12月2日に現行の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行します。
【画像】「マイナ保険証」ありなしで送付書類が違う!病院受診であなたが必要なカードは?
■保険証の新規発行終了も「マイナ保険証」利用率は低迷
現行の保険証は、12月2日に新規発行が終了します。
ただ、今持っている保険証が、すぐに使えなくなるわけではありません。
保険証に有効期限が書かれていない場合は、最長で2025年12月1日まで使えます。
ただ、これから転職や引っ越しをして、資格情報が変更となった場合は、現行の保険証は失効して使えなくなりますので、ご注意ください。
保有率と利用率です。
マイナカードの保有率は、10月末時点で75.7%ですが、マイナ保険証の利用率は、15.67%です。
福岡厚労大臣は、マイナ保険証のメリットとして、
「リアルタイムでの薬剤情報の共有。また、救急医療の現場で、医療情報の共有が可能になる。患者さんのカルテ情報を医療機関などが電子的に送受信できるようになる」と説明しています。
■要チェック!病院受診で必要なもの3パターン
保険証の新規発行終了に伴って、『マイナ保険証』に関連するものが、皆さんの手元に送られてきています。
まずは、『マイナ保険証』を持っている人についてです。
『資格情報のお知らせ』というものが、会社員や公務員などは9月から順次発送されています。
また、自営業の人などは、12月2日以降に順次発送されるということです。
これは、加入する健康保険組合などの情報をお知らせするものです。
封筒の中には、A4サイズの書面が入っていて、左下に、氏名・生年月日・資格取得年月日・保険者番号などが書かれている『資格情報のお知らせ』があり、これをミシン目に沿って切り取り、保管する必要があります。
どういった場合に使用するのでしょうか?
病院や薬局で、マイナ保険証が機器のトラブルなどで利用できない場合に、この『資格情報のお知らせ』を一緒に提示すると、これまで通り保険診療が可能になります。
なので、『マイナ保険証』と『資格情報のお知らせ』をセットで持ち歩くのが良いということです。
そして、『マイナ保険証』を持っていない人です。
『資格確認書』というものが、12月2日以降に順次交付されます。
申請は不要で、何もしなくても送られてきます。有効期限は、最長で5年です。
これは、保険証の代わりになるもので、機能は、保険証と同じです。
医療機関などに提示することで、これまで通り保険診療を受けることが可能です。
いつ手元に届くのか、厚労省の担当者に聞きました。
「資格確認書は、保険証の有効期限が切れるまでに届く」
ということです。
中央大学の宮下紘教授によると、
「勘違いされやすいのが、資格確認書が『12月2日の前後に配布されるのでは』ということ。国民健康保険は夏以降、健康保険は秋以降が多いと聞いている」ということです。
資格確認書が届くまでは、現行の保険証を使用してください。
【医療機関受診に必要なもの】
12月2日以降に、医療機関を受診する際に必要なものです。
<マイナ保険証を持っている人>
これは、マイナカードを持っていて、保険証として登録している人です。
受診には『マイナ保険証』と、さらにトラブルに備えて、『資格情報のお知らせ』が必要になることがあります。トラブルが起きた場合、『資格情報のお知らせ』の代わりに『マイナポータルの画面』の提示も可能です。
<マイナカードを持っていない人>
受診の際には、有効期限が切れるまで『現行の保険証』、その後は『資格確認書』が必要になります。
<マイナカードを持っているが、保険証として登録していない人>
有効期限が切れるまで『現行の保険証』、その後は『資格確認書』が必要になります。
『資格確認書』は、現行の保険証の有効期限が切れる頃に送られてきます。
■問い合わせ急増 「保険証捨てた」トラブルも
マイナ保険証をめぐる問い合わせです。
2024年5月以降、マイナ保険証でトラブルや不具合があったと答えた医療機関は、70.1%です。
そして、11月に入り、12月2日以降の保険証の扱いについて問い合わせが急増しています。
全国保険医団体連合会によると、特に12月2日で保険証が使えなくなると勘違いしている人が多いということです。
実際にあった問い合わせです。
「保険証が使えなくなると思ったので、捨ててしまった。どうしたらいい?」
(※すぐに使えなくなるということはないので、捨てないでください)
「保険証が使えなくなったら、代わりのもの(資格確認書)が来るって聞いてるのに、まだ来ない!」
(※資格確認書は、現行の保険証の有効期限が切れる頃に送られてきます。遅い人は、1年後に来る可能性もあります)
このように、仕組みが正確に伝わっていないことによる問い合わせが、相次いでいるということです。
一方で、
「マイナ保険証が使いづらいので、資格確認書に変えたい」という問い合わせもあります。
マイナ保険証を持っている人が資格確認書を交付してもらうには、マイナ保険証の登録解除が必要です。
11月8日時点で、健康保険組合や自治体などに792件の解除申請があったということです。
なぜ、マイナ保険証の登録解除を申請したのでしょうか。
50代の男性
「医療機関をマイナ保険証で受診する際、システムトラブルなどで受付が混雑する懸念があり、資格確認書を5年間使っている間にマイナ保険証の運用が安定してくると思った」ということです。
マイナ保険証の登録解除を11月13日に申請しましたが、11月26日の時点で、まだ解除されていないということです。
■なぜ?「資格確認書」現行の保険証にそっくりの自治体も
『保険証』と『資格確認書』が似ているという問題です。
国民健康保険の加入者への『資格確認書』について、川崎市と静岡市のケースです。
『資格確認書』は、自治体など保険者によって形態が異なりますが、川崎市、静岡市は、『保険証』と『資格確認書』のデザインがほぼ同じです。
左側が、現行の保険証、右側が、12月2日以降に交付される資格確認書です。
違う所は、左上の文字『被保険者証』と『資格確認書』というところです。
川崎市の担当者
「『資格確認書』として認識してもらいたい半面、『保険証の代わりとして使える』と思ってもらうことも重要なため、デザインをどうするかは非常に難しかった。結果、保険証とは全く別物だと認識されてしまわないよう、あえて同じデザインにした」
静岡市の担当者
「県の取り扱いとして、現行の保険証と同様の様式とされたため、同様のデザインに。資格確認書を紛失や誤って破棄してしまった場合は、窓口や郵送で申請してもらい、再発行が可能です」
■対応追われる自治体「混乱起きないか懸念」
自治体の対応です。
世田谷区の場合、世田谷区の国民健康保険の保険証の有効期限は2025年9月30日です。
なので、マイナ保険証を持っていない人に対しては、現行の保険証の有効期限が切れる前の2025年9月ごろに資格確認書を交付する予定です。
当面の間は、12月2日以降に、転入や社会保険からの変更で、区の国民健康保険に新規で加入する人などに、資格確認書を交付します。
※こうした変更がない世田谷区の人は、12月2日からすぐに資格確認書が届くということはありません。
世田谷区の担当者
「人手は変わらない中で、通常業務と移行に向けた業務を行っている状況で、懸命に対応している。制度自体が非常に複雑なため、混乱が起きないか懸念している」
■実証実験で見えた『マイナ救急』課題は「迅速化」
マイナ保険証を活用して救急業務を行う『マイナ救急』についてです。
消防庁は2022年度、これまでの救急活動と、マイナカードを使った救急活動を比較する実証実験を行いました。
参加したのは、6つの消防本部、30隊です。
結果は、意識不明の人や高齢者など、会話に困難があった人の適切な応急処置や治療準備に、特に効果を発揮したということです。
一方で、課題もありました。
救急車が現場に到着してから、出発するまでの時間が、マイナ救急のほうが従来の救急より6分29秒長くなりました。
その理由について、消防庁は、
「傷病者の医療情報を閲覧するのに、その場で書面にて本人に同意してもらう必要があったこと、さらに閲覧用システムにログインする際の手入力など、操作に時間がかかった」と説明しています。
実証実験を受けて、消防庁は、傷病者からの同意を口頭でとれるようにしました。
さらに、救急隊が、マイナ保険証から目視で本人確認ができれば、ICチップを使って医療情報をすぐに閲覧できる『救急用システム』を2024年度中に構築予定です。
そのうえで、2025年度、改めて実証実験を行うということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年11月27日放送分より)