メジャーリーグ・ワールドシリーズ、第5戦が10月31日に行われ、大谷翔平選手と山本由伸投手が所属するドジャースがヤンキースに勝利した。

【画像】大谷翔平&山本由伸がWS初制覇 ~43年ぶりの東西名門対決を振り返る~

ドジャースが通算成績を4勝1敗として、4年ぶり8回目のワールドシリーズ制覇を達成した。

大谷にとってはメジャー7年目、山本にとってはメジャー1年目にして初のワールドシリーズ制覇。

ワールドシリーズでは43年ぶりの顔合わせとなった東西名門対決を振り返る。

■メジャーリーグ史上初の快挙から始まったワールドシリーズ

10月26日、ドジャースの本拠地ロサンゼルスで第1戦が行われ、大谷選手は1番・指名打者でスタメン出場した。

一方、ヤンキースの先発は昨シーズン、ア・リーグでサイ・ヤング賞を受賞したエースのコール投手。

大谷選手は1回裏の第1打席でコール投手の150キロを超える高めのストレートを捉えるもセンターフライ。

両チームが無得点のまま迎えた5回裏、スミス選手の犠牲フライでドジャースが先制し、試合が動き始める。

直後の6回表、ヤンキースがスタントン選手の2ランホームランですぐに逆転する。

8回裏、1点を追うドジャースは、1アウトランナーなしの場面で大谷選手がワールドシリーズ初ヒットとなるライトフェンス直撃のツーベースヒットを放つ。

さらに相手の守備が乱れた間に3塁まで進み、1アウトランナー3塁とチャンスを作る。

そして続くベッツ選手がセンターへの犠牲フライを打って、大谷選手がホームにかえり同点。

2対2のまま迎えた延長10回表、ヤンキースが内野ゴロの間に1点をもぎ取り勝ち越しに成功。

2対3で迎えた10回裏、ドジャースが1アウト1塁2塁のチャンスを作る。

このチャンスの場面で大谷選手に打席が回るも初球を打ち上げてファウルフライとなる。

しかし、相手のレフトが打球をキャッチした際、ファウルスタンドの中に入ったため、ランナーが2塁3塁と進塁。

続くベッツ選手を申告敬遠で2アウト満塁とし、右足を負傷しながらも出場しているフリーマン選手を打席に迎える。

そのフリーマン選手が初球の内角低めのストレートを捉え、ライトスタンドへ飛び込む逆転サヨナラ満塁ホームランを放った。

ワールドシリーズでは、メジャーリーグ史上初めてとなるサヨナラ満塁ホームランで、ドジャースが6対3で劇的勝利を収め、白星スタートを切った。

この試合、大谷選手は5打数1安打1得点だった。

■メジャー1年目の山本由伸がヤンキースの強力打線を封じる

10月27日、ドジャースの本拠地ロサンゼルスで行われた第2戦。

前日に劇的な逆転サヨナラ勝ち決めたドジャースは山本由伸投手をマウンドに送る。

初回、山本投手は先頭バッターにフォアボールを与えるも、ジャッジ選手から低めのスライダーで空振り三振を奪うなど、無難な立ち上がりを見せる。

2回裏にエドマン選手のソロホームランでドジャースが先制すると、直後の3回表に山本投手がヤンキースのソト選手にソロホームランを打たれ、同点に追いつかれる。

しかし、3回裏にテオスカー・ヘルナンデス選手とフリーマン選手の2者連続ホームランで3点を奪い、すぐに逆転に成功する。

援護をもらった山本投手は、7回途中1安打4奪三振1失点と好投し、勝利投手の権利を得たまま、マウンドを降りた。

しかし、直後ドジャースにアクシデントが発生する。

7回裏、フォアボールで出塁した大谷選手は、2アウト1塁の場面で2塁へ盗塁を仕掛けるもスライディングをした際に左手を勢いよく地面につき、しばらく立ち上げることができない状態に。

ドジャースのトレーナーやロバーツ監督が駆けつけて、大谷選手はベンチに下がる。

試合後、ロバーツ監督は「左肩の亜脱臼」、精密検査の結果を受けて今後の出場を判断するとコメントした。

試合はドジャースが9回表に2点差まで追い上げられるも、4対2で逃げきり、2連勝となった。

山本投手は、ヤンキースの強力打線をホームラン1本のみで抑え、2007年の松坂さん以来、日本人投手で2人目となるワールドシリーズでの勝利投手となった。

大谷選手は、3打数ノーヒットフォアボールが1つだった。

■ドジャースが3連勝でワールドシリーズに王手

10月29日、ワールドシリーズ第3戦はヤンキースの本拠地ニューヨークに舞台を移して行われた。

第2戦で盗塁しようとした際に左肩を亜脱臼した大谷選手は、この試合も1番・指名打者でスタメン出場した。

初回、周囲がけがの状態を心配する中、大谷選手はバットを1度も振ることなくフォアボールで出塁する。

大谷選手は塁上に立つと左手でユニフォームの胸元を掴み左肩を動かさないようにしていた。

続くベッツ選手がレフトフライに倒れるも、フリーマン選手のツーランホームランでドジャースが2点を先制する。

ドジャースは3回表にベッツ選手のタイムリーヒット、6回表にキケ・ヘルナンデス選手のタイムリーヒットで8回を終えて4対0とリードを広げる。

 9回裏、抑えのコペック投手がヤンキースのバードゥーゴ選手から2ランホームランを浴びて2点を返される。

しかし、続くトーレス選手をショートゴロに打ち取り、4対2で勝利し、ドジャースが3連勝でワールドシリーズ制覇に王手をかけた。

大谷選手は3打数ノーヒット、フォアボールとデッドボールが1つずつだった。

■復活したヤンキース打線が大爆発 ファンの守備妨害も…

10月30日、3連勝でワールドシリーズ制覇に王手をかけたドジャースと後がないヤンキースとの第4戦はヤンキースの本拠地ニューヨークで行われた。

左肩の亜脱臼したあとも、出場を続けている大谷選手はこの試合も1番・指名打者でスタメン出場した。

初回、大谷選手の第1打席はフルカウントから、6球目のスライダーを打ち上げてショートフライに倒れた。

しかし、続くベッツ選手がツーベースヒットで出塁すると、フリーマン選手が今年のワールドシリーズで4試合連続のホームランとなる2ランホームランを放ち、ワールドシリーズ制覇に向けて幸先よく2点を先制する。

 ドジャースが先制した直後の1回裏に許されがたい行為が起きる。

ヤンキースの先頭打者トーレス選手のファウルゾーンへの打球を、ライトのベッツ選手がフェンス際でジャンピングキャッチ。

ところが、最前列にいたヤンキースファン2人がベッツ選手のグラブと右腕をつかみ、グラブからボールを奪った。

審判はベッツ選手の捕球を認め、アウトを宣告した。

異様な雰囲気となったヤンキー・スタジアムでヤンキースが反撃に出る。

2回裏に1点を返し、続く3回裏に2アウト満塁のチャンスで、ボルピー選手がレフトスタンドへ飛び込む満塁ホームランを打って2対6と逆転し、本拠地ヤンキー・スタジアムは大盛り上がりに。

追う展開となったドジャースは、5回表に先頭打者スミス選手のソロホームランで3対5と点差を縮める。

その後、ノーアウト1塁の場面で大谷選手に打席が回り、初球のシンカーをセンター前ヒットにしてチャンスを広げる。

その後、フリーマン選手のセカンドゴロの間に1点を返し、4対5とさらに点差を縮める。

しかし、6回裏にヤンキースがウェルズ選手のソロホームランで1点を追加し、8回裏、このワールドシリーズで不調のジャッジ選手にタイムリーヒットを浴びるなど一気に5点を奪われ、ドジャースはこのまま4対11で敗れた。

対戦成績は3勝1敗となり、ワールドシリーズ制覇はお預けとなった。

この試合、大谷選手は4打数1安打だった。

■ドジャースが相手のミスから逆転し、ワールドシリーズ制覇

10月31日、ドジャースの3勝1敗で王手をかけた第5戦、大谷選手は1番・指名打者でスタメン出場。

1回表、ドジャースはヤンキースのエース、コール投手に対し大谷選手がセンターフライ、ベッツ選手がファーストゴロ、フリーマン選手がレフトフライと三者凡退に終わる。

すると、その裏にヤンキースは、不調のジャッジ選手が先制の2ランホームランを放つ。

このホームランで勢いに乗ったヤンキースは3回までに5点を奪い、守備でもコール投手がドジャース打線を4回をノーヒットで抑え、試合の主導権を握る。

 第4戦の勢いそののままに今日もヤンキースが勝利するかと雰囲気が漂い始める。

しかし、5回表にドジャースが相手のミスからその雰囲気を吹き飛ばす。

好投を続けるコール投手からキケ・ヘルナンデス選手がチーム初ヒットを打つと、続くエドマン選手が打ったセンターライナーを、打球から目を切るのが早かったのかジャッジ選手がまさかの落球。

ドジャースがノーアウト1塁2塁のチャンスを作る。

さらに、スミス選手の打球をショートのボルピー選手が悪送球をしてノーアウト満塁となる。

その後、1アウト満塁となった場面で大谷選手に打席が回るが、空振り三振。

それでも続くベッツ選手の内野安打で1点を返すと、フリーマン選手とテオスカー・ヘルナンデス選手の連続タイムリーで、この回一挙に5点を奪って同点に追いつく。

6回裏に1点を勝ち越されたドジャースは、8回表に再びキケ・ヘルナンデス選手のヒットをきっかけにノーアウト満塁のチャンスを作り、ラックス選手の犠牲フライで再び同点に追いつく。

続く大谷選手はスイングしたバットがキャッチャーのミットに当たって打撃妨害となって出塁した。

満塁にチャンスが広がるとベッツ選手のセンターへの犠牲フライで7対6と勝ち越しに成功。

ドジャースがこの試合、初めてリードを奪った。

 1点リードで迎えた9回裏、ドジャースのロバーツ監督は第3戦に先発登板したビューラー投手に最後のマウンドを託した。

この起用にビューラー投手が応え、ヤンキースのボルピー選手、ウェルズ選手を打ち取り2アウトとする。

そして、最後の打者バードゥーゴ選手をナックルカーブで空振り三振に抑え、7対6で勝利し、ドジャースが通算成績を4勝1敗で4年ぶり8回目のワールドチャンピオンに輝いた。

■7年越しのワールドシリーズ制覇、歓喜のシャンパンファイト

この試合、大谷選手は4打数ノーヒットだったが、メジャー7年目で初出場したワールドシリーズで悲願のワールドチャンピオンとなった。

メジャー1年目の山本投手も日本人投手では、2人目となるワールドシリーズでの勝利投手になるなどワールドチャンピオンに貢献した。

■試合後の会見では家族に感謝の言葉も…

自身初めてのワールドシリーズ制覇を果たした大谷選手は、試合後の記者会見に出席した。

大谷翔平選手
「最後まで一番長いシーズンを戦えたことを光栄に思いますし、このチームに来て1年目でこういう結果に立ち会えてすごく光栄だなと思います」

Q.今日は特別な日ということであえて聞きたいが、家族というのは大谷選手にとって大きいことだったと思う。真美子さんやデコピンへの思いは?

大谷翔平選手
「もう本当に感謝しかないですね、長いシーズンですし、僕は慣れていますけど、彼女はそうではないので。本当にこれだけ長いシーズンを支えてもらったっていうのは感謝していますし、来年以降も頑張っていきたいなと思っています」

また、シャンパンファイトでインタビューを受けた山本投手は

山本由伸選手
「本当にあっという間でしたけど、色んな経験ができましたし、こうやって最後に最高の形で終われたので、チームメイトの皆さんに感謝したいです」

「また、この喜びをみんなで分かち合えるように頑張りたいと思います」

■1988年以来36年ぶりの優勝パレード

11月2日、ドジャースの本拠地・ロサンゼルスでワールドチャンピオンを祝うパレードが行われた。

選手や家族らを乗せた2階建てのバスは、ファンの祝福を受けながらロサンゼルス中心部をパレードした。

大谷選手は妻の真美子さんや愛犬のデコピンとともにパレードに参加し、沿道の声援に笑顔で応えていた。

ドジャースがワールドシリーズを制覇したのは4年ぶりだが、前回制覇した2020年は新型コロナウイルスの影響でパレードを行うことができなかったため、ロサンゼルスでパレードが行うのは、1988年以来36年ぶりだった。

外部リンク
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