国民民主党の玉木雄一郎代表が訴える、いわゆる「年収103万円の壁」。実情はどうなっているのでしょうか。
【画像】「103万円の壁」見直すと「税収8兆円減」との政府の説明に政局のカギ握る国民民主は…
■超えたら税金発生 学生困惑「いっぱい働きたい」
お昼時ににぎわっているギョウザ店では、忘年会シーズンに向かうなか、103万円の壁によってスタッフのシフト調整に悩まされています。
特徴的な包み方で焼き上がる大きなギョウザ。東京の学生街の一つ、下町・北千住にある店では、ある問題が起きていました。
餃子のラスベガス北千住店 森田正志店長
「働いてもらいすぎると、年末どうしても削らなくちゃいけない」
働き方に影響を与えているのが、103万円の壁です。
玉木代表(先月31日)
「当面急ぐのが、103万円の壁を上げていくこと」
今の制度では、103万円を超すと所得税が発生。学生の場合は、親が扶養控除を受けられなくなるため、親の納税額が増える仕組みになっています。これによって働き控えが…。
森田店長
「本当はエースなんで、いてほしいんですけど」
「エース」と呼ばれているのは、大学4年生の猪田莉矩さんです。夏の時期に月の半分ほど入っていたシフトは、103万円が近づいたため、今月わずか4日になりました。
猪田さん
「今は月に4万、5万円。(ピーク時の)半分以下。貯金している分から、切り崩してみたいにやってます」
時間があっても稼げないもどかしさから、103万円の壁は見直してほしいと感じています。
猪田さん
「やっぱり、純粋にいっぱい働けるんで。我慢してた分もなくなるって感じですね」
■103万円「奥さん超えているよ」 夫の職場から指摘
103万円の壁は、学生以外にも…。
大阪在住の女性(40代)
「物価が上がっているのに、103万円以内で抑えているので、なかなか厳しい状態ではありますね」
大学へ進学を控えた高校生の娘2人がいる女性です。夫の扶養に入りながらパートで働き、生活を支えています。
今月のシフトを見ると、後半はすべて×に。103万円を強く意識したのは、2年前の出来事がきっかけでした。
大阪在住の女性(40代)
「旦那の仕事場から指摘されたんですよ。“奥さん超えていませんか”って」
パートで働く場合、150万円までは所得税が増えない配偶者特別控除という仕組みがあります。(※扶養者の所得制限など条件あり)
一方で、会社独自の手当てが103万円以下に限られている場合があります。また、106万円や130万円を超えると、社会保険料も負担しなければなりません。
■玉木代表「消費増え税収増える」 政府「8兆円税収減る」
103万円の壁の見直しを強く求める国民民主党。政府とのせめぎ合いは、すでに始まっています。
林芳正官房長官(先月31日)
「基礎控除等の所得控除については、高所得者ほど減税の影響額が大きくなることは事実であります」
政府は、高所得者ほどメリットが大きいと指摘します。国民民主党が公開している試算でも、減税金額を見ると所得が多いほどその額は大きくなっています。
しかし、玉木代表は…。
玉木代表(先月31日)
「今、103万円までしか働けない人が、(壁の引き上げで)178万円になると、これは1.73倍になるわけですよ。手取りの増加率でいうと、所得の低い人が厚くなっているので、低所得者に有利な減税策だと思いますよ。モノの考え方だと思います」
政府は103万円の壁を見直すと、7兆円から8兆円の税収が減るとして財源を問題にしていますが…。
玉木代表(先月31日)
「国民の懐はそれだけ増えるわけですから、消費もまた企業活動も活発になって、相当税収増えるじゃないですかね」
1995年から続く“103万円の壁”は、今後どうなるのでしょうか。近く自民、公明、国民3党が会談し、今後の進め方を議論する予定です。
(「グッド!モーニング」2024年11月4日放送分より)