今、せき止めや解熱剤が不足していますが、様々な治療に使われるステロイド薬も不足しています。メーカーは需要の1割ほどしか出荷できないとして、医療機関などに注意を呼びかけています。
【画像】一部商品「出荷できるの1割」 製薬会社「再開に時間」
■医師「ほとんどの科で日々使っているお薬」
いとう王子神谷内科外科クリニック
伊藤博道院長
「皮膚のかゆみの発疹が出たと。何か思い当たることはある?何か食べたとか?」
都内のクリニックを訪れた70代の女性。全身に赤い発疹ができ、かゆみが出たと訴えます。医師の診断は…。
伊藤院長
「“じんましん”ですね」
処方されたのは、炎症を抑えるために使われるステロイド薬です。
伊藤院長
「じんましんのアレルギー反応がまだ暴れている感じで、ほとぼりが冷めていないので、じんましんを抑える点滴をします。炎症を抑えるステロイド、ソル・コーテフというもの」
医療現場では、主にぜんそくの発作やアナフィラキシーショックの症状を抑えるためなど、多くの場面で使われています。
伊藤院長
「体が危機的(状況)に陥った時に、なくてはならないお薬なんです。高度救命救急センターや救急外来とかでなくても、ほとんどの科で日々使っているお薬だと思う」
10月、このソル・コーテフについて、製造・販売を行うファイザー社から通知がありました。
ファイザー社 医療関係者への案内(10月発表)
「ソル・コーテフ注射用100ミリグラムの供給について、現在の弊社在庫をもって出荷停止となりますことをお知らせ申し上げます」
製造ラインの無菌性に問題が発生したため、現在の在庫が尽き次第、ソル・コーテフ注射用100ミリグラムの出荷を停止すると発表。容量が違うものについては、限定出荷になりました。(※現在は無菌性を確認し製造再開。通常量の供給に向け調整中)
これを受けて、SNSには医療関係者とみられる人からの不安の声が…。
医療関係者とみられるSNS
「ソル・コーテフ出荷停止って聞いたんだけど、え…やばくない…」
「医療従事者にはわかる、マジでやばい」
■来年の4月まで「限定出荷前の需要の1割ほどの出荷」に
さらに、今月に入ると新たな通知がありました。
ファイザー社 医療関係者への案内(今月発表)
「今後の製造計画を踏まえ、引き続き限定出荷を行います。2025年4月までは限定出荷前の需要の1割ほどの出荷になります」
来年の4月までは、以前の1割ほどしか供給できないということが分かりました。
救急の場面に欠かせない薬、ソル・コーテフ。現在の入荷状況は…。
伊藤院長
「ソル・コーテフに関しては、基本的に入荷できない状況です。見ていただければ分かりますが、救急カートに空っぽです」
これまでは予備を含めて10回分は常備していましたが、棚はカラの状態に。
伊藤院長
「全くないというわけではないが、薬が欲しいと思った時にお願いしてもすぐには入らないと。不安が尽きないという状況です」
ファイザー社は番組の取材に対し、「現在、在庫はあるため出荷停止には至っておらず、無菌性を確認して製造を再開している」と説明しています。また、疾患によっては別の薬による治療の検討をお願いしています。
ファイザー社
「各所と協議を重ね、早期に通常出荷を再開できるよう、全社を挙げて取り組んでまいります」
(「グッド!モーニング」2024年12月20日放送分より)