「年収の壁」の見直しを巡って国民民主党から攻勢をかけられている自民党。壁の引き上げへ向けた議論が幕を開けましたが、落としどころはそう簡単に見つかりそうにありません。
【画像】税調議論本格スタート 「103万円の壁」に総務大臣「地方税確保を」とクギ刺す
■最大の焦点は「103万円の壁」引き上げ
少数与党となったことで、例年とは全く異なる環境に置かれた自民党の税制調査会。時の総理大臣すら口を出せない「聖域」と言われたのも、今は昔です。
自民党 宮沢洋一税調会長
「今年は昨年までと違って自公で決めたものが成案になるというわけではなくて、国民民主党を入れた3党の協議というものも進みますので。例年ですと12月10日すぎには結論を得ていたわけでありますが、少しこれが遅くなるのかなという気もしています」
最大の焦点は、国民民主党が強硬に主張する「103万円の壁」の引き上げについて。実現すれば、税収が最大8兆円減少することが予想されていて、特に地方自治体は大きな影響を受けることになります。
政府側から出席した村上誠一郎総務大臣は、「税制調査会の先生方におかれましても、特に地方団体の長のみなさん方の声をおくみ取りいただき、地方自治を支える地方税の充実確保に向けてよろしくご審議賜りますことを切にお願いします」とクギを刺しました。
■トリガー条項の凍結解除 石油連盟は反対
もう1つの大きな課題が、ガソリン税を一時的に軽減する「トリガー条項」の扱いです。こちらも国民民主党が凍結の解除を強く要求しています。
トリガー条項の凍結が解除されると、ガソリン代がおよそ25円安くなるため、ドライバーにとってはありがたい話です。
客(50代)
「毎回(リッター)200円近いガソリンを入れるのは大変」
「仕事もプライベートも全部車なので」
「(Q.10円20円下がったら大きい?)全然大きいと思う、年間トータルしたら何十万円になる」
凍結解除されれば利用客が増え、売り上げが伸びそうなものですが、ガソリンスタンド側はあまり前向きではないようです。
ENEOS広尾店 北嶋朋彦店長
「(Q.利用客増えて良いのでは?)うれしいですよ、うれしいですけど、バーッて(客が)来られた時に対応がやっぱり。人手不足だし、この人数でやれるかどうか。一気にドバッて来られると交通渋滞も起こりますし、ちょっとそれは厳しかった」
過去に暫定税率が一時的に廃止され、ガソリン価格が値下がりした際には買い控えや駆け込み需要が発生して大きな混乱が起きました。業界団体はトリガー条項の凍結解除に反対しています。
総会を終えた出席者からは、次のような声が聞かれました。
自民党 逢沢一郎元国対委員長
「(Q.ガソリン税も大きな焦点だが?)現場が混乱する、国民生活に打撃を与えるというのは我々の本意ではありませんので、技術的にそういったことを引き起こさないための施策を名前にこだわらずやっていく必要があるんだろうと思います」
「(Q.現場と国民民主党との板挟み状態?)国民のみなさんの納得と共感をいただくことに配慮をしながら努力をいたします」
とは言いつつも、国民民主党の要求を丸のみするという雰囲気ではないようです。
逢沢元国対委員長
「玉木代表がおっしゃることをすべて実現しようとすると、7兆8兆という本当に大きな財源を必要としてくる。それは全体の相場感としては少し厳しいのかなという感じがいたしますね」
(「グッド!モーニング」2024年11月26日放送分より)