北海道でエゾシカが急増し、住宅内などに群れで現れて問題になっています。エゾシカが車や列車と衝突するという事故も相次いでいて、事故件数が過去最多となっています。
【画像】真面目なシカも? 真っ昼間から堂々と敷地に アパートに15頭も出没
■オスジカの角に恐怖も 「突進危ない」
北海道、夜の自動車学校での一コマ。奥にいるのはシカの群れ。職員が近づくと次々とポールを弾き飛ばしていきます。
この映像が撮影されたのは、北海道室蘭市にある自動車学校です。
室蘭中央自動車学園 上林政司次長
「(Q.これを倒したということですか?)ある程度の衝撃を受けたら倒れるようになってます。そう簡単にポンとは取れないんですけどね」
「(Q.たしかに、これは外れなさそうですね)でもいとも簡単に外していきました」
その目的は、教習所内に生えている草。
ほぼ毎日のように現れ、教習中にも侵入。場内のど真ん中にシカが我が物顔で居座ります。
なかには角にネットが絡まってしまっているものも…。
室蘭中央自動車学園 佐々木雄太郎指導員
「やっぱり怖いですよね。でかいので。オスジカなんか角が立派なので、こっちに突進してこようとするものなら危ないなというのはある」
■「苦労して育てたのに」シカ対策費用は10万円
室蘭でシカが現れるのは、自動車学校だけではありません。早朝、住宅街の道路を堂々と歩く大きなオスジカ。真っ昼間から敷地に入っていく群れもいました。
スタッフが取材している時にも、住宅街に2メートルほどの大きなシカがアパートの敷地に入って草を食べていました。
近隣住民男性
「ここ2、3年ぐらい前から(増え始めた)」
「ここ最近がひどいね。“シカのサファリパーク”」
「車で走ってたら(シカが)いたので。こんな感じの。軒下で涼んでいる感じですね。動物園か、みたいな感じ」
他の室蘭市の住宅街で撮影された映像には、15頭ものシカがアパートの敷地で草を食べている姿が映っていました。
この動画を撮影した夫婦はこのように話します。
妻 松原喜代さん
「ここから(撮影した)」
夫 松原正明さん
「ここから見て真下にも(シカが)見えるような感じでしたね」
喜代さん
「『おーい』とか言ってみたりしました。チラッと一瞬だけこっちを見て、また草を食べ始めてって感じです。一番長くて4~5時間ぐらいずっといましたね」
正明さん
「草食べてちょっと日陰で休んでって感じで」
住宅街に相次いで出没するシカの群れ。こちらの住宅ではシカ対策にネットを張っていましたが…。
近隣住民
「ネットが外れて、シシトウもやられたし、ピーマンもやられたし、ナスもやられた。バクバクバクバクーッて(食べて)。ここを丸坊主にしていく感じ」
ネットなどシカ対策にかかった費用は、およそ10万円だといいます。
近隣住民
「食べられたら腹が立つ。お金よりも苦労して育てたのに…」
■横断歩道を確認 “真面目なシカ”も?
シカが増えているのは室蘭だけではありません。北海道全域で増え続けるシカは昨年度だけで1万頭増加し、およそ73万頭に。
さらに10月~11月は繁殖期にあたり、オスジカの気が荒くなるため攻撃的でとても危険になります。
特に深刻なのが、車との衝突事故。こちらの車は衝突でフロントが大破し、修理不能に。北海道ではこうしたシカによる交通事故が年々増加。去年は過去最多の5000件以上に。
こうしたなか、厚岸町では珍しい光景が見られました。2頭のシカが横断歩道を行儀よく渡っていきます。
さらに右側からもう1頭。右奥の車が止まっているのをしっかりと確認してから、横断歩道を渡ります。
こんな“真面目なシカ”もいる一方で、列車との衝突件数も過去最多の3000件以上に上っています。
■牧草を食い荒らし…「2000万円以上の余分な出費」
シカによる被害は事故だけではありません。牧場の柵を軽々と飛び越えていくシカたち。牧場内を駆け回る野生のシカの大群です。
南富良野町の公共串内牧場では、牛の牧草がシカに食べられる「食害」が問題になっています。シカの大群は牧場のいたる所に見られます。
ふらの哺育育成センター 及川栄樹社長
「トータルすると(シカは)2000~3000頭」
この牧場では1500頭の牛を育てていて、1日でおよそ25トンもの牧草が必要ですが、およそ3000頭もの野生のシカが牛の餌(えさ)となる牧草を食い荒らしているのです。
及川社長
「ああやって私たちが育てている牧草を食べてしまうんですよ」
ほとんどの牧草がシカに食べられ、牧草で満杯になるはずだった保存場所は半分がスカスカの状態になりました。
及川社長
「牧草はそこら辺に生えている草だと思うかもしれませんが、僕らは畑を耕して、肥料をまいて、種をまいて、お金をかけて牧草を栽培しています。不足分を補うためによそから牧草を買って食べさせている。おそらく2000万円以上の余分な出費をしなければならない」
シカによる被害を防ぐため牧場内では去年から駆除を開始。しかし、地元のハンターは「抜本的な解決にはならない」といいます。
猟友会 南富良野部
副部会長 糠谷雄次さん
「シカが多すぎて(駆除が)追いついてない」
猟友会 南富良野部
部会長 清水一文さん
「毎年(シカが)生まれるから。何百頭、何千頭いるかもしれないから、なかなか駆除はできないですね」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年11月8日放送分より)