戦に出場する?)今はそのつもりでいる。すでに素振りはした。ティーやケージでのバッティングを見てから最終判断だが、本人が出場できると感じれば外す理由はない」

 ヤンキー・スタジアムではチームの前日練習が行われましたが大谷選手は姿を見せず、別行動で遅れて球場入りしました。その際は黒いリュックを背負い、左肩は固定していませんでした。

 ベンチにはすでに大谷選手のヘルメットがありました。勝てば王手の第3戦。出場はあるのでしょうか?

大越健介キャスター
「マエケンさんとなれなれしく呼ばせてもらってしまいますが、大谷選手は左肩、亜脱臼といわれていますが、マエケンさんはこれをどう見ますか?」

前田投手
「ポストシーズンは無理をしてでも出る選手が多いと思いますが、検査の結果次第だと思います。一番はチームドクターの見解がすごく大事になってきますし、そこからチームトレーナー監督、GMと選手を入れて話し合いながら出場できるのかどうか。監督も練習の状況を見ながら出場を考えるとなってくると思うので、出場の可能性は十分残っているかなと」

ヒロドキャスター
「確かにこの後オフシーズンが控えているからこそ、とも思ってしまいますが」

前田投手
「それもあると思います。次のシーズンに影響が出ないのであれば出場するかもしれませんし、ここまで来たら選手は出たいという気持ちが強くあると思うので、無理をしてでも出る可能性はあると思います」

小木逸平アナウンサー
「契約金額とかそういうことを考えたら『いやいや無理させちゃだめだ』とかはないのですか?」

前田投手
「契約年数も残っていますし、ドジャースとしては今年で終わりではないので、この先5年10年と、チームで戦っていく選手なので。ここで無理をさせないという判断になる可能性も十分にあると思います」

大越キャスター
「最後の決め手は大谷さん本人?」

前田投手
「本人もありますが、ドクターの診断結果もすごく大切です」

■「この場面で打てる選手いない」マエケン的MVPは?

ヒロドキャスター
「改めてドジャースが本拠地ロサンゼルスで2連勝とした、ワールドシリーズの今後の展望なども含めてマエケンさんに解説していただきます!」

 日本時間26日の第1戦。ドジャース、フリーマンの逆転サヨナラ満塁ホームランで決着。第2戦、ドジャースの先発は山本由伸投手。1回、ランナーを出しますが、強力ヤンキース打線を抑える立ち上がりを見せます。それでも1点リードの3回。ソトのポストシーズン4本目となるホームランで追いつめます。

 ドジャースはその裏3番、テオスカー・ヘルナンデス選手。続く4番、フリーマン。2試合連続のホームラン!ドジャースがすぐさまリードを奪い返します。すると、山本投手は尻上がりに調子を上げ、7回途中1失点。許したヒットはソロホームランの1本のみでした。

 山本投手の好投でドジャースが2連勝。舞台をニューヨークに移す第3戦では一体どうなるのか?前田投手が解説します。

大越キャスター
「ドジャースは最高のスタートを切ったと言えると思ういますが、やはり鍵を握るのは山本投手のピッチングだと言われていて、そのとおり素晴らしいピッチングだったと思います」

前田投手
「素晴らしいピッチングでしたね。メッツ戦からすごく状態が上がってきていると思いますし、全球種、しっかりといい状態で投げることができています。特にジャッジ選手を完璧に抑えることができているのでそこがすごく大きいかなと思います」

ヒロドキャスター
「まさにその対戦、山本投手とジャッジ選手見ていきます」

 まずは3回、ツーボールツーストライクと追い込んだ場面です。ここで…。

前田投手
「インコース高めのストレートですね。コースも高さも完璧で本当に素晴らしいボールでした」

ヒロドキャスター
「ライトフライに抑えたんですね」

 そして6回、再びジャッジ選手との対決。

前田投手
「バッターは先ほどのボールが気になっていたので、インコース高めのストレートというのがすごく頭に残っていたかと思います」

ヒロドキャスター
「結果、インコースにスプリットでしたよね」

前田投手
「同じコースからストレートと、スプリットという投げ分けでジャッジ選手からはストレートに見えたんじゃないかと思うので、このボールも本当に最高なボールでしたね」

ヒロドキャスター
「そうなると、前の打席のストレートのイメージがジャッジ選手的には強かったと」

前田投手
「強かったと思いますし、ここは山本投手の技術。バッテリー配球が勝ったんじゃないかと思います」

ヒロドキャスター
「巧みな配球でしたし、山本投手はジャッジ選手を抑えることとなりました。素晴らしかったですね」

小木アナウンサー
「第2戦だけ見れば山本投手がMVPかなという気がしますが、第1戦、第2戦でいうとMVPはマエケンさん的には誰ですか?」

前田投手
「やはりフリーマン選手ですね。けがをしながら出場してると思うんですが、第2戦の逆転サヨナラホームランですね。このホームランがチームに勢いをつけたと思いますし、この場面で、ホームランを打てる選手ってなかなかいないと思うんです。ここで一気にドジャースの流れというか雰囲気が上昇したと思うのでこのホームランは本当に素晴らしかったと思います」

安藤萌々アナウンサー
「まさに彼が打つと、チームも乗っていくキーマン」

前田投手
「チームの柱だと思いますし、チームリーダーなので彼が打つとチームはどんどんいい方向に進んでいくと思います」

安藤アナ
「日本中がフリーマン選手を好きになった土日だと思いますが、あす第3戦のキーマンは誰になってきそうですか?」

前田投手
「第3戦から場所がニューヨークに移ってヤンキー・スタジアムになりますが、ヤンキー・スタジアムはドジャー・スタジアムより少し狭くてホームランが出やすくなるんですけど、第3戦からホームランで試合が決まっていくんじゃないかと」

ヒロドキャスター
「キーマンを描いていただきました。99番といえばジャッジ選手ですよね。なぜ?」

前田投手
「今、ポストシーズンは本来の調子ではないんですが、やっぱりヤンキースが勝ち上がっていくためにはジャッジ選手の調子を取り戻すことがすごく大事になってくると思います」

ヒロドキャスター
「ただ、ここまで9打数1安打6三振と苦しんではいたんですよね?」

前田投手
「チームの柱の選手なので、打つと打たないでは、本当にチームの勝利にすごくかかわる選手なので。彼が打つことで、ヤンキースは調子を取り戻すと思う。目覚めたらドジャース側からするとすごく怖いですね」

■寒さ対策も重要に 厳しい攻めも…

写真:AP/アフロ

大越キャスター
「今度は場所が変わって、ヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムです。伝統チームの本拠地はどうですか?」

前田投手
「すごく独特な雰囲気があると感じています。ワールドチャンピオンにも数多くなっているチームで歴史もあるチームなので、ビジターで行くと雰囲気にのまれてしまうというか。ヤンキー・スタジアムに来たなという雰囲気をすごく感じるので、ビジターのチームからするとやりづらい球場なのかなと思います」

小木アナ
「独特の重圧みたいなのは?」

前田投手
「ありますね。ヤンキースのユニホームを見てヤンキースファンからの声援をマウンドで感じると、すごく重圧は感じますね」

ヒロドキャスター
「気温、寒さってどうですか?ロサンゼルスからニューヨークって10℃近く下がると思いますが、寒さはどう対応するのかなと」

前田投手
「選手それぞれ対応の仕方はあると思うんですけど、やはりヤンキースの選手のほうが春先も寒いですし、対応には慣れていると思うので。あとは野手の方はけがにもつながるリスクも高まるのでドジャースの選手は、暖かい地域でプレーすることが慣れていると思うので、寒さ対策も大切」

小木アナ
「第3戦、大谷選手が出られる、出られるってずっと思い込もうとはしているんですが、もし大谷選手がスタメンにいないとなると、これはドジャースにとっては影響は少なからず、ありますか?」

前田投手
「攻撃面では、大きくありますね。守備の面でいうとフリーマン選手が足をけがしながら出場しているので、恐らくDHに入ることになってファーストに他の選手を入れられるので守備の面では安定するとは思うんですが、攻撃面ではやはりドジャースで一番いいバッターの大谷選手がいないということは、ヤンキースの投手陣からすると、すごくプレッシャーが少なくなって投げやすくなると思うのでドジャースからするとすごく大きな影響」

小木アナ
「ベッツ選手だったりフリーマン選手に対しても心理的に投げやすくなるとかはあるんですか?」

前田投手
「ありますね。1番の大谷選手にすごく気を取られるというか、プレッシャーを感じるのでベッツ選手、フリーマン選手に少し気が緩んでしまう部分もあると思うんですけども、そこに集中できるというか」

ヒロドキャスター
「大谷選手がいなくなると集中できてしまうということですね」

前田投手
「なので厳しい攻めが増えるのではと」

大越キャスター
「大谷選手はけがは悪くしてほしくないけど、出てほしいし、ファンとしては複雑ですね」

■両者は「圧倒的な差はない」

 プロ野球の日本シリーズもこの週末、第1戦、第2戦が行われました。パ・リーグ王者ソフトバンクとリーグ3位から勝ち上がってきたDeNAとの対決。

ヒロドキャスター
「ここまでの試合をマエケンさんと一緒に見ていきましょう!」

 DeNAの本拠地で迎えた第1戦。先発、ジャクソンに対し満塁のチャンスで打席には、ピッチャーの有原航平投手。2点タイムリーを放ちソフトバンクが先制します。その有原投手はDeNA打線を7回無失点に封じ、初戦を勝利に導きます。

 勢いは第2戦に入っても!4番、山川穂高選手の日本シリーズ初アーチなど序盤で5得点を奪ったソフトバンク。大きくリードします。

 追いかけるDeNAは侍ジャパン組が反撃。桑原将志選手のタイムリーで2点を返すと、さらに7回には、牧秀悟選手が3点差に詰め寄ります。しかし序盤の失点が響き、及ばず。ソフトバンクが2連勝を挙げました。

ヒロドキャスター
「マエケンさん、ソフトバンク連勝ですね」

前田投手
「僕は圧倒的な差はないと思っています。攻撃陣はお互いすごく調子がいいですし、この2戦は、先発ピッチャーがしっかりとゲームを作って、投げたソフトバンクが勝利したのかなと。本当、その差だけだと思っています」

ヒロドキャスター
「そんななか発表されました先発投手ですが、ソフトバンクがスチュワート・ジュニア投手。DeNAは東克樹投手です。肉離れのため戦列を離れていましたが戻ってきました」

前田投手
「DeNAにとっては大きな存在の東投手ですが、第3戦になったら、もしかしたらDH制のパ・リーグ本拠地の打席に入らなくていいシリーズなので戻ってきたのかと思いますし、後はけがの状態次第だと思うので。彼が本調子で投げられるならチームにとっては大きいと思います」

ヒロドキャスター
「東投手にどんなピッチングを期待しますか?」

前田投手
「レギュラーシーズンとは違いますので長いイニングを投げようとしなくてもいいと思います。とにかく0点に抑える。最少失点に抑えることがすごく大切になってくると思うので、最初から力いっぱい投げて。リリーフ陣も調子がいいので、後のことは考えずに自分がいけるところまでとにかく100%で投げることが大切かなと」

ヒロドキャスター
「レギュラーシーズンと違って短期決戦。ましてや日本シリーズでは戦い方はピッチャーも変わってきますか?」

前田投手
「変わってくると思いますね。レギュラーシーズンになれば長いイニング投げて試合を作るのが先発ピッチャーの役目ですが、ポストシーズンは勝つことが大事。とにかく短期決戦はチームが勝つことが一番の目標なので、長いイニングを投げるよりも0点に抑える、点を与えないことが一番大切かなと僕は思いますね」

大越キャスター
「一方で、連敗中のDeNAの攻撃陣の鍵はどういうところですか?」

前田投手
「攻撃陣は、オースティン選手が欠場してしまっているので、代わりに4番に入っている筒香嘉智選手。この3番(牧選手)、4番、5番(佐野恵太選手)、6番(宮崎敏郎選手)というのがDeNAの強みだと思いますので、1番(桑原選手)、2番(梶原昂希選手)が出塁して4人で得点を奪うというのが鍵になってくるかなと思いますね」

ヒロドキャスター
「こうやって見ると、本当に調子のいいバッターがぐっと固まっている感じがします」

前田投手
「先ほどのメジャーリーグのドジャースと一緒で、いいバッターを並べるというのはすごくピッチャーにとって嫌な体制になってくるので、そういう打線を組んでいると思いますし、恐らく監督はこの4人で点を重ねてほしいと思っていると思うので。この4人が打つこと、そして、4番の筒香選手に僕は期待したいと思っています」

ヒロドキャスター
「マエケンさんの展望は、あす以降は打線はそれぞれ両チームいいということで、鍵となるのが投手陣ですね」

前田投手
「そうなると思ってます。あとは東投手のピッチングに期待したいなと思います」

(「報道ステーション」2024年10月28日放送分より)

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