意外な場所の「絶品グルメ」。しょうゆベースのスープが食欲をそそるラーメン。一体、どこで食べられるのかというと…なんと、お寺でした。
■参拝客も絶賛「すごくだしが…」
葉が赤く色付き始めた京都・宇治市の宝蔵院。境内に屋台がありました。
動物由来の食材を使わない、ヴィ―ガンラーメンだといいます。大きなメンマや白キクラゲ、ワカメなどがトッピング。寺の中では、参拝客が麺をすすっていました。
参拝客
「こんなに色とりどりで、ちゃんと色入っている。優しいお味、まろやか」
だしはコンブ、シイタケ、ダイコン。11種類の植物原料などで作られています。外国人観光客も舌鼓。
メキシコから
「食べやすくて体に良い。麺の感覚がとてもいい。寺院で食べるのは初めて。とても驚いた」
■なぜ、寺や神社でグルメ?
ラーメンを作るきっかけは、この倉の中にあります。
盛井幸道住職
「ここが版木の収蔵庫になっております」
その数、およそ6万枚。国の重要文化財に指定されている「鉄眼版一切経版木(てつげんばんいっさいきょうはんぎ)」です。いわば、仏教の百科事典で、明朝体の起源にもなったといいます。
盛井住職
「これの存在があまりにみなさん知らなさすぎる。寺に足を運んでいただいて、鉄眼版一切経版木の存在を知っていただこうという狙い。手伝いをしているスタッフの中に、『僕ラーメンできるよ』ということで、たれもスープも全部“精進”でするということで開発してもらった」
1日30食限定。今年6月から“かやくご飯”も提供するようになりました。
精進ラーメンは、季節の移り変わりとともに味わいを変えていくということです。
■神田明神、カフェを作った理由は?
精魂込めてにぎられたおむすびと、これからの季節にうれしい温かいけんちん汁。ここは、まもなく創建1300年を迎える東京・千代田区にある神田明神です。
境内にはカフェがあり、にぎわっています。
今、人気の神田明神、神社グルメ。メニューは本格的です。
まずは、おにぎりとけんちん汁のセット。
5歳
「おいしい」
「(Q.どんな味する?)サケかな?」
母親
「白おにぎり食べているのに?」
5歳
「なんでシャケじゃないのかーい」
こちらの女性が味わっているのは…。
40代
「やわらかくて、いつもの味でおいしいです。ずっと、しょうが焼きを注文している。ギャグな感じがキャッチ―で良いなと思う」
塩麹(こうじ)のしょうが焼き。英語風にするとポークジンジャー(神社)、そういうことです。
他にも、必勝祈願にちなんだ“勝(カツ)カレー”など、神社にかけたネーミングのメニューを多く採用しています。
江戸っ子カフェ マスマス
小関祐也さん
「笑顔が生まれるのが一番大事。ますます客やみんなとのご縁を感じていきたいということで、そういったネーミングで用意している」
縁結びセット。ドリンクの名前は「神社声援」。つまり…ジンジャーエールです。
神田明神はカフェを作った理由について…。
神田明神
「1300年記念事業の一環で、参拝客が休むための場所をつくろうと思ったのがきっかけ」
■写経後に“イタリアン精進料理”
鳥取県・光澤寺。本堂の中では現在、写経が行われています。中ではみなさん、一文字一文字集中しながら、お経を書き写しています。
宿坊を営んでいる光澤寺。寺ならではの体験が、日帰りでできるとあって人気です。
日帰り体験者
「私3回来てる」
リピーターが続出している理由の一つ。それは、みな写真を撮りたくなるランチにあります。
実は、観光客が写経をしているその裏で、住職の妻が奮闘していました。
住職の妻で坊守
宗元恵美さん
「サツマイモとオレンジ煮。3点盛りの一つ」
実は調理をよく見ると、オリーブオイルを使用したり、ショートパスタをいためたりしていました。こちらはカボチャのリゾットです。
宗元恵美さん
「(Q.味付けは?)基本、ブイヨンと塩。あとは、もうカボチャのうまみ」
寺で作られたイタリアン精進料理。そのお味は?
日帰り体験者
「味付けがしっかりしている」
「肉がないとか魚がないとかではなく、満足感がすごくある。野菜とか自然のものばかりでもおいしい」
一体なぜ、イタリアンなのでしょうか?
光澤寺
宗元英敏住職
「田舎の寺にきてもらうには、何か変わったものがあったほうが良い。同じ精進でも和風ではなくてイタリアンにして食べやすいとか。若い人にも興味を持っていただけるように」