秋の箱根、魅力は紅葉と温泉だけではありません。近年、箱根は行列グルメが続々生まれている“おいしい街”の顔があります。日帰りでも楽しめる進化した箱根に迫ります。
【画像】母への優しさで生まれた「豆腐カツ」 店主がミニバーガーにこだわった理由とは?
■進化する秋の“おいしい箱根”
東京からアクセス抜群の人気温泉地・箱根。
観光客
「新しいお店もできていますし、古いかまぼこ屋さんもあるし、私たち年寄りには良いです」
観光客
「今明るくなったし、お店もいっぱいできた」
コロナ禍以降、毎年10軒以上新しい飲食店がオープンしているといいます。
箱根湯本の駅から徒歩4分。去年オープンした「おむすびやま親方」。金目鯛や箱根ポークなど、地元食材を使ったおむすび以上に今や看板メニューになっているのが、店先で炭火で焼き上げる「特製ハンバーグ串」です。
炭の香りがします。ソースはスパイシーで、コショウもしっかりきいています。
甘み豊かな地元の「箱根山麓豚(さんろくぶた)」を食べ歩きに生かしたいと生まれた、串に刺さったハンバーグ。
観光客
「においにつられて。お肉とおにぎりで良いねって。おいしい」
観光客
「(Q.気になるお店ありました?)団子?」
「お団子屋さん」
「あれは、ちょっと気になりました。おいしそうだなって」
その店の前には、人だかりができていました。
今年5月のオープン以来、幅広い年齢層の行列が絶えない人気店「北条 三福だんご」。店頭で回しながら焼くスタイルが通行人に大ウケ。撮影するお客さんが後をたちません。
大きめの団子の味はプレーンとみたらし、クルミみその3種類。多い日には1日1000本売れるという箱根の新名物をいただきます。
密度がギュッとつまっています。ほど良く弾力もあって、おもち自体にほんのり甘みがあります。
■行列店が新業態“天空の豆腐カツ”
新たな行列店が続々生まれる一方で、昔から続く行列店もあります。強羅で50年以上の歴史を持つ「田むら銀かつ亭」です。
長年愛され続けている名物メニューは、ひき肉を挟んだ豆腐のカツ煮です。
来店客
「おいしい。ひき肉がいいですね。豆腐の中に、軽い」
実は、この箱根の名物店が、今年新たな店をオープンさせたのです。
1月にオープンしたばかりの「はこね天空のテラス」。店の奥にはテラス席もあって開放的な空間。ゆったりとした時間が流れています。外国人観光客にも人気です。
香港から
「この景色、最高。空気も楽しめて。おいしいカレー」
名物カツ煮店の姉妹店の看板メニューは、カツカレーです。
その名も「とうふメンチカツカレー」。本店で愛されている豆腐カツをカレーに合うよう「とうふメンチカツ」にアレンジしたといいます。
気になる味は、衣がサクサクで、豆腐はマイルドな味で甘さも感じます。ボリュームもあります。
中にはレンコン、エダマメ、ニンジンなど色々な野菜が入っています。やわらかい豆腐の中にも食感があって楽しいです。
付け合わせの塩コンブとカツオ節も、メインの豆腐に合わせたこだわりだとか。
同じ豆腐メンチカツを使ったカツサンドも人気です。
来店客
「(豆腐)メンチカツは肉よりふわふわ感があって、野菜が入っているから、おいしい」
それにしても本店も、こちらの新しい店もなぜ豆腐のカツにしたのでしょうか?
田むら銀かつ亭 はこね天空テラス
田村洋一社長
「うちのお袋が歯を悪くして、毎日おじや、おかゆばかり食べていたので。『たまにはカツ丼食べたいわ』というので、豆腐でトンカツにしてカツ丼にした」
箱根の名物、はじまりは家族のお母さんへの優しさから生まれました。
箱根を訪れるたくさんの人に味わってほしいと、形を変えてこれからも進化する名物です。
■炭焼き行列店“本気の極上和牛”
長年続く人気店が装いも新たにオープンした店は、こちらにもあります。箱根湯本駅から徒歩4分にある「肉のKINOSUKE」。
自慢はA5ランクの国産和牛を使った肉料理。肉の焼き加減に、とにかくこだわった店です。
小田原箱根商工会議所 青年部
菊川鉄也会長
「この店に肉部門だけ引っ越してまいりました。炭の温度が魚と肉だと変えなきゃいけない。どうしても本気でやるなら分けなきゃいけなかった」
実は、同じ箱根湯本にある行列店「喜之助」は干物など地元の海鮮をメインにした炭火焼き和食がウリのお店。
一方、新店舗は特注の炭火用の炉を使い、炭の量と肉の距離などを計算し、仕上げに高温の炭であぶるという、肉に特化した専門店。時間をかけてゆっくり火を通す、赤身肉に最適な独自の焼き加減を生み出すといいます。
肉はかめばかむほど肉汁があふれ出てきます。味も濃いですし、肉汁が甘い。タレをつけてなくてもおいしいです。
この店ではステーキだけでなく、同じ国産和牛を使ったハンバーグも人気です。
来店客
「肉そのものの味がすごくおいしい」
人気店のさらなる進化が止まらない箱根。
菊川会長
「(Q.色んなお店が増えてきているのはどうして?)世界中から色んなお客様が来られるようになって。日帰りのお客様もいらっしゃいますし、色んなジャンルの食事処を箱根町としてそろえてお出迎えをしている」
■店主の“こだわり”…ミニハンバーガーにした理由は?
新しいお客のニーズに合わせ、創業50年の佃煮屋「はこねゆもと 福住屋」にも意外な新メニューが登場。
来店客
「どの世代でも楽しめる。いいんじゃないですか」
それは、見た目にもかわいいミニハンバーガー。注文が入ってから一つひとつ手作りで仕上げるこだわりの本格派。肉が肉肉しくてバーベキューの味がします。バンズも弾力があって、本格的なバンズです。
このサイズには、街全体のにぎわいを狙う、店主のこんなこだわりがありました。
はこねゆもと 福住屋 店主
竹内利明さん
「こんな大きいハンバーガーだと、他のものは食べられなくなっちゃう。それで食べ歩きサイズを」
平日も食べ歩きでにぎわう箱根の街。
お客
「(Q.足湯のお湯加減はどうですか?)気持ちいいです」
「(Q.何か食べました?)あそこのモンブランを食べました」
「(Q.どうでした?)おいしかったです」
こちらが、その「モンブランソフト」です。
ソフトクリームにモンブランクリームをかけた人気のスイーツ。足湯につかりながらいただけます。
■「至高の生もち」温泉を生かしたグルメとは?
名物店が進化系グルメを生み出すなか、箱根の代名詞「温泉」を生かした話題の進化系グルメも登場しています。
それが、湯本の川沿いにある人気店「食事処 春夏秋冬」にあります。人気メニューは、その名も「至高の餅セット」。もちろん、ただのおもちではありません。
なんと、1メートル以上伸びる唯一無二の食感が自慢の生もちです。味は「みたらし」や「クルミ」など6種類から3つを選べます。
一番人気の「ずんだ」をいただきました。おもちは、これだけ伸びるのでトロトロなのかなと思ったのですが、しっかりと弾力があります。何よりずんだの食感も残っていて、味が濃いです。
この伸びる生もちの光景がSNSなどで話題となり、連日お客さんがつめかけているといいます。
それにしても、なぜこんなに伸びるのでしょうか?
食事処 春夏秋冬
雫石翔平店長
「こだわりは温泉水を使っているところです」
地場産のもち米に、温泉水を24時間たっぷり吸い込ませてから炊き上げることで、唯一無二の生もちが生まれたといいます。
来店客
「つきたて感。あたたかくて。普段食べない味もあるのでおいしい」
日帰りでも宿泊でも楽しめるおいしい箱根。まもなく紅葉の見頃を迎えますよ。