17日午後、今年度の補正予算が成立しました。ただ、その条件となった「103万円の壁」を巡る協議は開始10分で物別れに。何があったのでしょうか。
【画像】「年収の壁」自公提案の123万円なら手取りはどうなる?
■「年収の壁」暗雲 10分で協議打ち切り
自民、公明、国民民主、3党の税調会長らがまた顔を突き合わせました。
話し合ったのは、もちろん「103万円の壁」の引き上げについて。
国民民主党 玉木雄一郎代表(役職停止中)
「この控除額をできるだけですね、178万円を目指すと」
国民民主党の主張は、所得税の支払いが発生する年収のラインを、現在の103万円から178万円に引き上げるというもの。
ところが自民、公明が前回の協議で提示したのは123万円への引き上げです。
自民党 宮沢洋一税調会長
「103万円が123万円になるという案をお示しを致しました」
国民民主党 古川元久税調会長
「ちょっとあまりお話にならない数字なので」
17日、6回目となる協議で何らかの進展はあったのでしょうか。
宮沢税調会長
「あの、私どもとしましては、これまでもいろんなアイデアを出して、誠心誠意対応してきたつもりでありますけれども。ただ、こればかりは相手のあることでありますから、席を立たれて、これでもう協議なしということにならないとも限らないが、ぜひ、なんとか、協議を続けたいというのが自民党であり、公明党の考えです」
公明党 赤羽一嘉税調会長
「3党の幹事長の合意もありますし」
話し合いは平行線のままだったようです。
3党の協議が始まったのが午前11時半。この時、国民民主党の古川税調会長は座っていますが、自民党の宮沢税調会長によると。
宮沢税調会長
「古川税調会長からですね、椅子に座らず、立ったままでしたけれども。ともかく、新たな提案がないんであれば、これ以上協議はできませんと。席を立つというのは、座った場合ですから、立ったままだったんで、なんて言うか分かりませんけれども。お帰りになったということであります」
協議は10分ほどで打ち切りになりました。
一方、古川会長も取材に応じるはずでしたが、なしとなりました。
何やら暗雲が立ち込めてきましたが…。
■自公提案の123万円なら手取りはどうなる?
まずは改めて、国民民主党が主張する178万円に引き上げた場合にどうなるかを見てみましょう。
国民民主党の試算では、例えば年収が300万円の場合、減税額、つまり手取りは11.3万円増えます。そして1000万円であれば、22.8万円増えます。
では、123万円に引き上げられた場合はどうなるのでしょうか。
元国税庁調査官の深沢敬二税理士に試算してもらいました。
元国税調査官
税理士法人Miznale 深沢税理士
「給与所得者で年収が300万円の人だと、現状は17万4000円という所得税と復興特別税と住民税の負担。これが123万円だと15万4000円、2万円年間で削減。1000万円の場合、現状141万5000円。これが137万2000円となる。1000万円の給与の人が、どれだけ変わるかと言った時に、年間4万3000円しか変わらない。300万円の人も2万円」
123万円と178万円。増える手取りには大きな差があります。
国民民主党は「178万円を目指す」とする合意文書を自民・公明両党と交わしたことから衆議院で補正予算案の賛成に回っていました。
そうして衆院を通過した補正予算案。17日午後、参議院でも可決・成立しました。
国民民主党は協議の場に戻るのでしょうか。
与党ベテラン議員
「むこうは席を立つことを最初から決めていたんじゃないか。そういう交渉の手法というか」
国民民主党 榛葉賀津也幹事長
「話にならないね、ゼロ回答で。火に油を注ぐ天才だね。火に油を注ぐ、その油の注いだ先は我々国民民主党や古川さんじゃなくて、国民が一番怒ってんじゃないの」