“南米犯罪の玄関口”との異名を持つ、パラグアイ・シウダーデルエステ。パスポートがいらずに越境できるブラジル国境で、“タクシー密輸”を続ける57歳の男性が、葛藤を明かす場面があった。
東野幸治がMCを務める新番組『国境デスロード』が、ABEMAにて12月7日(土)よりスタートする。『国境デスロード』は、『不夜城はなぜ回る』(TBS)で知られる大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)が、ABEMAで立ち上げた新番組。デスロードと呼ばれる国境を命懸けで渡ろうとするのは、一体どんな人々なのか。その答えを探るべく、プジョルジョDが各国の国境地帯で体当たり取材する番組だ。
番組開始に先駆けて配信されたエピソード0では、プジョルジョDが本企画をABEMAにプレゼンした際に使用した、プライベート映像が公開された。番組の後半でプジョルジョDが訪れたのは、ブラジルとの国境の街、パラグアイ・シウダーデルエステ。ここでプジョルジョDは、“タクシー密輸”を行う人々と遭遇する。
彼らは、他の南米諸国と比べ関税が10分の1以下(品目により変動)であるパラグアイで商品を購入し、ブラジルの“パトロン”に届けることで、金銭を得ている。商品の中には輸入禁止品も含まれており、1日に何回も税関を通ると車体を把握されてしまうため、タクシーで越境するのだという。
プジョルジョDが出会ったエリさん(57)は、“中間パトロン”と呼ばれるポジションに位置し、大元のパトロンに商品を届けていると説明。一方、エリさんの下には複数の運び屋がおり、彼らに金銭を払う立場でもあるそうだ。プジョルジョDはそんなエリさんのタクシーに同乗し、越境の瞬間に密着。結果的には荷物チェックを経て許可がおりたものの、タクシーが税関で止められ、ヒヤリとする場面もあった。「この仕事をしていて何回も捕まった」と話すエリさん。逮捕されるリスクを背負ってまで“タクシー密輸”を続けるのは、この仕事が「稼げる」からだ。
エリさんには、大切な家族がいる。プジョルジョDが「家族は知っているんですか?」と尋ねると、「みんな知っている。心配しているよ。捕まるリスクも知っているから」と、答えが返ってきた。次にプジョルジョDが「子どもがやりたいと言ったら?」と質問すると、エリさんの顔つきが変わった。「絶対ダメ。別の仕事をさせる」。そう断言したエリさんは、“パトロン”から父親の顔に戻っていた。