専門家「病気のリスクを上げる可能性」水道水に“永遠の化学物質”PFAS…健康に影響は
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非常に分解しづらいことから“永遠の化学物質”と呼ばれる、有機フッ素化合物『PFAS(ピーファス)』。体内に入った際に健康被害を引き起こす恐れも指摘されています。

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この物質が全国111地点の河川や地下水などで、国が定める値を超えて検出されています。飲料水などを通じてどのくらい体に入り込んでいるのか、全国初となる公費での血液検査が25日、岡山県吉備中央町で行われました。

■水道水に有害性物質「飲まないで」

町をあげての血液検査。その対象は住民790人に上ります。病歴などと照らし合わせ、PFASとの関連性が分析される予定です。

検査を受けた人
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検査を受けた人(24)
「子どもがいるので、子どもに影響があったらと思うと、今どの状態なのか知りたい」

検査を受けた人
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検査を受けた人(57)
「全てをつまびらかにしないとスタートにはならないので」

発端となったのは去年10月。町が突然“水道水を飲まないよう”通知を出しました。

山本雅則町長
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吉備中央町 山本雅則町長
「飲料水として使用制限を行うとともに、給水対応を取ったところですが、対応が遅れたことをまずもっておわびを申し上げます」

水道水に含まれていたのは、人体への有害性が指摘されるPFAS。しかも、その3年前から国の暫定目標値を大幅に超える値が検出されていました。

山本雅則町長
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吉備中央町 山本雅則町長
「これ(PFAS)以外の項目は全てOKだったもので、これは水道水として『適』という認識のもとでやっていたのが、少し認識が甘かった」

町は飲み水の取水源を別のダムに切り替えましたが、少なくとも3年間はPFASが混入した水道水が供給されていたことになります。

■「永遠の化学物質」なぜ拡大

PFAS
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PFASとは人工的に作られた有機フッ素化合物の総称です。熱に強く、水をはじくため、フライパンなどのコーティングや、火災用の泡消火剤など様々な用途で使われてきました。

世界で有害性が指摘され始めたのは90年代後半。“永遠の化学物質”とも呼ばれています。

原田浩二准教授
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京都大学大学院医学研究科 原田浩二准教授
「PFASのいくつかは、体の中に徐々にたまっていく。そしてなかなか(体外に)出ていきにくい」

発がん性の分類
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WHOは去年、PFASの1種を4段階ある『発がん性評価』のうち最も高いグループに分類。国連のストックホルム条約会議は2種類のPFASについて製造と使用を原則禁止にしました。日本でも2021年までに製造や輸入を全面的に禁止しています。

それなのになぜ吉備中央町の一部で広がったのか。発生源はダムの上流付近で発見されました。山積みにされた黒い袋。“使用済みの活性炭”です。そこから9万倍もの値が検出されました。県はPFASが土壌に浸透し、沢の水などを通してダムへ混入したとみています。

土地の持ち主の小倉さん。16年前、地元の業者に土地を貸したといいます。

小倉博司代表
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円城浄水場PFAS問題 有志の会 小倉博司代表
「まだ残っている、活性炭が。黒いのは全部活性炭。どういうことでここにあったのかも含め、チンプンカンプンだった」

活性炭はPFASを含む物質を吸着し、水などをきれいにしてくれます。これ自体は全く問題ないのですが、環境省は使用後の活性炭などについては、高温の焼却処理を行い、PFASを除去したうえで処分するよう指針を出しています。見つかった“使用済み活性炭”は焼却処理されず、16年間放置されたままでした。

小倉博司代表
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円城浄水場PFAS問題 有志の会 小倉博司代表
「7~8メートル地下には、ここを埋め立てた時の土壌がある。そこに極めて高いPFASがまだ残留している。我々としては土壌を入れ替えてほしい」

管理業者は「再利用するため、メーカーから受け入れたもの」としたうえで、こう主張します。

活性炭の再処理業者
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活性炭の再処理業者
「PFASが含まれているという説明は受けておらず、通常の再生用の活性炭として受け入れた。この問題が発覚して初めて知った」

現時点でこの活性炭が何に使われていたのか分かっていませんが、専門家は、後始末ができていない活性炭は他の地域にもあるとみています。

原田浩二准教授
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京都大学大学院医学研究科 原田浩二准教授
「活性炭に限らず、PFASを含有したものが気付かれないまま廃棄されている状況はあったと思う。今、各地に廃棄されたものがあるとすれば、調査していく必要がある」

■健康に影響は 住民から不安の声も

血中濃度
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吉備中央町では去年、27人が自主的に血液検査を行いました。その結果、全員が環境省が公表する血中濃度を大幅に上回っていました。

原田浩二准教授
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京都大学大学院医学研究科 原田浩二准教授
「急性の影響ということは今のところ出ないだろうと考えています。ただ、これが色んな病気に、そのリスクを上げる可能性はある。例えば脂質異常症や甲状腺疾患などいくつかあります。それに対して、米国アカデミーズからは、血中濃度を調べて、それに合わせてリスクを予防していこうと」

家族3人で暮らす阿部さん一家は13年前、この地に引っ越してきました。

阿部順子さん
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事前に検査を受けた 阿部順子さん
「(吉備中央町は)いい人が多いのと、自然が豊かという2つがすごく素敵だなと思うところ」

検査を受けた結果、家族全員が国の平均値越え。順子さんが気になるのは、移住後3回の流産を経験していることです。

事前に検査を受けた 阿部順子さん
「第1子の時の妊娠・出産と全く違ったので、おかしいなというふうに思いました。もしそれ(PFAS)が原因なのであれば、これは二度とあってほしくないと」

一部の研究では、PFASと流産の関連性が指摘されていますが、現時点での評価は定まっていません。町は管理している業者に1億円を超える損害賠償を請求しています。

山本雅則町長
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吉備中央町 山本雅則町長
「企業の方に(費用の)請求はするが、その企業も対応できるかどうか。であれば、もっと広い観点からPFOS(PFASの定義の中の1つ)を製造した企業等まで含めて、国がある種の対応をして頂かないと、自治体だけでは難しい」

環境省では、血液検査について、PFASの健康への影響が定かではないことなどから、国として行うことは「現在のところない」としています。

さらに、現在PFASを含む物質の廃棄については「ガイドラインはあるが義務的な拘束力はない。今後、知見を収集してから義務化などを検討したい」としています。

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岡山 浄水場で高濃度PFAS 公費での血液検査 全国初
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