イルミネーションスポットを見て回るタクシーサービスが今、話題となっている。外国人観光客にも大人気というサービスで、ドライバーとっておきのおすすめスポットを取材した。
【画像】外国人観光客の人気を密かに集める…目黒川の“冬のサクラ”
■土地勘なくても…効率良く巡ること可能
オーストラリア人
「とても美しい」
「とてもすてきだ」
「本当に美しい」
スウェーデン人
「ここは魔法の空間だ」
日本を訪れる外国人観光客を魅了しているのは、各地で始まった冬の風物詩・イルミネーションだ。
長崎県の「ハウステンボス」には、高さ12メートルのきらびやかなクリスマスツリーが登場。ハウステンボスと共に、日本三大イルミネーションに数えられる「あしかがフラワーパーク」は光でフジの花を再現した。
こうしたなか、数多くのイルミネーションを楽しむことができるのが東京だ。
インド人
「東京にはたくさんのイルミネーションがあって、どれもユニークで美しいです」
さまざまな特徴あるイルミネーションが美しさを競う東京では、限られた時間で多くの光のファンタジーを楽しむサービスが人気になっている。
タクシー会社が提供しているサービス、その名も「イルミネーションタクシー」。土地勘がない外国人にとって、イルミネーションスポットを効率良く巡ることができる。
日本交通 運転手
松村泰光さん
「(Q.ここ東京駅だ)はい、そうですね。こちらはですね、丸の内のイルミネーションになりまして、ご覧の通りシャンパンゴールドで、少し落ち着いた大人の雰囲気のイルミネーションが楽しめる人気のスポットでございます」
人気スポットは混み合うが、タクシーなら気になる場所で途中下車できる。2時間で平均3カ所を巡れるという。
松村さん
「(Q.今、どちらに向かっているんですか?)秋葉原のほうへ向かっています」
「(Q.秋葉原にもイルミネーションスポットがあるんですか?)かわいらしいハートマークとかもご覧になれます」
目まぐるしく変わる東京だが、365日都内を走るタクシードライバーは、変化をいち早く察知し、穴場に乗客を連れていくことができるという。
東京・秋葉原にあるイルミネーションは、見るだけでなくハートの前で写真を撮る「映えスポット」として人気だという。
松村さん
「(Q.次のおすすめスポットはどこですか?)実は五反田になります」
「(Q.ピンク色できれいですね)こちらの木は、実際のサクラになります。冬の時期に日本のサクラがこういう形で見られるということで、外国人にもすごく人気ですね」
ウクライナ人
「奇跡のようだ。素晴らしい日本のサクラを見ることができて感謝している」
春にはサクラの名所として多くの人が訪れる目黒川では、この季節、イルミネーションでサクラを再現。水面に映る光に、冬でも日本のサクラを楽しむことができると、外国人観光客の人気を密かに集めているという。
イルミネーションタクシーを利用した外国人観光客は次のように話す。
アメリカ人
「歩いて回ると時間がかかるけど、タクシーなら色々な場所を知っている運転手と行く場所を決めて目的地に行くことができます。1人でいる時よりも、とてもスムーズで助かります」
タクシーならではの機動力と、ドライバーのもてなしのイルミネーションタクシー。日本交通では2017年から運行しているが、右肩上がりで外国人の利用が増えているという。
■苦境脱出の重要コンテンツになるか?
イルミネーションタクシーは、今のタクシー業界を救うかもしれないと期待されている。
帝国データバンクの調査では、昨年度のタクシー業の倒産件数は33件で、2年連続で前年度を上回り、これまで最多だった2011年度の36件に迫る水準となっている。
苦境に立たされている背景について帝国データバンクは、「深刻なドライバー不足に加えて、プロパンガスなど燃料代の高騰が収益を圧迫。2023年度の業績が判明したタクシー業のうち、半数以上が燃料高などを理由に赤字や減益など業績悪化に直面した」としている。
都市交通計画が専門の関西大学の宇都宮浄人教授は「タクシー会社から見れば、どこまで乗るのか分からない乗客と違い、前もって予約する形にすれば、イルミネーションタクシーは効率的な配車で付加価値の高いサービスを提供することができる」と指摘している。
また、宇都宮教授は「バスと違いタクシーは個々の客のニーズに柔軟に対応できる」とし、「今後、さらに外国人観光客などの多様なニーズの高まりが想定されるなか、苦境脱出の重要コンテンツになるのでは」と話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年12月2日放送分より)