日本の喫茶店「発祥の地」と言われる東京・上野。駅周辺には多くの「昭和レトロ喫茶」があり、そこに外国人が殺到していました。モーニングの分厚いトーストや、初めて食べるナポリタンに感激。台湾から来た女性2人は、店頭の食品サンプルに大興奮。昭和レトロ喫茶マニアで、店を数軒回り意外なモノを集めていました。
【画像】厚さ7センチ!“二度焼き”モーニングトースト 外国人観光客もビックリ
■昭和レトロ喫茶に外国人が殺到 名物はナポリタン
新橋にある、昭和の雰囲気を残したレトロ喫茶。外国人が一斉にカメラを構えて注目するのは、プリンを型から外すマスター独特のパフォーマンスでした。
カナダからの観光客
「アメイジング(驚きです)」
「こんなの生まれて初めて」
外国人が殺到する昭和レトロ喫茶。聖地と言われるエリアがありました。
上野で連日行列ができるのは、昭和50年創業の「珈琲王城」です。お城のような天井にアンティーク調のソファ。懐かしいピンク電話は今も現役です。
韓国からの観光客
「帰国前にぜひ行ってみたいと思って」
台湾からの観光客
「(Q.純喫茶は知っている?)初めて聞いた。ジュンキッサ」
純喫茶の由来は、「純粋」にコーヒーを楽しむ「喫茶店」とも言われています。(※諸説あり)
店の名物は、ケチャップなどがベースの自家製ソースを使った「ナポリタン」1200円。タマネギ、ベーコンなど具材もたっぷり、太めの麺を使いモチモチとした食感を楽しむことができます。
アメリカからの観光客
「ミートソースはアメリカにもあるけど、ナポリタンは初めて(食べた)。アメリカではケチャップを使ってパスタを味付けする文化はない」
そして、彼らが飲んでいたのは紫色の「王城ソーダ」750円。創業当時の看板の色をイメージして作られました。追加でバニラアイスをのせることもできます。
アメリカからの観光客
「アメリカでもグレープソーダはあるけど、バニラアイスをのせたのはない」
外国人にとっては、すべてが新鮮に映るようです。実は、こちらの昭和レトロ喫茶、午前中に外国人客が殺到するといいます。そのお目当ては「モーニング」でした。
■厚焼きトーストにビックリ 「フワフワでおいしい」
中国からの観光客
「日本に来たら、この店のモーニングセットを食べてみたいと思って」
店員
「普通焼きのトーストです」
韓国からの観光客
「これ普通焼きですか…?これが普通なんや…」
普通焼きの「モーニングトースト」150円。とはいえ、厚さはおよそ4センチ。モーニングセットはゆでたまごとドリンクが付いて700円です。
韓国からの観光客
「マシッソ(おいしい)」
分厚いトーストに大感激!すると…。
店員
「厚焼トーストです」
韓国からの観光客
「分厚い!」
友人が注文したのは、なんと厚さ7センチのたっぷりとバターがしみ込んだ厚焼の「モーニングトースト」200円です。
焼きめのついたパンの表面にたっぷりとバターを塗り、再びトースターへ。創業以来受け継がれる“二度焼き”です。こうすることで、パンの中までバターの味が染み込むんです。
韓国からの観光客
「バターと塩かな?フワフワでおいしい」
中国からの観光客
「日本では、トーストはバターで食べるのね。中国では、トーストは薄くスライスされているわ」
外国人を魅了しているのは、グルメだけではありません。
アメリカからの観光客
「アメリカだと傘はそのまま中に持ってくる人が多い。わざわざ他の人を気にして、傘袋に入れるという気配りがない」
気配りから生まれた使い捨てではなく、持ち手まで付いた傘袋が外国人にとっては新鮮なようです。
韓国からの観光客
「外国人が言うのはおかしいかもしれないんですけど、昭和って感じが好き」
■昭和40年代に喫茶店ブーム SNSを見て来た人も
全日本コーヒー協会によると、昭和35年以降、輸入品の自由化でコーヒー豆が国内で流通。昭和45年以降には年間8000もの喫茶店が次々とオープンし、喫茶店ブームが湧き起こりました。
諸説ありますが、上野は喫茶店の発祥地なんだとか。
外国人を魅了する昭和38年創業の「喫茶古城」。入り口で客を出迎えるのは大きなステンドグラス。店内は、ヨーロピアン調の空間が広がります。
アメリカからの観光客
「白黒映画で見たような古い場所だから、まるで自分が映画の中にいるみたい」
フランスからの観光客
「レトロっぽい美しい装飾が気になって、いい所だと思ってきたんだ」
外国人を魅了するのは、自家製のマヨネーズに炒めたフワフワのたまご、ハム、野菜が入った「ミックスサンド」950円です。
さらに、シェイカーを使って卵黄と牛乳を混ぜる「ミルクセーキ」800円。創業時から続く名物メニューです。
アメリカからの観光客
「すごくおいしいね」
「思っていたより甘いね。初めて飲んだけど好きな味」
SNSに投稿された写真を見てカナダからやって来たという家族。お目当ては創業当時から使われているコーヒーカップとソーサーです。
カナダからの観光客
「コーヒーカップがかわいいから来ました」
なにやら絵が描かれていますが…。
喫茶古城 店員
「回すとストーリー性のあるカップ」
「ウィローパターン」と呼ばれる絵柄で、恋をした若い男女が、両親の反対を押し切り駆け落ちし、最後は鳥になって結ばれるという物語なんだとか。
■魅力を新発見! 昭和レトロ喫茶を行脚
台湾からきた2人組。大の日本好きで、10回以上来日していました。巡った喫茶店は、全国20軒以上。数年前からレトロ喫茶にハマったといいます。
台湾からの観光客 リンさん(34)
「日本の喫茶店の内装。店によって各地の雰囲気が全然違うので結構好きです」
後日同行すると、日本人が気付かない昭和レトロ喫茶の新たな魅力を発見できました!
朝9時に向かったのは、先ほど紹介したモーニングが有名な「珈琲王城」です。
リンさん
「(外観は)レトロ喫茶の顔。昔ながらのデザインで、必ず外で撮って店に入る」
外観撮影を終えて店内へ。
リンさん
「カップが温かい。事前に温かいカップを提供する店、(私は)初めて」
日本独特の細かやなサービスもお気に入りの一つ。朝ごはんは大好物だというナポリタン。そして、2人が「喫茶店行脚」するのにはある目的がありました。
リンさん
「店名が書かれているものを集めたい」
昭和レトロ喫茶のコースターや紙ナプキン、手ぬぐいなど、店名が書かれたものをコレクションしているのです。
続いてやってきたのは、アメ横商店街近くにある昭和52年創業の「コーヒーショップギャラン」。
ここでは店頭にある食品サンプルを見て写真撮影します。
リンさん
「台湾は大体写真。メニューが全部外に置いてある。食品サンプルはない。珍しい」
台湾には、日本のレトロ喫茶を模倣した店があるのですが、食品サンプルまではないといいます。
台湾からの観光客 ツオンさん(38)
「パフェ食べたいな」
おなかはいっぱいですが、食品サンプルを見て心変わり。パフェやクリームソーダのほか、ナポリタンまで堪能しました。
リンさん
「ちょうだいします」
ここでも、店名が入ったコースターと紙ナプキンをゲットしました。さらにレジではお宝発見!
リンさん
「とてもレアなものを入手しました、マッチ。今の喫茶店は喫煙ができるところが少ないですね。(マッチは)ほとんどないです」
今回1週間の日本滞在で巡ったレトロ喫茶は8店舗。その魅力は日本独特の文化にあるといいます。
リンさん
「欧米から輸入した文化を日本は自分たちのものにする。とてもすごいと思う」
欧米から輸入した文化が昭和に喫茶店ブームとなり、時を経て令和の時代に昭和レトロ喫茶に変化。外国人たちを魅了するという現象が起きているのです。