巨大空港税関“密輸阻止の舞台裏” 偽ブランド品から金製品まで…なぜ関空に?
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毎日約3万人が訪れる関西空港で、なぜ予想もしない密輸品が次々と持ち込まれるのか。「巨大空港税関・密輸阻止の舞台裏」を追跡しました。

【画像】本物?偽物? 密輸阻止の舞台裏 関空税関の裏側 

■お菓子の中に大量のたばこ?

関西国際空港
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世界54路線が就航し、毎日およそ3万人が訪れる関西空港。輸入が禁止・制限されているものが持ち込まれないかチェックしているのが、関西空港税関です。

「金にならない」
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午前8時、やってきたのはベトナム人男性。家族で日本に旅行でやってきたといいます。

税関職員 
「たばことかない?」

ベトナム人男性 
「ないない。子どもと」

税関職員 
「一緒?これ何が入っています?」

ベトナム人男性 
「服」

税関職員 
「服?」

しかし、入っていたのは服だけではなく、たばこも…。

税関職員 
「たばこはこれだけ?」

税関職員は何か怪しいと感じているようです。別のスーツケースを調べようとします。すると、ベトナム人男性は…。

税関職員 
「これ見てもいい?」

ベトナム人男性 
「これは…。鍵の番号覚えてない」

税関職員 
「なんで分からんの。自分のやつじゃないの?」

そして、男性はどこかに電話をかけ始めました。

ベトナム人男性 
「鍵の番号は何番?もしもし?鍵の番号は?荷物チェックのところにいる。没収されたら金にならないよ」

男性が言う「金にならない」とは、一体どういうことなのか…。

お菓子の箱
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税関職員 
「たばこ、これだけ?」

ベトナム人男性
「これだけ」

税関職員 
「申告書には0だけど、何を入れたの?」

ベトナム人男性
「お菓子」

税関職員 
「お菓子?」

鍵の番号が分からないスーツケースには、お菓子が入っているといいます。

税関職員 
「これ誰の荷物?あなたのじゃない?あなたの荷物じゃないんですか?あなたの荷物なら番号分かるでしょ」

男性は税関職員に鍵の番号を伝え、開けることに。確かに大量のお菓子の箱が入っていました。しかし、許可を得て箱を開けてみると…。

お菓子の箱からたばこ
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お菓子の箱の中から出てきたのは、大量のたばこです。男性がたばこを密輸する目的で持ち込んだ可能性があるため、職員が別室で話を聴くことにしました。

税関職員 
「税関の申告書です。たばこ『0』と書いています」

ベトナム人男性
「持ってきたたばこはあります」

税関職員 
「0は嘘ついたってことやね。1個だけと答えていたよね?」

スーツケースには62カートン・1万2400本分のたばこが入っていました。18万6000円の税金が課せられます。

税関職員 
「(申告書に)人から預かったものと質問はあるけど、ないとなっているよね。あなた」

ベトナム人男性
「これは他の人に頼まれて運んでいる荷物なんです。お菓子だけと言われていたので、中身は知りませんでした。開けていないお菓子の箱だったから、僕も中に何が入っているか分からなかったんです」

実は今、ベトナムでは個人の荷物を預かって運ぶサービスが流行っているといいます。1キロあたり700円から800円が相場だといいます。

通訳 
「これは正しいことですか?悪いことですか?」

ベトナム人男性
「悪いことです」

男性は6600本の税金9万9000円を支払い、残りのたばこは任意放棄しました。

■スーツケースから…ちまき発見

マネキン?
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日本に入国するときに荷物をチェックするのが税関の仕事。時として思いもよらぬものが持ち込まれます。

中国からの便でやってきた中国人女性。すると、スーツケースの中からは…。一瞬、税関職員もびっくり。人の頭と思いきや、それはマネキンでした。

税関職員 
「これは何に使うの?」

中国人女性 
「スパ」

どうやらマッサージの練習台として持ち込んだようです。検査の結果、持ち込みOKでしたが、ちょっとひやっとするものでした。

ちまき発見
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ベトナムから来た女性のスーツケースの中には…。X線検査を行ったところ、スーツケースの中に不審な影があったそうです。

すると、中から出てきたのは…。ぎっしりとちまきが詰めこまれていました。すぐさま、同じフロアにある畜産物や植物の検査を行う「動植物検疫カウンター」へ向かいます。

検疫職員 
「ちまき?」

ベトナムから
「はい」

検疫職員 
「包みを開いていいですか?」

包みを開けると中には蒸しあがったお米、他にも包みの大きなちまきもあります。

検疫職員 
「割っていいですか?」

実際に包丁で切ってみると、蒸したお米の中には玉子とハムが入っていました。女性は「日本に住むベトナム人へのお土産を持ってきた」といいます。

蒸したお米やゆでた玉子は持ち込み可能ですが、ハムは肉類ということで持ち込み禁止。大きいちまきは廃棄処分となりました。

■男性のネックレスに金?

偽ブランド品の持ち込み
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今年上半期、大阪税関で押収された金は575キロ、およそ83億円でした。手荷物に忍ばせて持ち込む密輸が増えています。こうしたなか、やってきたのはベトナムから来た男性です。

税関職員が「金製品はお持ちですか?身につけている金製品はありませんか?」と尋ねると、男性は「ない」と繰り返しました。

税関職員は何か怪しいと感じているようです。男性の荷物をチェックします。

ベトナムから
「これは薬。子どもの薬。時間かかるな」

男性のネックレスに金?
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すると、女性職員が他の税関職員に声をかけました。何かを見つけたようです。男性のつけていたネックレスを指摘しました。

税関職員 
「なぜ最初に言わなかったの?知ってたやろ?」

別室で詳しく話を聞くことにしました。

税関職員 
「(金)37.3グラム(約50万円)鑑定時間9時05分。金取り締まりしてるの知ってるやろ」

男性 
「知ってる」

税関職員 
「税関が調べてるの分かってる時に、ちゃんと言ってくれないとな。摘発になるから。これは差し押さえと言って、あなたに話を聞いて書類を書いてもらう。また後日、1回来てもらうことになります」

金を日本に持ち込む場合、所持品でも申告が必要です。男性は申告することなく20万円以上の金を持ち込もうとしたため、罰金を支払うことになりました。

■偽物?本物?「区別つかない」

偽ブランド品の持ち込み
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大阪税関で差し止められた偽ブランド品等の知的財産侵害物品はおよそ22万点で、その約8割が中国からのものでした。

午後3時半、上海からの便でやってきたのは、中国人女性です。会社経営をしており、世界を行き来しているそうです。

税関職員 
「税関に申告するものないですか?」

中国人女性 
「ない」

税関職員 
「カバン見てもいいですか?」

中国人女性 
「ヨーロッパにいた」

高価なブランド品
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スーツケースから出てきたのは財布。さらに、ブランド品が次々と出てきます。これは、自分のものなのか、それとも…。

税関職員 
「新品?」

中国人女性 
「新品みたい」

税関職員 
「これ誰にあげるの?」

中国人女性 
「友達」

税関職員 
「ちょっと待って。これは?」

さらに、ブランド品のバッグも出てきました。中からバッグのカードも…。詳しい話を聞くために、別室に向かいます。

税関職員 
「税関に申告するものないね?」

女性 
「ない」

税関職員 
「これは何?ヴィトンとかサンローランとか全部ブランドでしょ?」

女性 
「あのカバン、私は使ってる。新品だけど」

高価な品物でも、自分で普段使っているものは課税の対象とされません。しかし、旅行中に購入したものを「使用中」と偽って持ち込んだ場合は、課税対象となります。

不自然な説明
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税関職員 
「使ってるにしてはきれいすぎるし、ヴィトンのカードもそのまま入れているでしょ。使っていたら取るでしょ」

女性 
「持ってるだけ。私が使っているよ」

税関職員 
「いつ買ったの?」

女性 
「一年前」

税関職員 
「一年前に買ったやつが、なんでカードまだ入っているの?きれいすぎるね」

女性 
「私はもらっているから」

税関職員 
「買ったんでしょ」

女性 
「私が買ったんじゃない。買ってもらった」

女性は「自分が買った」と言っていたのに「友達に買ってもらったもの」だと、言い始めました。すると…。

税関職員 
「これってメンズじゃないですか?レディースじゃないでしょ。そうやね。こっちのカバンもメンズやね。なんで持ってきたんですか?自分で使うやつじゃないでしょ。女性がわざわざ男用のを買って、女性のあなたに渡すの?これは20万円を超えるお土産品として処理します」

中でも高価なバッグ・財布・ベルト3点のブランド品には、およそ7万円の税金が課せられます。

女性 
「でも、本物とか分からないよ」

税関職員 
「え?偽物なの?犯罪やで、それ。偽物やったら、それはそれで犯罪だよ」

本物と確認
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女性は「偽物か本物かも区別がつかない」と訴えました。この後、ブランド品は本物と確認され、女性は税金を支払い入国しました。

これから年の瀬にかけて、水際での密輸阻止に向けた巨大空港税関の業務は、さらに忙しさを増します。

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