急な冷え込みで、一気にシーズンが到来した能登の寒ブリ。実は今、外国人観光客の舌もうならせているようなんです。
■北陸の寒ブリ シーズン到来!
白菜がぐつぐつと煮立った出し汁に、ブリを数秒、しゃぶ、しゃぶ。冬の訪れを告げるあったか料理「ブリしゃぶ」です。
北陸、能登半島で水揚げされた天然の寒ブリ。
今年は、本格的なブリのシーズンが例年よりも早くスタートです。
東京・文京区の海鮮料理店では、野菜と一緒に味わうブリしゃぶが大人気。
能登美 別館 木村能詞人店長
「ブリしゃぶシーズンに入ってきて、連日満席の状態。12月もほとんど埋まっていて、申し訳ないが毎日100人以上断っている状態」
20日朝、富山県の氷見漁港では、基準となる重さ7キロ以上のブリが723本水揚げされ、「ひみ寒ぶり宣言」が出されました。過去2番目の早さで、昨シーズンよりひと月以上も前倒しとなりました。
■最盛期前でお得!? 外国人も魅了
隣の石川県でも、脂ののったとれたての寒ブリが丼の上で、きれいな花を咲かせています。まさに豪華絢爛(けんらん)。寒ブリの刺身が、10切れ以上も盛り付けられた贅沢すぎる「天然ぶり丼」です。最盛期を前に、価格も安くなっているといいます。
刺身屋 渡邉純一店長
「値段は比較的いっぱいとれているので安い。12月のお歳暮シーズンになると、(価格が)上がると思う。輪島でとれた輪島丸のブリを使って、ちょっとでも能登復興を進めていきたい」
東京から来た女性は、身が締まった天然の寒ブリに、舌鼓。
東京から来た人(20代)
「くさみが全然なくて、ブリそのもののおいしさが伝わってくる」
中東イスラエルからの観光客は、ブリも入った海鮮丼に興味津々。
初めて食べる日本の寒ブリはいかがですか?
イスラエル ニコールさん(27)
「とても繊細でとても新鮮。私たちの国ではこういう料理はないので、とても特別な体験」
■“能登の寒ブリ”全国へ
被災地・能登の復興へ。地元は“寒ブリフィーバー”に沸いています。金沢市の市場では、10キロを超える大きなブリが次々と。
ブリが水揚げされるのは、能登半島地震で甚大な被害が出た能登町や珠洲市、輪島市の港です。今も、復旧が完了していません。
そのため、早朝に水揚げされたブリの多くが金沢の市場に運ばれ、全国に届けられます。
石川県漁業協同組合 かなざわ総合市場
高岩信広さん
「北陸でとれるブリは春の産卵期に向けてすごく栄養を蓄えていて、丸々と太った脂ののった状態。11月、12月、1月とやってくるのですごくおいしい」
ブリの魅力は、刺し身だけでなく、あったかい煮物料理にも使えることです。ブリと大根、相性抜群のコンビネーションでおなじみ「ブリ大根」。
金沢市のおでん屋さんは、1日15食限定のブリ大根が人気です。
大酉茶屋 大西麻衣女将
「皆さん骨まで食べられるところに感動して帰っていく。観光客に『おすすめなんですか?』と聞かれた時はブリ大根をすすめている」
■脂したたる!こだわりの“ブリ照り”
熱々のご飯が進む、最高のおかずもあります。東京・銀座の日本料理店で、大人気のランチ。ブリの照り焼き定食です。
箸を入れると、ほろっとほどけるやわらかさ。しょうゆ、みりん、酒などこだわりの自家製タレを厚い身に染み込ませる工夫が。
ポイントは、真ん中の切れこみです。
銀座 すが家 菅谷義則さん
「ここに線を入れたのは火の通りが早いのと、照りもここに入って、照りの味も中まで(入る)」
ブリをじっくりと焼くと、脂がしたたり落ちてきます。タレをつけ、再び焼く動作を、表と裏、あわせて6回繰り返して完成です。
日本料理店がこだわって作るブリの照り焼き。常連のお客さんはぞっこんです。
12月は、さらに脂がのってきて、おいしさが増すといいます。