破産することが分かった「世界のフナイ」とも呼ばれた電機メーカー・船井電機は、3年前に出版社が買収してから約300億円の資金が流出していたことが分かりました。
【画像】「世界のフナイ」給料日前日に突然の通達 従業員に不安広がる
■連鎖倒産も起こり得る?
大阪にある船井電機本社5階の食堂に集められたおよそ500人の社員。
ぎゅうぎゅう詰めなのか、窓際には多くのワイシャツ姿が見られます。解雇を通達されている瞬間とみられる写真が撮影されていました。
ちょうど一週間前の24日、船井電機は東京地裁から破産手続き開始の決定を受けました。給料日前日の突然の通達に、従業員は動揺を隠せません。
「非常に違和感がある話でした」と話すのは、企業の経営状況などを調査する帝国データバンクの船井電機担当の徳永淳記者です。
徳永記者
「(Q.唐突に500人が解雇というのはこれまでもある?)私が知る限りはないですね」
「船井電機から仕事をもらっている企業が、連鎖して倒産ということも、今後起こり得る話なのかなと思う」
船井電機は1961年に創業し、80年代にはビデオデッキとテレビが合体した「テレビデオ」で一世を風靡(ふうび)しました。
50代会社員
「昔でいうと『テレビデオ』とか印象にある。(倒産は)テレビで知ってビックリ」
60代会社員
「ビデオデッキ。そういうメーカーがなくなったのは残念だなと思う」
その後、液晶テレビ事業などを展開し北米でシェアを拡大。2005年には単体の売上高が3500億円を突破しました。
■経営に突然参入した「素性不明の人物」
60年以上の歴史を誇る老舗メーカーが事実上の破産。ここに来て中国メーカーが台頭し、液晶テレビ事業の売上が減少したことだけでなく、もう一つ大きな要因があると言います。
徳永記者
「資金の流出が今年に入ってあったようで、そういった部分が結果、引き金を引いてしまった」
船井電機は2021年に出版会社によって買収され、翌年には新社長が送り込まれました。
脱毛サロン運営会社の買収にも乗り出し、3年間でおよそ300億円の資金が流出したとみられています。
徳永記者
「脱毛サロン運営会社に対する投資・補償の部分が、資金繰りのところを大きく狂わせてしまった」
現預金が底をつくと、今月分の従業員給与を支払えない状況にまで追い込まれてしまいました。
徳永記者
「代表の方が中心になってたと思うが、いろいろな新しいことを手掛けようとしていた中で、ストッパーとなる人間がいなかったのかなと」
さらに、不可解な点が複数あると指摘します。
徳永記者
「今年5月に素性不明の役員が3名入ってきたので、こういった人物が中に入ってきてしまうのを許してしまった会社の体制というのも問題なのかなと」
「担当記者ですら素性の分からない人間が、社内に周知されることもなく突然経営に入ってきた」と話します。
通常、この規模の企業が破産手続きに入る場合、経営陣や従業員はそのままに、まず経営再建を図るのが一般的ですが、500人以上の社員が一斉解雇される事態となりました。
徳永記者
「従業員の雇用と、これまで培ってきた事業のノウハウが散逸してしまうことは、もったいない話になるので、(会社を)切り売りするなどして事業継続させるのが大事。それがなされないのが非常に違和感がある。船井電機から仕事をもらっている企業なんかが、その仕事がなくなるという話になるので、そういった企業が資金繰りに苦しんで連鎖して倒産ということも、今後起こり得る話なのかなと思う」
負債は3月末時点でおよそ461億円に上ります。
大阪府は28日、解雇された従業員や取引企業の相談窓口を紹介する特設ホームページを立ち上げ、ハローワークが従業員に向けて就職支援の説明会を実施する予定です。
(「グッド!モーニング」2024年10月31日放送分より)