自民党が急接近するなか、国民民主党が目指す「年収103万円の壁」の見直しは本当に実現するのか、相当に高い壁がありそうです。
【画像】年収800万円の場合は22万8000円が減税? 国民民主党「103万円の壁」の試算
■「部分連合って何ですか」与党“一体視”に神経とがらす
年収103万円の壁の見直しや、ガソリン税の一部引き下げなど、国民生活に直結する経済政策は実現するのでしょうか。
衆議院選挙で自民公明の連立与党の議席が過半数を下回るなか、自民党側の要請で開かれた幹事長・国対委員長会談。自民党が国民民主党に急接近しています。
国民民主党 榛葉賀津也幹事長
「(Q.自民党側は国民民主党と政策ごとに協力を得る部分連合のかたちを望んでいますけれども…?)部分連合って何ですか、それ。政策ごとに相談したければ相談に乗るし、我々の政策実現も案件ごとにお願いをしていくと。部分連合とかそういうことではないです」
国民民主党は与党と一体視されることに神経をとがらせています。
31日の会談で自民党は、政調会長による会議体を設けて協議したいと提案。これに対し、国民民主党は政策の案件ごとに協議したいと主張。自民党がこれを受け入れ、今後公明党を含む3党で政策協議を始めることが決まりました。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「103万円の壁を上げていくことと、ガソリンの減税を急ぐ」
■7兆~8兆円の減収見込み どう補う?
国民民主党が掲げる「手取りを増やす」経済政策ですが、政府にとっては税収入が減る政策ばかり。
例えば収入が年103万円を超えると所得税が課税される、いわゆる「103万円の壁」の問題。国民民主党はこれを178万円に引き上げることで、年収200万円の場合は8万6000円、年収800万円の場合は22万8000円が減税になると試算。
その一方で政府による試算では、実現すると国と地方で7兆~8兆円の減収が見込まれるということです。減収分の財源をどう補うのかが課題となります。
玉木代表
「国の懐を豊かにすることではなくて、国民の懐を豊かにすることを最優先に考えていきたい。国民の懐はそれだけ増えるわけだから、当然消費も企業活動も活発になって、相当、税収増えるのでは」
政治部(与党担当) 森洋介記者
「きょうの会談では補正予算や来年度予算に向けて協力を呼びかけ、今後個別の政策ごとに3党で協議していくことになりました。与党のなかで議論をまとめるだけでも大変なのに、3党で合意形成を図ることになります。自民党としては来月取りまとめる経済対策で手取りを増やす方向性を示す考えですが、具体策はこれから検討することになる」
森記者
「ガソリン税の一部引き下げは協議してきた土台もあるので、自民党幹部は『検討の余地がある』としています。一方で、年収の壁の見直しは『財源がかかるから簡単ではない』としています。玉木代表は『見直しができなければ予算にも法案にも協力できない』とかなり高い球を投げてきていて、どう折り合いをつけるか難しい判断が迫られます」