近田春夫氏の投稿が話題に
【映像】若手ラッパー・DANNY JINの“政治的”楽曲MV
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 与党の議席が過半数割れという15年ぶりの衝撃で幕を閉じた衆議院選挙。その最中、Xではこんなポストが話題になっていた。

【映像】若手ラッパー・DANNY JINの“政治的”楽曲MV

「日本のヒップホップ現役の人たち、こんな時代なのに、誰も政治的なことを歌詞にもしないし、発言や投稿もないよね。何でなんだろう?」

 投稿したのはミュージシャンで音楽プロデューサー、音楽家の近田春夫氏。大きな反響が寄せられ、「政治的発信は批判されがちだし」「特に愛国的な曲は嫌われる」などの声が上がっている。

 ヒップホップと政治的メッセージについて、『ABEMA Prime』で議論した。

■「批判的な意味ではない」投稿の真意

 そもそも「HIPHOP」とは、1970年代、黒人差別が色濃く存在していた時代にニューヨークの貧困地域で始まったとされる文化。マイノリティによる主流社会への「抵抗」の象徴で、自由な自己表現として「ブレイクダンス」「DJ」「グラフィティ」「ラップ」の4つで構成される。

近田春夫氏
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 近田氏は「40年近く前、“ニュースクール”と言われるものが出てきて、Public Enemyなんかが人気だった。社会的なことをラップにする感じは新しいなと、“政治はこういう感じだよね”というものを今の時代に扱ったら純粋におもしろいと思った。批判的な意味ではない」と、投稿の意図を述べる。

 近田氏に特に政治信条はないといい、「“役として”と言うと変だが、例えばドラマで悪役を演じる人は、普段は悪人ではない。それと同じで、政治をネタにしてラップにすると、おもしろがってくれる人はいる。当時そういう役をやっていたのは、社会をおちょくりたかったからだ。最近の皮肉はわりと冷笑的なニュアンスが強いが、“おちょくる”にはユーモアが存在する。それがすごく重要だ」と、自身の考えを説明。

 さらに、「音楽をやっていなくても、八百屋さんでもお医者さんでも社会との関係は常に考える。どの人も一人の人間として、例えば『選挙に行ったほうがいい』と言えるわけで、それを伝えるための手段としてヒップホップが機能していれば意味がある、というのが僕の見方だ。そういうことを楽しく歌えるヒップホップだったらいいな、ということを言ったつもりだ」とした。

■若手ラッパー「政治に目がいかない現状」

DANNY JIN(19)
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 ヒップホップアーティストでラッパーとして去年デビューしたDANNY JINは、政治的メッセージを込めた曲をこれまで10曲以上発表している。「認知されていないのは自分たちの実力不足だ」とした上で、「ヒップホップは、近所であったことや、誰がどの学校に入ったとか、その時のリアルを伝えるもの。いわば“写し鏡”だ。何か社会問題が起きた時、つらい目にあった時、政治に責任があると考える教育を受けていない。日本は政治に目がいっていないのが現状だ」と指摘する。

 一方、近田氏が話した“役”については、「そこにどんなメッセージがあるのかにもよる。例えばメディアで売れたい、メディアに迎合するための役なら、ヒップホップではない。でも、それによって“考えてほしい”という目的ならヒップホップだと思う」との考えを述べた。

 また、自民党の裏金問題をテーマにした自身の楽曲『パー券』を引き合いに、「この曲はめちゃくちゃおちょくっている。普段こういう音楽を聞かない人でも、ギャグ的なものとして、問題に興味を持ってくれたら、それもヒップホップだと思う」とした。

■政治的発信は増える?世の中を変える?

 ヒップホップのあり方について、ブレイクダンサーのShigekixは「ヒップホップカルチャー自体、時代によって変化があったり、表現する人のバックグラウンドで変わってくるもの。日本でそういった楽曲が多くないのは1つのリアルで、地域などで差があるのも自然なことだと思う」とコメント。

Shigekix
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 さらに、「ヒップホップの4大要素として生まれたブレイキンには“peace,unity,love,have a fun”という用語があり、まず世界平和がはじめに来る。ブレイキンのダンスバトルも、ギャング同士の抗争を、血を流さずに決着させるために生まれたものだ。存在そのものに政治的メッセージがあると言えるが、それをきっかけに始める人は今すごく少ない」と述べた。

 SNS上には「平和な日本でヒップホップは生まれようがない」との声もあるが、世の中を変えていけるのか。DANNY JINは「この前の選挙で自民党が負けた。アーティストに限らず、芸能人が政治的な発信をした時の世間のリアクションも変わってきている。僕は2PACからヒップホップを聴き始め、黒人差別の歴史を知ろうと思った。一代で簡単に変わるものではないかもしれないが、こうしてインフルエンスしていけば変わると思う」との見方を示す。

 近田氏は、「僕はもっと適当におもしろいと思って見てきただけで、使命感は正直ない。ただ、誰が見てもすごいなという人が出てきて、その人の発言が本当に世の中を動かすようなところまで来れば、それは本当に楽しいことだと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)

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